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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐11‐6 

 

「さぁ、今日は採集と狩り! 集めるわよぉ~」

 モリスが元気に声をあげる。


 今日は聖の曜日。学舎はお休みだ。先日の薬草学での打ち合わせ通り6人で食堂に集まり、林までやってきたところだ。カエルとヴルペは来れるのだろうかと心配だったが、二人とも暗くなる前までならといって来てくれた。


 林は神殿内でも最奥。厩舎で移動用の馬を借りる必要があった。

 皆には内緒だが、馬を借りてしまったことですごく疲れることがあった。クラウスが拗ねたのだ。

 移動用の馬を借りるため手続きに行ったのはモリスとウルサス。特に問題もなく6人分の馬を借りて移動を始めるまではよかった。

 移動を始めてすぐ《ナギサ! ひどい! 僕に声をかけてくれないなんて!》とクラウスの念話が頭の中で鳴り響いた。ナギサが懸命に宥めようとするのだが、まるで聞く耳を持たずひたすら文句を念話で伝えてくる。人様の馬を勝手に一学生が借りるなど到底できるはずもなく。そういう世の中の普通をわかってほしいと必死に伝えるのだがまったく聞いてくれないのだ。

 ほとほと困り果て、疲れた表情で馬に乗っているので「ナギ、大丈夫? 乗馬は平気だったよね?」と皆が心配して声をかけてくるほどだった。

 結局クラウスの我儘はファイヌムが気付いて止めてくれるまで続いた。彼が何と言ってクラウスを宥めてくれたのかわからないのだが《ナギサの迷惑になるのなら仕方がないなぁ》とクラウスが最後には折れてくれたのだ。


 そんなこんなでやっと林に到着。そしてモリスの先ほどの第一声である。


「馬達はどうする? どこかの木につないでおく?」


「この辺りで待たせておけばいいと思う。ちょうど馬達が好きな草が生えているから」


 ナギサは林の手前を指し示す。この季節としては青々とした下草が生えている。


「おお、流石に厩舎の手伝いをしていただけはある」


「モリス、わたしはそこまで詳しくないよ。たまたま以前この草を厩舎で見かけただけだから」


 モリスにはそう返したが、実際は馬達からの要望である。林まで来るのであれば、この辺りに好みの下草が生えているからそこへ連れていけと、ここに来る途中に注文された。なんだか馬達と意思疎通ができることは良いことなのだろうか? と疑問を持ってしまった今日である。




「それで今日は狩りもするんだよね? 一応獲物袋を借りてきたけど」


 ウルサスが見慣れない袋を掲げてさりげなく狩りがしたいと主張してくる。


「獲物袋?」


「あれ? ナギは知らないの?」


 ヴルペが小首をかしげている。


「これはさ、獲物を入れておく為の袋。獲物って…」


 ウルサスが獲物袋の用途を説明してくれる。獲物をその場で適切に処理できればよいが、血抜きや解体は慣れと技術が必要だ。獲物を食用と考えているのであれば猶更である。そこで獲物袋である。所謂“魔道具”で、獲物に袋の口を向ければ、勝手に収納してくれる。袋の見た目や重さも変わらず、設定された容量分は対応してくれる。獲物はどこへ行ったのかといえば、専用の保管場所がどこかにあるようで、そこと繋がっているという話だ。

 取り出す時は袋の口を開いて、思い浮かべなが手を入れるだけ。中を覗いて確認しながら取り出すこともできるらしい。


 非常に便利な魔道具なので当然お値段もそれなりのもの。学生程度では手に入らないもので、狩人を生業としている者でもランクの高い獲物袋はなかなか買えないという。

 今ウルサスが手にしているものは学生が狩りを行う時に学舎が貸し出しているもの。ランクは低いので、あまり多くの獲物は入らないそうだが、あるだけでもとても助かる。


 ナギサ以外の4人は詳しいことは知らなくても用途は知っていたようで、ウルサスの話をうんうんと聞いている。ウルサスとヴルペは騎士系の講義で神官からこういった説明も受けているという。


「せっかくだから狩りを中心に林の中に入らない?」


「「「へっ?」」」


「何よ、わたしが狩りをするわけじゃないし。変じゃないでしょ!」


 モリスの言葉に皆が一斉に彼女を見つめたせいか、モリスが早口にまくしたてる。


「わたしとゴリツィアは林の中で採集。他の皆は狩り。おかしくないでしょ? 講義の時、林の入り口付近しか採集させてもらえなかったから、奥に何があるか気になるじゃない」


 確かに先日の講義では林の中に入ることは禁じられ、入り口付近のみで採集を行った。結界があるので中に入ることは問題ないらしいが、講義中は時間がないので入るなと言われたのだ。


 とりあえず今日はモリスの提案を取り入れることに決める。ウルサスとヴルペが狩人として、カエルとナギサが防御魔法など補助を受け持つ。モリスとゴリツィアは4人の後ろからはぐれないようについていきながら採集を行うこととなった。


 馬を放した場所から林を見ると、ちょうど獣道のような小道が見える。その道を伝って奥に入ることにする。


(幼い姉弟の話ではないけど、帰り道がわからなくなるとやっかいだなぁ。こういう時に目印をつけるような魔法が使えればいいのだけど......)





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