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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐11‐5 実地で薬草集め

 若いといっても腰を屈め続けるのはつらい。


 今、ナギサ達薬草学受講者は大神殿内にある林の中で薬草集めの実習中である。

 神官に指示された薬草を木の根元、下生えの中から探し出している。

 木の葉の採集はあっという間。下生えから探し出すのは難儀する。皆が腰を屈め、今目にしているものが指定された薬草なのかためすがめつ眺めている。鑑定魔法を使えればよいのだが、“使わないでの採集”というのが今日の一番の目的らしい。鑑定魔法を使えない生徒も多いということも一因なのだが。

 背が高いウルサスは既に腰の痛さにグロッキー気味。モリスはご機嫌で指定された薬草以外のものまで採集している。


「これ、何かに使えないかな? 良い香りがするから香にしてみようかな」


「モリス、あまり羽目を外すと怒られるよ」


「大丈夫だって。ナギだって指定された分は集め終わっているでしょ?」


 ナギサもモリスも既に指定された薬草は集め終わり、神官に確認してもらっている。終わった者は今日はもう自由時間ということで、このままここで採集を続けても良し、学舎へ戻っても構わないと講義の初めに言われている。


 当然のごとくモリスは錬金に使えそうな素材探しに勤しんでいる。課題は終えたので鑑定魔法を使いながら順調に薬草類を集めている。街の外に出なくても、こんな立派な林があるのであれば時間を作ってまた来ようとナギサ達に話を持ち掛けてきているぐらいにご機嫌だ。

 勝手に採集してよいのか不安になり、カエルが神官に確認すると、荒らすようなことがなければ薬草の採集はもちろん、小動物の狩りも問題ないと言われた。もうこれで聖の曜日は確定だと、小躍りするモリスを眺めながらナギサ達5人はため息をつく。


「でも、ナギ。洗濯場の手伝いをしているよね?」


「後でお休みもらえるようにお願いしてくる。ウルサスやゴリツィアも食堂の手伝いをしていたよね?」


「ああ、それは大丈夫。食堂は手伝いが多いから頼めば簡単に休ませてくれる。どちらかというと稼げないのが痛いかな」とウルサスが零す。


「あぁ、ゴメン。別に無理にとは言わないから。でも、錬金で稼げるようになったら嬉しくない?」


「それはそうだけど。モリスやナギほど錬金の技量が僕らは高くないからさ」


「大丈夫。ちゃんと素材提供者へは謝礼を出しますから!」


「それって売れるようになってからの話だよね?」


「当たり前でしょ。わたしだって食堂の手伝いしないとお金がないわよ」


「カエルやヴルペは聖の曜日にここに来れるの? 家の手伝いとかあるよね?」


「わたしは昼からなら問題ないわ。カエルは?」


「僕は帰らないとわからないかな。でも、せっかくだから僕も参加したいな。ただ、昼からっていうのはヴルペと同じだけど」



 なんやかやと言っているうちに、今週末は昼に食堂へ集合。そしてここへ来て採集と狩りをする、という話でまとまった。

 6人でガヤガヤと話し合っているうちに、既に採集を終えた者達がぽつぽつと学舎へと戻り始めた。

 モリスはこのまま時間まで続けると言って再び採集作業を始めている。カエル達4人は先に戻ると言って帰っていった。


 ナギサはモリス同様もう少し薬草を手に入れておくために時間までいることにする。

 変わった薬草はないものかと改めて見渡せば驚く景色だ。大神殿の敷地内にこんな立派な林があるなんて。しかも林の手前には小さな湖まである。


 先回の講義の終わりに『次回は実地で薬草集めを行う』と告げられた。

 実習という言葉を聞き、街の外に出れるのだろうかと若干期待した。だが、実際は大神殿内。講義であろうと12の節からは学生のみで街の外には出れないという原則は貫かれていた。講義なので神官が一緒ではないかとも思うのだが、学生の数に対して神官が少なすぎるという理由で、やはり街の外はダメだという。


 では神殿内のどこで実習を?

 それが今いるこの場所。

 この林が位置する場所は、敷地内でも最奥かつ最北。しかも聖都イスの最奥最北も重なった場所だ。林を奥に進めば国境壁が確認できるとも教えられた。ただ、国境壁に近づくことはできないようになっている。国境壁よりも内側に安全面から結界が張ってあり、その内側でしか林の利用はできないとも説明をうけた。


「ナギ、何ボーっとしているのよ」


「ああ、モリス。こんな立派な林が神殿の敷地内にあるってすごいなぁ~って」


「それはわたしも思った。最初に教えてくれればいいのにって。街の外に出るの大変だったんだよぉ。馬車を借りないといけないし、市壁の出入りの手続きは面倒だし。ここなら敷地内移動用の馬を借りるだけでいいからね」


(そっちか、モリス......)




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