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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐11‐1 魔法学講義室

 

「皆、ちゃんと来ているようだな」


 マグナルバの第一声だ。

 今回から魔法学の講義は魔法学講義室で行うと先回の講義の終わりに告げられた。今まではマグナルバの執務室が講義室として使われていた。部屋を移る理由がよくわからない為、聞いた時は驚いたがこの部屋を見て少しだけ納得がいく。


 全体としては体育館のような部屋だ。天井が高く、開放感がある。

 手前には講義スペースが置かれている。その奥は実技スペースなのであろう。数人の学生が魔法を練習しているのが見える。それを監督しているのであろう神官も何人かいる。

 講義兼実技室という造りだ。最低限のことを学んだことで、ここに場所を移した、いや本来の場所に移ったということなのだろう。


「見ての通り、奥は実技訓練が可能だ。今いる学生─先輩─達は自習中だな。君達も今日からは時間があればここで自由に実技訓練をしてもらって構わない。今この時間は君達の講義時間だが、中級や上級講義もここで行っている。そういう時であっても、邪魔さえしなければ好きに自習してもらって構わない」


「先生、今日から私たちも実技があるのですか?」


 誰かが質問している。確かにこんなところへ場所を移せばそう思う。だが、まだ学び始めて二節ふたせつしか経っていない。そんな自分達で何ができるのだろうとも思うのだが。


「ああ、今日からの講義の流れだが、座学中心なのは変わらない。だが、防御・治療と君達に教えただけで、実際どれほど君達の技量があるのか確認が出来ていない。なので、毎回講義の終盤は実技訓練をしてもらう」


 マグナルバの言葉にナギサは少し驚いた。防御と治療の実技訓練ってどうやるのだ? 今まで自己訓練で自分自身に治療魔法を施したり、意味なく防御魔法をかけたりしていたが、それであれば自室で今まで通り練習していてもいいような気がするのだが。


「ああ、あと、見ての通りここには簡易な書庫もある。持ち出しは出来ぬが閲覧は自由だ。ただし、その書物に対して資格がないと読めないのでそれは諦めてくれ」


 そう、ここの講義スペースの壁面には書棚が設えられていた。この部屋に入った時、奥の実技スペースに驚くよりも先にこの書棚に視線が持っていかれた。勝手に見てよいのかわからなかった為、このお許しの言葉はありがたい。自由にこの部屋に出入り出来るのであれば、後でまたじっくりと見てみよう。




 ざわつく皆を気にもせず、マグナルバは講義を始めるから席につけと言う。

 魔法学の講義はいつもと変わらず呪文構文の説明である。いつか自身で呪文を編み出す時に役立つからと─毎回そうなのだが─かなり細かい箇所まで丁寧に説明される。


 そういえば、構文の説明でマグナルバが以前こんなことを教えてくれた。

 イメージが沸くことで呪文が編み出せたとしても、そのまま使い続けてしまうとあっという間に他人が使い出してしまう。皆に使って欲しいと願う場合は問題ないが、それは自分が編み出した呪文だから勝手に使わないでほしいと考えるなら、錬金と同じく魔導工房で登録が必要だという。

 最初から無詠唱で使えるならともかく、そうでないのであれば安易に新しい呪文は口にしないほうがよい。そして呪文の構文を確認し、読唇阻害等の呪文を編み込んでおいてから登録に行くべきだとも説明された。

 とはいえ、既に星の数ほどの魔導士がこれまでに生きてきた。一人一つ呪文を編み出したと考えてもそれはもう膨大なもの。魔導工房で既に登録済みとほぼ間違いなく言われてしまうだろうと。


 では、その既に存在する数々の呪文を知るにはどうすればよいのか? である。

 既にあるなら編み出すより、知ればいい。そのほうが簡単だ。手段としては大きく3つ。

 学校や私塾で教えてもらう、ちょうどこの学舎がそれだ。

 師について教えてもらう。これは他国では多いらしい。

 魔法書を買って覚える。これは莫大な費用がかかる。


 当然これら以外にも、迷宮内の発掘品から、神々から、といろいろ既存の魔法を知る方法はあるという。


 だが、魔法を数多く覚えたとしても使いこなせなければ意味がない。効果が高い魔法ともなれば、魔力量・技量も相応に必要である。なので、そこまで呪文をかき集めるような真似はする必要もないし、勧めもしないとマグナルバは皆に説明していた。




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