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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐10‐6 ウーラニア

 

「ありがとう。とても気に入ったわ。お礼と言ってはなんだけど......」


 ウーラニアはナギサに呪文を一つ教えてくれた。盗聴防止と読唇阻害を併せ持つ呪文である。ナギサが魔道具で張った結界は技量が低くて周りから結界を張っていることがまるわかり。おまけに結界範囲もほぼ自分のまわりだけ。今も少し遠くから見れば薬草園で稚拙な結界を張って何かしている学生がいるという状態で、若干怪しく思われてもおかしくないと言われてしまった。


「まぁ、暗くなってから大神殿ここで出歩く者は滅多にいないから、ここでは安心だけど。とは言っても、わたしやあなたのような変わり者は夜の散歩をするから気を抜かないほうがいいわよ」


「はい、ご忠告をありがとうございます......」


「それと、この呪文はあなたから他人には教えられないから。魔法学で学ぶ呪文と同じで神祖契約に縛られているわ」


 カエルにも教えてあげたいと考えていたが、どうやらそれは無理らしい。


「あの、ウーラニア様は神様なんですよね? 何故ここに?」


「今日は《女神》に久しぶりに会ってきたの。で、大神殿ここが今どんな状態か気になって。街はよく見て回っているのだけど、大神殿内はしばらく来ていなかったから。そうそう、彼女にあなたのことを聞いて、あなたにも会ってみたかったのよね。そんなことを考えながら歩いていたら」

 何故かそこでウーラニアがフッと笑いをこぼす。


「???」


「ごめんなさい、だって、あなたったら、すごく目立つんですもの。ほらさっきの結界」


 余程目立っていたようだ。それしか出来ないのだから、そこまで笑わなくてもよいのにと考えてしまう。


「ごめんなさいね。そう、《女神》に会ってあなたのことを聞いて。あるじのところから連れてきたっていうから興味があったの。でも、それこそさっきの結界がなかったら見つけれなかったかも。あなた、鑑定阻害と鑑定偽装でものすごく護られているのよね」


「それはどういう?」


「まぁ、自覚はないわよね。術者が説明していないようだから今の話は聞き流しておいて。そのうち説明してもらえると思うから」


(そんな!)

思わずナギサはウーラニアを凝視してしまう。


「そんな目で見ても、ね。それより、彼女の名前を探し出す努力をしましょう。わたしも彼女の友人として早く名前を取り戻してあげたいのだから」


「はぁ、それには同意しますが。それならば、わたし、《女神》様にお会いしたいのです。そのことを伝えておいていただけませんか? すぐにまた会えると言われてはいるのですが、もう一度当時のことを直接聞いてみたくて」


「わかったわ。伝えておく。じゃぁ、今日はこれで。わたしは人界したにいることが多いから、見かけたら気軽に声を掛けてくれると嬉しいわ。あ、歌、本当にステキだったわよ」

 ウーラニアはそれだけ言うと、スッと姿を消してしまった。


 現れた時も、横にいた時も、今も、存在を感じさせなかった。あれが神というものなのだろうか? だがそれ以外は人並み以上の美貌であること以外、人との差がわからなかった。他の神がどんな感じなのかわからないし、ウーラニアもいつもあんな感じなのかもわからない。

 でも、これで神々が人界に気軽に降りてきているというのは、なんとなくだが理解できた。だが、神が皆、ウーラニアのようであったら、気が付かないだろう、とも考える。最初の神官姿、あれでは絶対に気づかない。見かけたらとさっきも言われたが、あの姿では恐らく無理。


 神もなかなか無茶を言う。




 △▼



《ウーラニア、ナギサはあげないよ》


《クラウスなの? もう、過保護ね。盗聴防止を張っていたのだから遠慮ぐらいしてくれないかしら?》


《ナギサに関しては無理だよ。気に入ってもいいし、手助けしてくれてもいいけど、あげないからね》


《何度も言わなくてもわかっているわよ。名前探しの仲間なんだから顔ぐらい見ておきたかったの。確かに面白い子だけど、そこまで気に入るって何かあるの?》


《ウーラニアはそんなこと気にしなくてもいいんだよ。ただ護ってくれればいいの》


《何よそれ。勝手なんだから》





ナギサの物語にお付き合いいただいてありがとうございます。


やっと、というかもう90話!

読んでくださる皆さまのおかげです。


これからもよろしくお願いします!!

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