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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐09‐4  神の間2



目を見開きクラーヴィアを見つめるナギサに対し、クラーヴィアからも驚愕の表情で見つめ返される。


「クラーヴィア、お久しぶりね」


場の空気を読んでいないのか、単に無視しているのか、先程と変わらぬ口調で《女神》がクラーヴィアに話しかける。


「《女神》様、ご無事でしたか! ここまで長くお会い出来ないのは久しくなかったので、とても心配しておりました」


流石は一国の長、なのだろうか。気になるはずのナギサのことは一先ず後回しにして、まずは《女神》へ礼をとっている。

そしてそのまま二人で空白期間のすり合わせのような会話が続くのを、ナギサはその横で興味深く聞いていた。




「ところで《女神》様、彼女はやはり《女神》様が?」


クラーヴィアがナギサを見つめながら《女神》に問いかける。


「ええ。ナギサは旅商人の娘。両親と共に街道を移動中、盗賊に襲われていたところを偶然見かけて介入したのだけど。ご両親は...... その時の衝撃が強かったのね。ナギサはそのまま倒れてしまって。わたしでは何もできないから、ヴィア、貴方に託そうと思ったの」


「──そうだったのですか。それは痛ましい...... でも、それならば何か言ってくだされば......」


クラーヴィアは当然と言えば当然のことを《女神》に言っている。


(その不幸すぎる設定、わたしにも説明が欲しいです......)

当事者であるナギサ自身が一番説明が欲しい気持ちになっているのだが、当然ここで口は挿めない。《女神》が設定として語る両親の死に、ただただ目を見開き、口をポカンと開けて聞くだけである。


「ごめんなさいね。その時に無理をしてしまって、眠りに入ってしまったの。ヴィアも知っている通り、今のわたしには制限があるから」


(制限? 神様なのに?)


「それでね、ヴィア。わたし、ナギサに手伝ってもらおうと思っているの」


(おおっ、本題!)


「! 何か進展が?」


「いえ、進展はないわ。それよりも、少し問題が起きはじめているの。先日の浄化、覚えているかしら?」


《女神》がクラーヴィアに説明を続けている。ナギサがタイミング良く口を挿む機会がなかなか巡ってこない。《女神》が先程口にしていた自身の設定からして理解していないし、今問題とされている浄化についてもいつのことかすらわからない。わからない、わからない、で話を聞いていてもますます疑問が増えて、続く話の理解を妨げている。


それでも横で聞いている話を乱暴に一言でまとめれば、《女神》の影響力が聖国から薄れてきている為にいろいろ大変なことが起き始めている、ということらしい。


その解決策は、影響力を増すこと。その為には《女神》が人界に降りる必要があるらしいのだが、それが出来ないようだ。これが先程の“制限”らしい。



《女神》が人界に降りることを妨げている原因の除去。どうもそれがナギサが手伝うべきことのようだと、話の流れから推測する。

では、その原因は? どうも周知のことなのか、肝心のそれに触れることなく二人は会話を続けている。


「あの、もう少し説明をしていただきたいのですが......」

このままでは何もわからないまま話が進んでいってしまう。そう判断したナギサは恐る恐る質問を投げてみた。


「えっ?」

クラーヴィアが目を大きく見開き不思議そうにナギサを見つめる。


「あら、そうね。ごめんなさいね。ヴィア、ナギサは記憶を失っているのよ」

《女神》の口振りは本当にうっかり忘れているように聞こえる。


「あっ...... そうでした。でも、そうなるとナギサさんはご両親のことも覚えていないと?」


「ええ、恐らく。それにお手伝いの件は何も伝えていないし、わたしの現状も知らないと思うわ。知らないというよりも記憶喪失で覚えていないというのが正確かしら?」


ナギサがコクコクと頷いているのをクラーヴィアは見ると少し困った表情をする。


「どこまでナギサさんに?」


「そうね─」


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