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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐08‐3 今は時間が

 

「ただいま、と言いたいところだけど、まだね。今の行程だと収穫祭が終わってからになるかな、大神殿に戻れるのは。あといくつか回らないといけない村があるんだ。頼まれていた商品を納めないと行商人としての信用にかかわるからね」


「では、何故、こ・こ・に・い・る」

 ウォーリが若干語気を強めてリュークに問いただす。


「ああ、だって君達三人が揃っているんだよ、しかもヴィアの部屋に。こんな好条件はなかなか、ね」


「その人たらしの笑顔はいらん。つまり、わたし達に言うべきことがある、と」


「ふぅ、相変わらずだなぁ、ウォーリは。マギーも黙っていないで少しは相手をしてほしいな」


「リューク、わたしが言いたいこともウォーリと変わらないが、それでもいいか?」

 マグナルバはつっと目を細めると静かにウォーリへと視線を向けた。


「はぁ、真面目だねぇ、君たちは...... じゃぁ、まずは忠告」




 リュークが忠告と言って話し始めた内容は、今三人が話し合っていたことに通ずることであった。


 ここ最近、ヴィルディステ聖国の大地の力がかなり弱ってきている。

 このため予期せぬことが起きやすくなっている状態らしい。

 先程三人が考えていた巡回時の調査強化は望ましい動きではあるのだが、以前より危険が伴うと考えられる。

 念のため護衛の騎士を増やすか、技量の高い騎士や神官を巡回の班員にしたほうがいいという。

 そして、通常の巡回に人手を取られるので、神官、騎士ともに技量の底上げをすべきであるとも付け加えられた。


「で、お願いが一つあるのだけど。今回の収穫祭。《女神》への祈りをいつもより厚くしてもらえないかな?」


「リューク様、それは......」


 その言葉にクラーヴィアは“神の間”に呼ばれない理由を察する。

 恐らく何らかの理由で《女神》の力が弱っているのだ。何かで力を使いすぎたということが一番考えられるが、ここ最近《女神》の力が削られるような大きな出来事はなかったと記憶する。

 いずれにしろ《女神》の力が弱っているのであれば、人々にできることは祈ることのみ。収穫祭での祈りは特別なもの。祈りが直接《女神》の力になるわけではないが、祈りが力の回復に影響するというのは昔から言い伝えられていることである。


「そういうこと。もう少し詳しく説明できるといいけど、少し差し障りがあってね。今日はこのことを君達に伝えることが目的だから、僕はそろそろ戻るね」


「リューク様、もう戻られてしまうのですか? せっかくの機会なのですから、もう少しゆっくりなされても」

「ああ、わたしも話を聞きたいと思うが。先日の酒の礼もしたいしな」


「二人とも悪いね。あまり長時間抜けれないんだ」


「リューク、待て。あの護符のことだけでも説明が欲しい。あれは何だ? わたしはかなり焦ったぞ」


「ん~、ごめん。護符としか今は言えない。ほんとに時期が来たら説明するから。あの子を護る為に必要なものだから、それだけは信じてほしいな」


 人懐っこい笑みを浮かべたままそれだけを話すと、リュークは現れた時同様、すっとその場から消え去っていた。






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