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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐08‐2 3人がいて

 

「荒れるな、ウォーリ」


「これが荒れずにいられるか! この状況に何の違和感も抱いていないのだぞ!」

 マグナルバがウォーリに落ち着くように声をかけるが、あまり効果はないようだ。


「そうねぇ。少しは違和感を持ってほしかったかしら。やはり現場から離れて、神殿内のことばかりにかまけていると、そういう感覚が鈍るのかもしれないわね」


 手に持ったカップをテーブルに置きながら、クラーヴィアが落ち着くようにと言葉をかける。

 だが、ウォーリは部屋の中をいったりきたりと、やはり落ち着きがないままだ。


 ウォーリは参事会の後、アースターや同行した魔獣討伐隊に聞き取りを行った。危惧していたことをより一層裏付けるような項目を幾つも彼らは話してくれた。

 だが、これらのことをあの時、参事会で報告させたとしても、きっと彼らには上手く伝わらなかったであろうと考えると頭が痛い。

 砂狐と黒蜘蛛。この2点で違和感を持たない時点でかなり問題なのだ。


 砂狐。名前に“砂”が付く通り、砂漠地帯や乾燥した場所を好む魔獣である。それが南部地方とはいえ聖国内にいた。国境壁をすり抜けてきたことになる。魔獣商人から逃げ出した可能性も否定できないが、とにかく砂狐が聖国内に住み着いていることに違和感がある。


 そして、黒蜘蛛は普段人里近くまで来ない。人に呪いをかけても黒蜘蛛が捕獲できるほど弱らせるのに時間がかかるからだ。たとえ弱体化させたとしても捕獲する為に糸を巻き付けるだけでも何倍も苦労する。そんなことをしている間に討伐されてしまったら意味がない。

 森や林の奥深くで迂闊な小動物を狙った方が効率的なのだ。それが子供が枝拾いに入るような場所にまで出てきているというのは普通ではない。


「とりあえず魔獣の生息域に異変がないか調査が必要だ。通常の国内巡回のものに基本調査は頼むとして......」


「そうだな、あとは行商人達に魔力溜まりの時と同様に、何か気づいたことがあれば報告してもらうように依頼しておくか」


 ウォーリの言葉にマグナルバが追加で案を出す。


「そうねぇ。フィデューシや商会に声をかけておくのがいいわね」


 ふわりとクラーヴィアが笑みを浮かべ、ウォーリへとそのブルーグレーの瞳を向ける。


「ん? なんだ、ヴィア?」


「何も。気にしないで」


 クラーヴィアは柔らかな微笑みを浮かべているが、何かウォーリへと言うことがあるというわけではなさそうだ。





「お邪魔するよ」


 唐突に聞こえた明るい声に、三人が振り向けば、金の髪色の青年が立っていた。



「「リューク!」」


「リューク様......」


 三者三様、驚きに目を見張り、思わず声が出る。




「ヴィア、様はいらないって、僕は言っているよね」


「でも、リューク様はリューク様ですから」

 今までも何度もリュークに様付けは不要と言われているが、クラーヴィアは常にリューク様と呼びかけ、今もニッコリと微笑みながら受け流している。



「リューク! 戻ってきたのか?」

 そんな二人のやり取りなど気にもせず、ウォーリがリュークについと詰め寄った。




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