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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐06‐1 巡回?

しばらくセラスのお話が続きます。

 時間は少し遡る。


 10の節の第二週。早朝である。


 収穫祭─秋の巡回─へ出立するため、神官達が集まってくる。その中にはセラスも含まれている。


 集合場所にやってきたセラスは集まった人々を見てその豪華さに驚いた。

 班長を務めるのは副神官長の一人、アースターだ。何人かいる副神官長の中では一番の若手と記憶するが、それでも神殿内の要職だ。そのような立場の人物が収穫祭のひと班を率いることはかなり珍しいはず。


 その他のメンバーも先回セラスが同行した収穫祭に比べるとかなり優秀な者たちが揃っている。今さら収穫祭で実地能力を上げる必要もなさそうな先輩神官達ばかりである。


 周りを見れば、手伝い要員であるセラス達神官見習いも、秋の巡回が2度目や3度目といった経験者ばかりだ。


 流石に交代要員は例年通りの人選、将来が期待されている若手神官達である。

 各村には2~3名程大神殿より神官が派遣され常駐している。派遣先の村にそのまま居着いてしまう者も若干はいるが、基本数年で交代である。

 その交代要員はこの巡回に同行し、帰還する神官との引継ぎ作業後村に駐在することになる。そして大神殿に帰還する神官が帰りには一緒になる。

 駐在期間が長い為、荷物などが多く、道中の危険回避も兼ねてこの巡回に同行するのが慣例だ。


 この豪華な顔ぶれに対し、護衛につく騎士達の人選がもっとおかしい。

 彼らが纏うマントを飾る紋章は魔獣討伐隊のものばかり。本来秋の巡回の護衛どころか、通常の巡回任務すらあたらない精鋭だ。危険な魔獣が現れた時に臨機応変に現場へと派遣される部隊である。

 いつもであれば騎士達も中堅を数名、後は実地訓練を兼ねて騎士経験が浅い者たちが護衛に選ばれている。


 自分達見習いや交代要員がいなければ、これは本当に秋の巡回なのだろうかと疑ってしまう人員構成である。




 セラスが周りを観察していると、アースターが皆の前に立つ。

 ざわざわとした雰囲気はなくなり、皆がアースターの話を聞く姿勢となる。


「一部の者たちには連絡済みですが、今回の秋の巡回では定例業務以外にもう一つ重要な任務があります」


 アースターはこう切り出すと、今回の追加任務について説明を始める。騎士達には予め通達済みのようで、彼らは淡々と話を聞いていたが、セラス達見習いや交代要員の神官達は一様に驚きの表情を浮かべている。


「聖国南部に点在する“魔力溜まりの浄化”を一気に行います」


 追加任務の内容に、セラス達の驚きの表情に恐怖が追加される。雰囲気もざわざわとしたものから、ヒソヒソとしたものに切り替わる。


 なんでも最近、国の南部で魔力溜まりの存在が報告された。

 通常は見つけたとの報告で専用の浄化班を編成し浄化に向かう。

 だが、今回は複数、それも数個ではなく二桁の数の魔力溜まりが報告された。これらは定期巡回の騎士達や旅商人からのもので、それらが一時期に固まって上がってきたのだ。

 報告ではどれもまだ小さなものばかりで脅威度はほぼない。ただ近接した場所に点在する為、お互いが喰い合って巨大化する懸念があるという。


「今回は魔力溜まりの数も多く、またこちらの人員も多いこと。魔力溜まり近辺での魔獣狂暴化も考えられます。そのため、魔獣討伐隊へ護衛を頼んであります」


 この言葉でますますセラス達の表情は暗くなる。これはのんびりとした巡回業務ではなく、戦闘を伴う可能性が高い、遠征に近いものになるという断りだ。


 その後の話は行程の説明や個々の役割、乗り込む馬車の割り振りなどが事務的に告げられ、準備が整えばそのまま出発となった。


 セラスが前回巡回に加わった時は魔獣に襲われることもなく、各村で事故や事件もなく平穏な旅であった。

 だが、今回は......


(“巡回”ではない。これは“遠征”だわ)




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