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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐05‐4 ファイヌムは自問する

 ナギサが退出した後、ファイヌムは水晶玉を手に取りそっと魔力を込めてみる。


 魔力量:ランク21


 魔力量が少し増えていた。たまには自身でもやってみるものだな、と思いながら先程のナギサの問いを思い返す。


『どうしてここまで気にしていただけるのですか?』


 自分でも不思議ではある。学生達の名前を覚えるようにしてはいる。だがそれは彼らと友誼を結ぶことが目的ではない。ナギサが見て取ったとおり、わたしは学生達へと干渉するつもりは毛頭ない。

 周りは誤解しているが、わたしの目的はもっと現実的だ。馬達に何かあったとき()()()()()()()()()()()為。ただそれだけのことだ。


 だからナギサのことも名前はいつものように覚えただけである。ただ、彼女は訳ありの途中編入だったのと、馬達が最初彼女を避けていた為、印象には残っていた。

 馬達に何故彼女を避けるのか聞いても『なんか違和感がある…』とこちらが違和感を持つ返事しか返ってこなかった。


 それが、急に馬達の態度が変化したのだ。

 普通に接するようになっただけでなく、一部の馬達はすっかり懐いてしまった。普通に接するようになった理由を馬達に聞いても『安心した』と、また意味不明な返事である。懐くようになった理由については『…』と無言であることでますます腑に落ちないのだが。


 こんなことがあったせいで印象に残っていたこともあり、秋休暇の人手不足時に臨時手伝いを頼んでみた。すると、クラウスまでが骨抜きにされた。わたしと主人であるリューク以外の言うことなど一切気に留めないクラウスがだ。

 しかも、リュークが居合わせた日には膝を折ってその背に乗せるという、気位の高いクラウスが何故! と驚きしかなかった。主人であるリュークも最初は驚いていたが、何故かとても喜んでいるようで、嬉しそうに手綱を片手に運動場を一緒に回っていた。


 不思議と言えばリュークもだ。

 あれだけの容姿に人当たりの良さ。誰もが近づきたいと寄ってくるが誰とも均等に親しく、必要以上に近しくなっていない。ただ近寄った人達自身は特別感を、友人として遇してもらっていると思い込んでいる。

 わたしにも友人であるかのように接してくれるが、実際は必要以上に踏み込ませない。まぁ、わたし自身もその傾向があるのでお互い様だが、このことに気付いて友人付き合いをしている人はどれだけいるのやら。


 そんなリュークがナギサには踏み込んでいる。ナギサに聞いた話ではあの時で2度目。普段のリュークではあり得ない。


 わたしがナギサに興味を持つ理由のひとつとして、リュークのことも関係しているのは確かだな。


 ナギサ自身は記憶喪失というだけあって、どうしていいのか不安である、といった表情をよくする少女。そして孤児であるということで、まだ周りから浮いているようだが、春先に比べれば随分とそういう雰囲気も薄れてきている。


 まぁ、あれこれ考えてもわからないな。

 ただ、なんとなく放っておけない、っていう気持ちが湧いてくるのだよな。あと、接点を持っていたほうがいいと、直感が告げている。

 ま、こんな理由は流石に本人に向かっては言えないな。




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