2‐04‐3
錬金の講義が終わり、食堂へ友人達と向かう。
「う~ん、結局練習したくても素材を自前で用意するのが大変よね?」
「あと、鑑定魔法も壁じゃない? 正しく判定できなければ意味がないし」
「そもそも錬金の自習といっても、今知っているレシピって疲労回復ポーションだけだよ。これ、そんなにたくさん必要ないよね?」
どれもこれもその通りである。ナギサも皆もしばらく無言で歩きながらどうしたものかと考え込んでしまう。
「まずは鑑定魔法から、だね」とカエル。
「そこらにあるものをとにかく鑑定して、鑑定の技量をあげるんだ。だから当然暗記もしないと、だけど。それと、さっきいろいろなモノに鑑定を試してみてわかったけど、対象によって魔力がかなり減るから気を付けたほうがいいよ」
カエルは先の講義中、作成したポーション以外にもいろいろと鑑定をしてみたそうだ。それこそ攪拌棒や素材の血液まで。当然覚えたばかりの鑑定魔法、どれもこれもまともな鑑定内容は得られなかった。それどころかちょっと変わった素材のものを鑑定したときはゴッソリ魔力を持っていかれてかなり焦ったらしい。
「じゃぁ、まずはそこからかな。魔力欠乏で気を失うのはちょっと恥ずかしいし、危険だから」とナギサは以前の失敗を思い出し友人達に話す。魔力欠乏が危険と知ってはいるが、やはり目の前にそれを体験した友人がいるのは現実味がある。
ただ少々藪蛇だったのは、何を危険なことをしているのだと心配やら注意やら散々言われてしまったことだ。
「そうは言ってもわたしはポーション作成を中心にしたいなぁ。カエルやナギと違って魔法よりも錬金重視なんだよねぇ」と口を尖らせるのはモリスだ。
彼女は錬金を極め、ゆくゆくは究極のポーションを開発してみせる、とよく皆に語っている。
魔法学の受講も一応希望はしたのだが、マグナルバとの面接で自分は向いていないと判断し受講しなかったそうだ。魔法が使えればと思うが、それよりも錬金に集中して時間を割きたい。未知のポーションを作成したり、新しい魔道具の開発や今ある魔道具をもっと良いものに改良したい気持ちが勝ったらしい。
そんな彼女だからか、わたしやカエルの提案はのんびりとしているようでもどかしく感じるみたいだ。
「そうなるとやっぱり実践か。必要な素材集めよね。街の外に出て狩りなんて無理だけど、どうするの?」
「あ、それなら食堂の調理手伝いでもらえないかな? ほら今日使ったのって野兎の血液だったよね?」
「それ良い案かも。野兎以外の魔獣の血液も使えるのかな?」
余程大声で話していたのだろうか、先程助手をしていた神官の一人が話しかけてきた。
「早く上達したい気持ちはわかるけど、鑑定魔法をしっかり身につけることが第一だよ。正しく出来ているか、目的のものができているか、それが分からないと先に進むのは難しいからね。錬金したら鑑定。その繰り返しで出来ていないところを改善していくのが上達の近道だよ。
それと野兎の血液は君達が言っているように調理場で頼めば取り置いてくれるよ。それから、廊下で大勢で立ち止まっての会話は褒められたものではないね」
その言葉に皆でお礼と謝罪を述べ、立ち去る神官を直立不動で見送ったのだった。




