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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐04‐2 出来たのかな?

 言われた通りのことを行ったのだから出来ているのではないかと学生達がざわつき出す。ナギサもカエル達と思わず目をあわせて「そんなことを言われても」と戸惑いを隠せない。


「言われた通りに行ったから結果が正しい。世の中そんなに上手くいくことはない、ということは皆さんぐらいの年齢になればもうわかっていますよね?」

 老神官はそんな言葉とともに片手をさっと一振りする。


 すると、皆の眼前に呪文が現れた。


 言葉にすると可笑しな感じがするが、まさしく目の前に呪文と思しき文字列が浮かんでいる。透明の紙に記されているのか空中にそのまま書き記されているのか、皆ぞれぞれの目の前に浮かんでいる。


(確か...... 健康診断の魔力測定結果がこんな風に表示されたっけ......)


「それは鑑定魔法の呪文ですよ。無属性ですし、初歩の初歩の魔法です。この錬金学を履修しているのであれば、魔力ランク的にあなた達にも使える呪文ですよ。魔力を込めて鑑定したい物に対して唱えてごらんなさい」


 皆のざわめきは先ほどの比ではなかった。まさか錬金学で呪文を教えてもらえるなど。しかもいきなりである。皆戸惑いつつも、今作成したポーションへ試すもの、そこらにあるものへとりあえず試すもの、ただひたすら呪文を暗記しようとするもの、様々な反応だ。当然、初めて呪文というものに触れる学生も多く、その戸惑い方は様々である。


 老神官からは「この呪文は暗記ですよ。普通の紙に記そうとしてもできないですからね。ただ、ここで錬金を行うのであれば、見ながら詠唱してもいいですよ。暗記が苦手であれば無理をしないでくださいね」と注意が入る。


 ナギサはとりあえず暗記しようと考える。メモ書きはダメでも、覚えてしまえば魔導書に自動的に記されるはず。それからいろいろ考えればいい。横を窺えばカエルもナギサと同様の判断をしたようで、ひたすら呪文を見つめてブツブツと言っている。


 学生達の様子を眺めながら老神官がそのあといろいろと鑑定魔法について補足説明をしてくれる。

 技量が伴わなければ対象の名前すら鑑定できず、技量が低いほど魔力を消費し、対象の格が高ければ高いほど魔力消費が激しい、と。技量を上げる方法はひたすら鑑定するのみ。ただし、神の加護や生まれ持った素質が影響する場合もあるという。そして、この呪文は人に対しては無効であることも念押しのように言われた。


 ナギサは呪文をなんとか暗記すると、まずは自作のポーションを鑑定してみる。


 名称:疲労回復ポーション

 カテゴリ:薬

 効能:不明

 効能レベル:不明

 属性:不明

 特記:不明


(…そんなもんだよね)


 とりあえず疲労回復ポーションではあるようだ。ただ、これを服用して安全なのか、効果があるのかがさっぱりわからない。なにせ「不明」のオンパレードである。


 口をすぼめて薬瓶を持ち上げて見つめるナギサに、「ちゃんと出来ていますよ。効き目はまだまだですが、疲労回復に使えます」と再び助手が優しく声をかけてくれる。

 見渡せばあちらこちらで同じようなやり取りが行われている。




「今日の講義はここまでとしますよ。今回作成したポーションは差し上げますからね。ただし、作成時に使用した道具類は洗浄の部屋へ持っていってくださいね。薬品作り、いえ、錬金には清潔が一番大切ですからね」


 老神官はそう言い残して実習室を出て行った。

 残った助手達が「平日で講義がない時であれば実習室は自由に使ってもかまいません。ただし、水以外の素材は自分で用意すること。使った機材は今日と同様洗浄室へ持っていくこと」と皆に説明してくれる。やはり慣れることが一番なので、錬金を将来目指すのであれば自由時間を活用してほしいとの助言もあった。

 そして、

「完成品ですが、鑑定魔法で内容が安全であることが確認されてから、自身なりお友達なりに試してくださいね」とくぎも刺されたのだ。



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