2‐03‐3 初めての魔法の講義が終わり
講義が終わりナギサはカエルと食堂に急ぎ向かう。
先日の履修説明で一緒だった友人達のうち、今秋学期から魔法学を受講するのは結局ナギサとカエルの二人だけ。
他の友人達は受講条件を満たしていなかったり、講義内容が希望と違うからといった理由で今回は受講していない。
カエルーカエルレウスは優秀で、恐らく春学期では一番の成績ではなかろうか。元の世界のように成績を順位付けするようなシステムはこの学舎ではない為、実はもっと優秀な生徒が他にいる可能性もあるのだが。
それはまぁいい。
そうとても優秀なのだが、セラスをすごく信奉?崇拝?尊敬?まぁそんな感じでとても憧れを持っている。
春学期入学とはいえ後から編入し、しかも孤児扱いのナギサは当然周りから浮いていた。だが、セラスと気安いナギサに気づいたカエルはものすごい勢いでナギサに近づいてきた。
『セラスさんと仲がよろしいのですね! ナギサさん、是非わたし、カエルレウスと友達になってください。そしてセラスさんを紹介してください!』となんともストレートな物言いで話したのが友人としてのきっかけだった。
なかなかの出会いではあったが、その時に止めに入ったカエルの友人達もその場のゴタゴタで知り合い、今に至っては友人といってもよい程度にはカエルも込みで仲良くなっている。
「じゃあ早速、さっきの魔道具を使おう。盗聴防止と読唇阻害効果だっけ......」
カエルはそう口にするよりも前に魔道具を起動させている。
それはナギサ達魔法学受講者が講義室外で授業内容を話し合えるようにとマグナルバから借り受けた魔道具だ。
学舎入学時に与えられた指輪とセットリングになるような形状である。これで講義内容を盗み聞きされたり、口の動きで内容を知られたりする心配をせずに話ができる。
ただしこれには難点がある。この魔道具で盗聴防止と読唇阻害効果を発動させると、周りから“それ”をしていることがまるわかりなのである。単純にこの魔道具で発動する魔法が低レベルなためで、高レベルな“それ”であれば他者から気づかれることもなく盗聴防止と読唇阻害が行われる。
そんな理由からか、このまま借り受けていても良いらしいが、大半のものは学舎を卒業するころにはもう少し高レベルのものを自身で手に入れるか、自ら魔法を唱えていることが多いとマグナルバには言われた。
「僕、まさか初日から呪文の暗記が待っているとは思わなかったよ。ナギは随分早く暗記できていたよね」
「わたしも驚いた。もっと丁寧にゆっくり進めていくのだと想像していたから。わたしで暗記するのが早いなら、カエルだってすごく早いよ。すぐに何度も何度も魔導書を消したり出したりして試していたでしょ」
「アハハ...... 調子に乗りすぎてマグナルバ先生に真面目にやりなさい! って言われちゃったな。そういえばさ、神官さんと神官見習いさんも講義を受けていたよね。これにもかなり驚いたよ」
「うんうん。セラスは学院で学んでいるって言っていたから、てっきり神官見習いからは学院で学ぶんだ、って思ってた」
学舎を卒業して神官見習いとなる。見習い期間中も学業を続けたい場合は学院で学ぶ、そう聞かされていた為に先の講義ではあの二人も受講者であると知って驚いたのだ。
「そこら辺のこと、セラスに聞いてみようかな」
「あ、じゃぁ、その時僕もいっしょに! セラスさんとお話する機会、是非とも!」」
「カエル...... ほんっとに、セラスのことが好きだよね」
「いえいえ、違うんですよ、ナギ。これは崇高なる敬意をもってですね、セラスさんのお言葉を聞くことができる貴重な機会。その栄誉にあやかりたいと......」
カエルにこの話題を振ってはいけなかった......
少し修正を入れました。
魔道具のセットリングの効果で「隠蔽」とあったものを「読唇阻害」に。
読唇阻害って広義の隠蔽だと考えてこの時はこう書いたのですが、話を進めていくと少しあやふやで紛らわしく感じることが増えたので。




