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ガシャポン彼女
私は、度重なる整形手術を経てこれ以上ないくらいの美貌を手にした。多くの男が、私をものにしたいことだろう。
ある日私が歩いていると、ガシャポンの前で泣いている女の子がいた。どうしたの、と声をかけると、百円玉を落としてしまい、ガシャポンが買えない、と言う。
かわいそうに。財布を見ると、ちょうど百円玉が一枚あったので、彼女に与えることにした。女の子は可愛らしい、しかし舌足らずな声で、ありがとう、と言ってくれた。
女の子は、嬉々としてガシャポンのレバーを回す。ガコン、という音がして、カプセルがでてきた。
それを手に取ると、女の子の顔は急に曇った。ダブったからこれ要らない、と言って、すたこらさっさと逃げるようにしてどこかへ行ってしまった。カプセルを開けてみると、大変可愛らしい着せ替えフィギュアだった。
それから数日後、私は拉致され、人身売買にかけられた。相当な高値で売れると人売りは笑っていた。しかし意外にも私は安値――どころか、売れもしなかった。どうやら、私の顔は最近どこでも見かけるようなものらしい。