第2話 まさかの再会
隣国との対立関係が続くリーベルは、戦争の危機が近づいているとして徴兵令を発令した。
さて、準備を始めよう。
意外にもルールは緩い。
髪型は肩までであれば自由、スマホなどの電子機器以外の持ち込みは自由だそうだ。
国民への配慮だそうだ。
これは嬉しい限りだ。好きな漫画でも持って行こうか。
とりあえず、漫画と服は配属先の寮に先に送っておこう。そう思い、箱に詰めた。
そんなことを考えながら準備しているうちに出発日当日になった。俺は住民票とパスポートを持ってハーゲルブルク駅に向かった。いまだに受け入れられない、まあ道中に出会った奴らもそんな顔をしていた。皆同じ気持ちなのだろう。
少し早く着きすぎた。
「まだ数人しかいないじゃん、」
駅は立派な煉瓦造り。いかにも歴史的建造物らしい。にしても雲ひとつない晴天、今の気分とは真逆だ。
数十分後、徐々に人が集まってきた。
俺は指示された場所へと並ぶ。
どうやら今回の徴兵は健康な男女どちらともに課せられるらしい。政府曰く男女平等とのことらしい。
にしてもこの右隣の女子どこかでみたことあるような、まぁ気のせいだろう。
しばらく待っているとお偉いさんらしき人が出てきた。
「我々自由主義リーベル国は敵対する独裁主義諸国との最前線に位置する。よって我々はこの国の防衛に全力を注がなければならない。皆の力が必要だ。この国を全力で護ろうぞ!」
「「はっ!」」
口先だけの返事だ。
少なくとも私はそうだ。
しばらくしてさまざまな人に見守られ列車に乗ってこの街を離れた。
ドゥクドゥクドゥクとディーゼル音とカタンコトンという車輪の音が車内に響く。
大きな山があってその手前に大きな畑が広がっている。のどかな田舎という感じだ。
やっぱ田舎しか勝んな。
やがて列車は首都であるベルブルクに着いた。
ベルブルクは人口900万人が住むリーベルで最も人口が多い地域の一つである。
駅の南の方には1000mにも及ぶ巨大な建物があるらしい。なぜそこまでして高いものを建てたいのかはわからんがまぁ、ベルブルクの象徴となっているので良いことなのかもしれない。
駅では地元の人々が国旗を振って出迎えてくれた。
まぁ、誰もいないよりはよっぽどマシだ。
陸軍訓練校に着くとまず健康診断をやるそうだ。
簡単な診断は今日済ませたが、明日以降精密検査を行うらしい。
そして、寮に入る前に持って入った持ち物のチェックをされた。数名携帯を勝手に持ち込み、没収、処分されていた。
自業自得だ。
持ってこなければガンガン課金したゲームのデータも残っていたのに。
荷物検査を終えてこれから数ヵ月お世話になる部屋に入ることにした。
「確か、俺の部屋は312...だからえーっと、」
この建物なかなか構造が難しい。階段と次の階への階段が真逆になっている。あと部屋番号が順番ではない。こんなことしてなんの意味があるのだろう。まぁいい。ゆっくり慣れるとしよう。
「お、着いたな。ここが俺の部屋か。」
どうやら相部屋らしい。しかし、ランダムに部屋を決めるとは軍の奴らも酷いもんだ。
「ガチャっ」
扉を開けるとそこにはどこか、頼りなさそうな顔をしている旧友がいた。
第一話 まさかの再会