家族旅行編:王都到着
サクサク行きましょう♪
後書きに近況と言うか雑談書いて行こうかと思います。
旅を始めて二週間。予定では一週間ほどで到着予定だったが、旅を進めるごとにアキハ達も乗り気になっていき、寄り道ばかりするようになった。
転移魔法による家への行き帰りがある事が前提だったとはいえ、外へ興味を示してくれるようになったのは大きな収穫だ。
そういう訳でアキハ達の好奇心を満たしながら歩いていけばあっという間に二週間。当初の予定とは大きくずれたけど、無事に目的地の王都アラドメレクに辿り着いた。
「すっげぇええ!! でっかっ!!」
「ルーキストにはこんな壁ないぞ」
「うわー・・・上の様子が全く見えないです・・・!!」
「・・・」
ハルナ以外の三人は王都アラドメレクを囲む城壁を見上げ、その大きさに驚いていた。
確かに高い。それだけではなく、攻められた時に迎撃するためであろう通路も内部には作られてるんだろう。いくつか通気口の様な穴も見える。
正に王都。国の最後の砦と言うべきか。
「ちょっと待ってねー・・・方角的に城壁に沿って向こうに歩けば門が近いよ。行こっか」
「うん!! でっかい町早く見てみたい!!」
もうミナツは待ち切れないとばかりに先頭を走る。転ぶなよーと声をかければわかってると返事をして、案の定こける。それを見て俺が動く前にマイが駆け寄って立ち上がらせる。
「全くもう、少し落ち着こうね? 焦らないの。わかった? 返事」
「うん!!」
「本当に分かってるのかなこの子は・・・お母さん心配だよ」
マイもかなり母親が板についてきたな。もう立派な母親だ。ハルナこそ俺にまだべったりだが、アキハとフユカは既にマイにもかなりくっつくようになっている。
やっぱり子供は母親がいると安心するんだろうな。
「ミナツはあれですね。いつかマミーと結婚するとか言い出しそうですね」
「・・・いいそう」
「ま・・・マミーには父さんがいるのにかっ!?」
「・・・なんで姉さんが焦ってるのさ」
「だだだだってそれって・・・はわわ・・・!!!」
今度アキハがそういう知識をどこから仕入れてるのか確認した方がいいな。多分チーザーあたりだとは思うけど。あの野郎絶対に面白がってアキハに余計な知識教えやがったな。
ゲラゲラ笑ってるチーザーの顔が目に浮かぶわ。
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「くしゅん!!」
「あら? 新藤さん風邪ですか?」
「いえ、元気なはずなんですけどね。もしかしたら、誰かが私の噂話でもしてるのかもしれませんね」
「新藤さん有名人ですからね。羨ましいですよ」
「下積み時代がやっと開花したって感じですよ。最初から人気者って訳でもなかったですから」
帰ったらゼッテェログインしてモンスターボコる。くしゃみ見られるとかマジ気分ワリィ 。
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王都に入るには身分証明が必要で、自身の身分が証明できない場合は、関所にて厳正な審査の後に、身分証明書を作ってもらえるらしい。お値段15000G。そこそこ高い。
「クランブレイドエンセスターの方々で確認が取れました。ようこそ王都アラドメレクへ」
「どうも」
「王都にはどのような理由で来たのですか?」
俗にいう入国審査という奴だ。この前の邪神宗教のように害なす存在を王都に入れないために全員に対して行っているらしい。
「家族旅行よ。この子たちは私たちの養子なの」
「馬車などは使ってないようですがどちらから来たのですか?」
「ルーキストから徒歩で来たの。私は魔法使いだから夜は一度拠点に転移して、翌日から前日の場所に転移してから歩いてを繰り返してね」
「どのような理由で徒歩にしたんですか?」
「この子たちの体力づくりと好奇心を満たすためよ。子供の内に色々経験させてあげないとね」
「納得できる理由ですね。失礼ですが所持金は?」
「宿代抜きで140万G程度あるわ。滞在期間は決めてないけれど、この子たちが満足するまではいるつもりよ」
「それだけあれば散在しなければ十分滞在できるでしょう。宿はもう決めてありますか?」
「中央の『豊穣の畑』にするつもりよ。あそこは部屋も広いし家族全員で一室借りれるから。それに王都何処へでも行きやすいからね」
「来たことがある方でしたか。それは失礼。そちらの男性と貴女の関係は?」
「さっきも言ったけどこの子たちの父親と母親よ。結婚式はしてないけど、事実上の夫婦みたいなものよ」
「ふむ、ではそこのお嬢さん。質問するから答えて貰えるかな?」
「・・・なに?」
「この人たちの言ってる事は本当かな? もし嘘なら正直に答えてほしい」
「なんでマミーが嘘いう必要があるの? 馬鹿なの?」
「なかなか元気なお子さんのようだ。ではそちらの君。この男の人は君にとってどんな人かな?」
「すっげぇカッコいい父さん!! 冒険してる時もすげぇデカイモンスターをスバンバシンって倒してくれたんだ!! かっこよかった!!」
「これが証拠になるかわかりませんが、今息子が言っていたモンスターの素材です」
「失礼・・・デスペラードⅡの爪ですね。なかなかの実力者なのですね。では貴方にも一つお聞きします。もしもあなたの子供たちに何かあればどうしますか?」
「絶対とは言いませんがその何かが起こる前に相手を処理します。無論常識的な範囲でですが」
「なるほど、大切なお子さんなのですね。殺人は大小関わらず罪なのでお子さんが大切ならば相手の骨を折る程度に留めておくことをお勧めしますよ。証言さえしっかりしていれば衛兵にも正当防衛だと認められますので」
「ご忠告ありがとう。そういう事なら不埒な輩にあったら骨を折る程度で済ませますよ」
「出来れば穏便にしていただけるとこちらの手間が省けますので」
「私が治癒魔法も使えるから問題ないわ。骨折程度で衛兵の手間は取らせないわ」
「・・・君たちのご両親はなかなか過激な方々だね」
「えへへ・・・大事なお父さんとマミーなので」
「その、うん。私たちは愛されているんだな。それが凄く、嬉しい」
「とりあえず、質問は以上です。よい家族旅行を」
税関の様な場所での質問は以上のようだ。対応してくれた兵士に会釈して、遂に王都の中へと足を踏み入れる。
「「「「・・・」」」」
圧巻とは、まさにこの事だな。街並みが今まで立ち寄った三つの町よりも大きく、立派だ。そして道を歩く人々も多い。特に目立つのはプレイヤード以上にNPCの量だ。
ここで生活をしているのがわかる服装で、人が行き来している。買い物袋を持つ主婦もいれば、ただで歩いているだけのカジュアルな服装で談笑しながら歩くグループ。
俺たち同様に旅行者なのか、大荷物を背負い、あちこち見ながら歩く人もいて、現実でいう所の都会って感じの光景だ。
「凄いでしょ? ここが人類領最大の都市アラドメレク。人類領のありとあらゆるものが集まる中心でもあるの」
「すっげぇ・・・・・・!!」
ミナツはもう目をギンギラギンに輝かせてマイの話に夢中だ。マイも何処からか取り出したガイドマップらしきものを手に、ミナツに色々説明している。
「・・・人が多い」
対してハルナは既にギブアップなのか、俺の背中によじ登りくっ付いている。仕方ないのでそのままおんぶしてやれば、寄りかかるように体重を預けてきた。
「悪いけどアキハとフユカは俺の服に掴まっててな? ハルナがこうなるとお前たちと手を繋げないから」
「大丈夫だ父さん。確かに人は多いが隣に父さんがいれば怖くない」
「私も平気ですよ。えへへ。本当はおんぶしてほしいですけどハルナ姉さんがもうダメそうですし我慢しますね。えへへ」
「フユちゃんそれなら私がおんぶしてあげようか?」
「ほんとうです・・・いや、やめときます。ミナツが凄い目で見てきたので」
「むぅぅ・・・」
ミナツが凄い目してる。今母さんは俺と話してるのに感が凄い。お母さんっ子と言うか少しマザコン入ってない? 俺ちょっと心配になるんだけど。
「こら、ダメだよナツ君。ナツ君はお兄ちゃんなんでしょ? フユちゃんには優しくしないと」
「・・・だって、母さんに色々教えてほしかったんだもん」
「しばらく滞在するから時間はたくさんあるよ。だから意地悪しない。わかった?」
「・・・わかった。フユカ、母さんにおんぶしてもらっていいよ」
「そうですか? ならお願いしますね。えへへ・・・おんぶおんぶ」
「どっこいしょっと。フユちゃん前より筋肉着いたね」
「えへへ、頑張りましたから」
「むぅぅぅぅ・・・!!」
「ほら、ミナツ、俺の隣おいで」
「っ! そうだフユカがこっち来たって事は父さんの隣空いてる!! やった!!久しぶりに父さんの隣だ!!」
・・・案外、俺が三人娘に独占されてたから、マイに甘えていただけかもしれんな。そう思う位にミナツのテンションが爆上がりしている。なんなら鼻歌まで歌ってる。まだまだ子供だな。
「にっひっひ! 父さんの右腕ってやつだな!!」
「ちょっと違うと思うが・・・ミナツがいいならそれでいいんじゃないか?」
「わかってないなぁアキハ姉さん。父さんの右側にいるから今の俺は父さんの右腕なんだぜ!」
「・・・バカだコイツ」
「なんだとコノヤロー!」
「・・・うっさい」
「はいはい。ハルナも喧嘩売らないの。ミナツもすぐに喧嘩買わない。この程度で怒ったら父さんの右腕になれないぞ?」
「はっ!! そうかも・・・!! わかったよ父さん!」
「・・・ごめん」
「ポジションも皆落ち着いたし、とりあえず宿行こうか」
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マイが選んだのは街の中央区にある大きな宿『豊穣の畑』。宿の受付嬢曰くアラドメレクで最高の宿らしい。食事に力を入れており絶対に満足させると力強く受け答えしてくれた。
因みに一泊の費用は、俺が毎日しているルーキスト周辺のモンスター討伐で得られる収入二日分の金額だ。本当にマイ様様である。
マイが選んだ部屋は和室風の部屋だ。家は完全に洋風なので逆に珍しいかもしれない。温泉旅館の様な綺麗な風景は無いけれど、部屋は完全に温泉旅館の和室だ。
畳がひかれた完全な和室。入り口でも靴を脱ぐように書いてあるからここが異世界なのを忘れてしまいそうになる。それくらい見事な和室だ。
「・・・家のベッドとは違うけど悪くない」
布団ソムリエの様に畳の感覚を確かめ始めるハルナ。先ほどの気分が悪そうな様子は何処へやら。全身で畳の感覚を確かめるようにゴロゴロしている。
フユカはミナツと一緒に早速部屋の物色を始めている。
「皆お腹すいてない? 丁度お昼時だけど」
「私はまだ平気だ。この床? すごいな。硬いけど柔らかくもある。不思議だ」
「・・・私も平気。もっとゴロゴロしてたいし」
「俺もまだ減ってない!」
「私もです。うわぁこれ不思議な奴ですね」
アキハ達は畳に夢中で食事はまだいいと。俺もそこまで腹は減ってないな。
マイと顔を合わせると、マイも笑顔で返してくれた。アキハ達がお腹減ったと言ったら食べに出ようか。
ゴロゴロトテトテと部屋の中を動き回るミナツ達の邪魔にならないように隅に三人で座る。三人目はアキハである。この畳中々いい畳じゃないか? 俺は好きだ。
「ご飯におすすめのお店とか何かあるのか?」
「あるにはあるけど、どうせならアキちゃん達の直感で決めよっかなって。面白そうじゃない?」
「いいね、悪くない。それで行くか」
「わ・・・私たちが選ぶのか・・・責任重大というやつだな・・・!!」
「そこまで重く考えなくていいぞ? 直感で行け直感で」
人の評価で決めるよりも、アキハ達が食べたいと思ったものを食べさせてやる方がいい経験にもなるし。美味い不味いも旅行の良い思い出になる。
「・・・父さん膝枕して。ちょっと寝たい」
うとうとし始めたハルナが俺の返事を待たずにゴロリと膝の上に頭を乗せてきた。丁度胡坐で座っていたのでマイとアキハの方に足は行ってないのでこのままでいいか。
そう思っていれば、すぐに綺麗な寝息で眠ってしまったハルナ。相変わらず俺と一緒の時は寝付き良いんだよなコイツ。
「ハルちゃんのこの寝付きが私でも大丈夫になれば嬉しいんだけどなぁ」
「その・・・マミーにもハルナはちゃんと心を開いてると思うから、その、落ち込まないで欲しいマミー」
「そこは心配してないよアキちゃん。でもありがとう。マミーはうれしいよ。アキちゃんにも膝枕してあげようか?」
「は・・・恥ずかしいから大丈夫だ・・・」
「そ?」
「そ・・・そうだ。マミーの知ってる美味しいお店を教えてほしい。選ぶ時の参考にするから」
話の逸らし方が露骨ではあるけどな。けどマイはアキハの反応が可愛らしかったのか弄るようにアキハの隣に移動してお話を始めた。
こういうのんびりした時間は、やっぱりいいもんだな。
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ハルナを筆頭に四人がお昼寝をし始めたので、マイが持っていた王都ガイドブック(プレイヤードお手製)を読みながら王都散策の大まかな計画を立てる事にした。
とは言っても、基本はアキハ達の行きたい場所、興味を示した場所に行く事なので計画とは言っても、アキハ達が行きたいと言った場所がどこでも、あらかじめ多少の知識を得ておこうと言う感じだ。
「ここは絶景スポットだね。ここからなら街全体が見えるの」
「フユカ辺りは興味ありそうだな」
「逆にハルちゃんは興味無さそうだよね」
ガイド本片手にマイの豆知識を聞きながらぺらぺらと本を読み進めていく。すやすや聞こえる四人の寝息がまたいい感じのBGMに感じて悪くない。
「それにしてもさ? なんだかんだハルちゃんも旅行楽しんでくれてて良かったよ」
「そうだな。一番ダルそうにしてたから俺もちょっと不安だったわ」
だるい、めんどくさいと表情に出ていたからな。けどいざ始まってみれば見たこと無い物や光景にハルナも興味をひかれ始めて、予定外の道を進んだりして結構楽しんでくれていた。
「あれだね。これからは定期的に家族旅行するのもアリだよね。人類領の次は亜人種領に魔人種領。アキちゃん達にたくさんの事を見て、聞いて、知って欲しいからさ」
「他二種族の領地は俺も興味あるな。すげぇ楽しそう」
「今は共存の道を世界が歩んでいるからね。異種間コミュニケーションって事で割と受け入れてくれるよ」
マイの表情が若干崩れたが、すぐに笑顔に戻った。多分ここまで来るのにいろんな出来事があったんだろう。それこそマリアーデが話していた種族戦争の様な俺が知らない争いがあったんだろう。
それらを乗り越えて今、世界は共存の道を選べたんだ。
「そういう事なら次の旅行は思い切って亜人種領に行ってみるか」
「お? いきなり飛ばすねぇ? 亜人種って一括りに行っても結構な種族がいるけど希望ある?」
「うーん・・・そう言われると思いつかんな」
「ならエルフ族の領地に行ってみる? 自然豊かで神秘的な場所に住んでるからナツ君たちにも新鮮かもだし」
「いいじゃんか。決定。そうしよう」
「即断即決だね。ルートと日程とかは私の方で調整するから楽しみにしててね」
「いつもお世話になります」
「いつもお世話してます。なんてね」
なんて、まだ旅行は終わってないのに次の旅行の話が決まっていた。多分一人なら旅行って感じにはならなかったんだろうけど、こうしてマイがいて、アキハ達がいて、何よりもミナツがいるから、定期的な旅行なんて話が出てきたんだと思う。
ミナツからしたら知らない場所へ出かけて、目的地を目指す冒険。ずっと憧れて、毎日毎日魔法の練習をしたからこそ実現したミナツの夢の結晶。
親としては子供の夢は応援してあげたい。だから次の為に用意をしてあげたいのだ。
「アール、お父さんの顔してる」
「そういうマイだって」
膝に頭を乗せて寝ているフユカをミナツを愛おしそうに見つめて、優しく撫ぜているマイも十分お母さんの顔だよ。
「いやぁアレだね。現実の前にこっちで家庭持ちになるなんてね。人生って本当に分かんないや」
「そうだな・・・けど、いつか現実でもこうして家庭を作ろうか」
「・・・うん・・・うんっ!?」
「なんだよ驚くなよ。昔からずっとそういう約束だろ」
「改まって言われるのは心臓にくるのっ」
幼馴染同士の良くある約束だ。将来お嫁さんにしてあげるとか、家族になろうとか、そういう約束。
覇道真央と宮路真衣はそういう約束をして、喧嘩もしながら今日までずっと一緒にいたんだ。
後はもう秒読みだろうさ。
「まぁ、まだ先の話にはなるからさ。その時まで待っててくれよ」
「もうっ本当にもうっ・・・約束だからね?」
「誓いのキスでもしとくか?」
「ん、しとこうか。二人の誓い」
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「夜だーー!!!」
「バカミナツ五月蠅い」
「えへへ・・・起きたら夜でしたね」
「あうぅあう・・・気づいたら寝てしまっていた・・・!!」
イチャコラしていたら夜になっていた。んでアキハ達が起きたのでそのまま夕食の店選びに宿から出かけた訳だが、皆テンションが高い。
夜に外に出る経験があまりなかったのか、ミナツは特にテンションが高く、こういう時一番ダルそうにしているハルナですら彼方此方キョロキョロ見渡して店を探している。
因みにマイの両手にはミナツとアキハが、俺の両手にはハルナとフユカがぎゅっと手を握っている状態だ。テンションが高くとも絶対に俺達二人から離れないと言う硬い意志を感じるのであった。
「酒場に行くか食堂に行くかでメニューも違うからね。がっつり食べたいなら食堂に。お洒落なものを食べたいなら酒場を選ぶんだよ」
「お洒落なご飯ですか・・・それはちょっと楽しそうです。えへへ」
「・・・私はお肉が食べたい」
「俺は食べたこと無い物食べたい!」
「私は特に無いからミナツ達が選んでいい」
長女らしくアキハはミナツ達の行きたい場所に行こうと言った。こういう時は我儘になっても良いんだけどと、たぶん何処もかしこも見たこと無くてどこ行っても楽しめて美味しい物食べられると信じてる目だなアレは。
「なら酒場に行ってみようか。お肉もあるし、ナツ君が食べたこと無いものもあるし、お洒落な食べ物もあるよ」
「「「行く!!」」」
三人は即決。アキハもうんうんと首を振っていたので文句なしと。
「皆で行くから大きな酒場に行こうか。何かあっても対応できるし」
「酒場と騒動は切っても切れない関係だからなぁ」
「そうなんだよねぇ。THEファンタジーって感じな場所だからね」
「「「「???」」」」
「気にしないでいいよ。それじゃご飯食べに行こうか」
夕食の場所が決まったので、マイのガイドの元町を進んでいく。歩くこと数分。
『王都の玄関口』なんて大層な看板を掲げた大きな酒場がマイの選んだ場所に到着した。
毎日各地から多くの物資が流通している王都だからこそ出来る鮮度のいい食材で提供する人類領の料理を網羅した酒場らしい。
入る前から聞こえる人の声。いかにも酒場って感じの声がたくさんで、アキハ達は一瞬硬直するが、マイに手を引かれて店の中へと入っていく。
店内は酒場と言うよりもギルドの食堂に近い形で、長テーブルに椅子が点々と置かれている。従業員らしき姿の頭にタオルを巻いた人たちが彼方此方に行っては戻り、料理と酒を運んでいる。
「あそこにしよっか」
丁度六人で座れるテーブルが空いていたのでマイを先頭にするようにテーブルへ向かいそのまま腰掛ける。
「いらっしゃい! これメニューだから決まったら手を上げて待っててね!」
座ったらすぐに店員さんがメニュー片手にやってきて、テーブルにメニューを置いて忙しいホールへと消えていった。
「さぁ皆。好きなもの選んでいいよ」
「・・・お肉どれ?」
「どれどれ・・・ここからここまで全部お肉メニューだな」
「マミー、お洒落なご飯ってどれでしょうか?」
「うーん・・・これとかかな?」
「俺これにする!! なんかビビッと来た!!」
「むむむむ・・・選べない・・・」
メニューとにらめっこでもするようにアキハ達は今日のご飯を探していく。ミナツは直感でもう決めたっぽいが。
そうしてメニューが決まって、店員さんにそれを伝えて、あとは届くのを待つだけ。なんて平和が続いて居た訳なのだが、まぁ案の定と言うか、何と言うか。
「んだとこの野郎!!」
「やるかオラァ!!?」
「おっ?喧嘩か?」
酒場特有の、はっきり言うならばファンタジー作品ではありがちの酒が入ったことで口が軽くなり、そこから喧嘩に発展したと言うお決まりの展開が起こった訳だ。
んで、酒場にくるのは基本的に武闘派だったり多少荒っぽい連中が多いので、こういう喧嘩騒ぎも肴にして飲む訳だ。
「・・・あれいいの?」
「無視していいよハルちゃん。こっちに飛び火しないなら無害だから」
じーっと喧嘩風景を見るハルナの視線を遮るように、マイはメニュー表で壁を作る。
「表でも喧嘩ってあるんだな父さん」
「人とのゴタゴタはどうしても起こる事だからな」
もともと裏町育ちのアキハ達はこっちが思っていたよりも平気そうだ。
矛先が自分たちに向かなければ問題なさそうだ。
「でもホントに大丈夫なの母さん・・・子供がいたらなんたら~って言われない?」
「昔そういう事もありましたね」
あるんか。
「平気だよ。仮にそう言ってきたらお父さんが酒場ごと壊すから」
「人の事なんだと思ってやがる」
「聞きたい?」
「・・・遠慮しとく」
「「「「・・・」」」」
お前らも『父さんなら出来るよな』って視線で見てくるんじゃありません。俺だってそこまでやらんわ。
「お待たせしましたーあの喧嘩は放置しとけば勝手に誰かが止めるので気にしなくていいですよ。いつもの事なので」
そんな中で店員さんが頼んだメニューを全部見事に持ってやって来た。ついでに俺たちが初めてきたお客だと見抜いたのか、向こうで行われている喧嘩に関しても安心させるようにやさしく語りかけてくれた。
「しばらく続いてたら厨房からこわーい店長が熱々の鍋片手に出てきますから」
「だってさ。ほら、そういう事だから気にしないでご飯食べるよ」
そういう訳なので、せっかく来た食事にありつきますか。
アキハは串焼き盛り合わせ。ミナツは見慣れないパスタ。ハルナは厚切りステーキ肉。フユカはお洒落に盛り付けられたビーフシチューだ。
俺とマイはアキハ達も食べられるように見繕った一品料理をいくつかと飲み物にはメロンソーダの様なもの。炭酸飲料なので実質ビールみたいなものだ。
「いただきます」
「・・・うん、美味」
「・・・っ! 食べたこと無い触感・・・!!!」
「おいひいでふ」
「うん。おいしい」
「から揚げに炭酸とか最高では?」
悪くない。むしろ良い。アキハ達も美味しそうに食べてるのがポイント高い。喧騒がやや気になるがそれ以外は全然いい。から揚げ美味っ。
どうしてこう自分以外の誰かが作ってくれたご飯って美味しいんだろうな。本当に美味い。
「よく噛んで食べるんだよ?」
「ふぉーい」
「ナツ君はもう少し口に入れる量少なくしようね?」
「もきゅもきゅ」
「んん~おいひいですっ」
「お・・・お代わりを頼んでもいいか父さん・・・串焼きが美味しいんだ・・・!!」
「いいよ。俺も追加で何か頼むか」
公式生放送で情緒とお財布がアバダバダーした先生です・・・今年の夏は先生の務めを果たします。
頼むぞ他ゲーム・・・私のお財布からこれ以上諭吉を飛ばさないでくれ・・・!!
学マスの子皆可愛い。限定とかじゃなくていいから全員SSR欲しい。
最近また熱いですからね。寝るだけのはずが生死の境を彷徨ってるなんてありえますからね。数日前の私がそうでした・・・たまらず賃貸でも使える窓用エアコン購入して今は快適です。
みなさん水分補給と塩分補給意識して倒れないようにしてくださいね。
では最後にいつもの。
私は承認欲求モンスター!!
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