画面外の英雄たち
主人公が活躍しない物語。主人公以外が主人公してる物語。
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メインシナリオ更新
幼邪砂大蛇エレティコスを討て
・時は来た。邪神を崇めたてる者たちの陰謀は勇敢なる戦士たちの手で打ち砕かれた。残るは生み出された邪神の芽『幼邪砂大蛇エレティコス』。
崇める者の加護を失い、万物の影響を受けるようになった邪神は、もはや究極の生命ではない。災厄を生み出す害獣である。
しかしその力は強大である事には変わらない。既に多くの生命を喰らった蛇は開花の時を目指し喰らい続ける。勇敢なる戦士たち。今こそ力を合わせる時だ。総力を決して『幼邪砂大蛇エレティコス』を撃滅せよ。
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その巨体の上にようやく、蛇の名が現れた。『幼邪砂大蛇エレティコス』。プレイヤード達が倒すべき敵。その名の下にはHPを示すゲージが出現する。その数大凡50本。幼邪の名に恥じないHP。しかし誰も恐れない。驚きもしない。その程度あたりまえだと思っていたからだ。
「おっと、ギミック解除成功したみたいだね。これはメインシナリオ史上最速じゃないかな?」
エレティコスの突進を真正面から受け止めるシロマサは聞こえた福音に耳を傾けながら話す。メインシナリオ開始から三日でギミックを解除したのはプラネットクロニクル史上初の快挙である。
過去のシナリオで最短は七日と考えれば、その半分でギミックを解除できたのはプレイヤードにとって祝うべき快挙である。
「ドラァアアア!!! シャァオラァァァァアアアアア!!!! ダメージ通った!!! 回復もしねぇ!!! 完全攻略開始ダオラァアア!!!!亅
ライーダは戦斧を振るい、ようやくまともに攻撃が通るようになった相手に追撃を駆けていく。
「お前に全部やらせるかよ!!! かッ飛べ『剛刃』!!!」
大剣を振るう一人のプレイヤー。エレティコスから離れた場所で素振りでもしたかに見えたその一閃は、次の瞬間、竜巻を起こし、エレティコスを切り裂く。
「おいコラマー坊!! テメェ俺事やろうとしたな!!?」
「お前なら避けると信じてたんだよ!!!」
彼もまた新人類。人生と言う物語を経て覚醒者となった一人。『俺はマー坊』。またの名を『剛嵐武神』。一振りで嵐の様な斬撃を放つことからそう呼ばれている。
「なら許す!!!」
すでにこの会話は何度もしている。ライーダも心から思ってはいない。様式美というやつだった。二人の最強がエレティコスの表皮を削りとる。
「おぉ!! 少しだけど表面削れたぞオイ!!」
「やっとダメージ入るようになったか!! オラ魔法組!! 俺らが削った部分に魔法ぶち込め!!!」
「「「「「「「「「「無茶いうな!! もっと削れ脳筋共!!」」」」」」」」」」
「やってやらぁあああ!!!!」
「相変わらず教祖はノリで戦ってるな!!」
「マー坊も大概同じでしょ。ほら、戻ってきなさい。バフ盛り直すから」
「うーい」
マー坊を呼ぶ声に応じて、彼は一旦後ろに下がる。マー坊はライーダのように自己完結型の脳筋ではないのだ。仲間のもとへ戻り、また戦う為に強化を受ける。
「大穴の中で戦闘してる連中からの報告だけど。向こうもゲージの減り方増えたってさ」
「やったじゃん。一時間で一分が三十分で一分くらいになるんじゃね?」
「それはどうだろうね。とりあえずスタンする感覚が短くなるのはいいことじゃんね」
戻ってきたマー坊の背中に触れる女性プレイヤー。ただ触れているのではない。瞬き程度の時間で、マー坊のステータスが大幅に強化される。
「はいおしまい。効果切れたらまた呼ぶから直ぐ来なさいよ」
「ラジャー。愛してるぜレイレイ」
「うっわキモ!! 吐きそう。げろー!」
触れた相手に自身のステータス全てを追加する『光乃祝福』という破格のスキル。本人のステータスも全て600overであることを考えればその強化具合を理解出来るだろう。
彼女もまた覚醒者へと至った者。『祝福聖女』レイレイ。他の覚醒者と違い、彼女は直接戦闘に影響するスキルを持たない。
しかし、ステータスは他の覚醒者同様に人外の領域。そのステータス数値が他の誰かに全て譲渡可能になるスキル『光乃祝福』は覚醒者ではない者を覚醒者と同等まで能力を引き上げる事が出来る唯一無二の存在。
しいて欠点を上げるとすれば『光乃祝福』は直接触れた相手一人にしか強化できない事くらいだろう。
「魔法使い集合ー! 照準は私が担当するからデカいの叩き込みなさい!『祝福正眼』!」
「聞いたわね魔法使い連合の皆!! レイレイに任せて私たちはありったけぶつけるわよ!!!」
「「「「「「「「「「オッシャァァア!!!」」」」」」」」」」
可憐な声と図太い声が交差し、それぞれが最大級の魔法の詠唱を開始する。レイレイが使った『祝福正眼』と言うスキル。これは狙った一点に魔法を集中させるだけのスキル。しかし侮ることなかれ、この際魔法同士の打ち消しや干渉は無く、全ての魔法がそのままの効果、影響をもって対象に当たる。光が闇を消すことも、闇が光を飲み込むことも無い。全てあるがままに、魔法は対象へと命中する。
この状況であれば、このスキルは魔法使いにとって最高のサポートとなる!
『 』
はがされた魔法反射の表皮。そこに一点集中でぶつけられるプレイヤード最大火力の数々。火傷を負い、毒に侵され、脆弱性を増す。初めてエレティコスは恐怖を言う感情を表に出した。
「おっとギミック解除の恩恵だね。こっちも頑張ろう! 皆攻撃開始!!『守護聖帝』!!」
「「「「「「「「「「もうやってるわ!!!!」」」」」」」」」」
しかしエレティコスの視線はシロマサから外せない。彼と言う盾がある限り、本能が暴走しない限りはその視線が移る事は無い。
だから、エレティコスは本能を暴走させる。群がる命を散らすために。暴走させる・・・はずだった。
『 』
「ナイススタン!! 大穴組ナイスタイミング!!!」
「オラオラ休憩追撃の大チャンス!!! 行くぜお前ら!!!」
エレティコス本体に唯一施されたギミック。それはエレティコスが現れた大穴の底にあるエレティコスの尾が飲まれている球体に、一定以上のダメージを与える事で発動する。
効果は三十秒間のスタン。
この三十秒と言う時間を稼ぐために数百人のプレイヤードが死を覚悟して大穴に飛び込んだのだ。
見つけたきっかけは本当に偶然だった。戦闘中偶然大穴にプレイヤーが落下ダメージを免れてたまたま生きていた。そこで見つけた球体。何もしないよりはとそのプレイヤーは一時間以上攻撃を続けた。幸い大穴の中は比較的安全で、上でエレティコスが暴れる時に球体から距離を取れば余裕で回避できた。
そして攻撃を続けていくうちに、球体にひびが入った。その瞬間、暴れていたエレティコスが動きを完全に静止したのだ。
大穴内部では何が起きたか分からなかったが、掲示板に書き込めば状況が判明する。確かに見つけたエレティコス最大の弱点。それがこの球体だったのだ。
三十秒ほどで球体の罅は修復し、エレティコスは再び動き出したのだが、三十秒と言う時間を稼ぐ手段がわかったのだ。プレイヤードが放置するわけがない。
シロマサがエレティコスの視線を奪っている間に近接戦闘では無能と呼ばれた集団が大穴へと飛び込む。そこからは彼らの土俵だった。
ダメージこそ与えられないが上で戦う仲間たちにチャンスを与えられる。自分たちの活躍で勝利に貢献できる。ならばやらない理由はない。
その後エレティコス無敵のギミックが判明したのだから時間稼ぎの重要性はさらに増した。近接戦闘の彼らをサポートするために魔法使いたちも大穴へと飛び込み、長期戦を前提とした陣形を大穴内部で構築した。
上では覚醒者たちと魔法使いが暴れ、下では時間を得るために近接戦闘職が戦う。
三日と言う時間。代わる代わるプレイヤーたちは戦い続けたのだ。
全てはこの瞬間の為に。
「野郎ぶっ飛ばしてやる!!!」
「砂漠を滅茶苦茶にした怨みぃぃぃぃぃ!!!!!」
「ヒーリアスには俺が全財産をはたいて買った家があるんだぞこの野郎!!! 死ね!!!」
「やられた仲間の怨みぃぃぃ!!!」
「戻ってきてるでござる!!!」
「あ、そうなの? でも構わん!! 怨みぃぃぃぃ!!!」
「ここのオアシス彼ぴっぴとのデートスポットだったのにぃ!!! このアホ蛇!!」
「彼ぴっぴへの妬みぃぃぃぃぃ!!!!」
「パルパルパル・・・!!!!!」
「あぁもう滅茶苦茶だよ!!」
怒涛のラッシュがエレティコスを襲う。この三十秒と言う時間は、エレティコスの本能に恐怖と言う感情を刻み込むのに十分な時間だった。
それは偶然だった。たまたまエレティコスの口元へ魔法攻撃を叩き込んでいたプレイヤーがいた。そしてエレティコスのスタンが終了した時、エレティコスは反射的に口を閉じた。
「あ、めんご死ぬわ」
「「「「「あ・・・あいぼーう!!?」」」」」
『 』
「やばっ!! 全員退避ィィ!!! 開花するよぉぉ!!!!」
タゲが外れたシロマサが真っ先に気づいた。巨大悲種型モンスターエレティコス。この三日間で奪ってきた命は数知れず。今しがた奪った命を養分として、発芽したそれは開花の時を迎える。
「イヤァァァ生き埋めENDはいやややぁぁあああ!!??!」
「アババババババ」
大穴の球体を破壊し、尾が地面へと飛び出す。その衝撃で大穴は砂で埋もれていく。何とか脱出したプレイヤードもいたが、その多くは砂に埋もれそのままリスポーンしていく。
纏っていた表皮を脱ぎ捨て、本来あるべき姿へと変わる。尾だと思っていたそれがついに地表へと現れる。
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メインシナリオ更新
・開花せし悲種。降臨『成邪双頭蛇エレティコス』
命を喰らい、ついに蛇は開花した。双頭を持つ悪しき蛇。幼体の姿から成体へと成長したエレティコスはいよいよ生物を喰らう為に本格的な行動を開始する。その眼が目に入れたのは巨大な町。今尚多くの命が残るヒーリアスの町だった。
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「「「「「死ぬ気で止めろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」」」
「シロマサァァァ!!!」
「『守護聖帝』!!!」
開花したエレティコスはより奪いやすい命を狙う。己に牙をむく有象無象ではなく、なすすべなく逃げる弱者を優先して狙う。
成邪の眼は生命を見る眼。効率よく生命を殺すために特化した邪悪な眼だ。
それが合計四つ。尾だと思っていた場所にはもう一つの頭があり、その双頭が捉えた弱者へ向けて進撃を開始する。
「タゲ取った!!! けどこれは!!!」
「二つあるからなぁ畜生!!!」
一つの意識はシロマサが奪った。しかしエレティコスにはもう一つ頭が存在する。そしてそれを奪う事はシロマサには出来なかった。もちろん奪うつもりで力を使った。奪えなかったのは単純にエレティコスと言う存在の強さ故。
そして成邪となったことでより狡猾になったエレティコスはその対応策を身に着けた。
「野郎っ!!?」
「力を抜きやがった!!?」
「止めろぉぉぉぉおおおお!!!!! 肉壁になってでも町を守れぇぇぇえええ!!!!」
思考と視線を奪われたなら奪わせておけばいい。もう片方の頭に全てを委ねて。その為の双頭。囮。
その巨体が砂漠をこえて、ヒーリアスの町へと近づいていく。
魔法使いが懸命に拘束しようとするが、エレティコスはその魔法を力でねじ伏せる。覚醒者たちがひるませようと攻撃を叩き込むが、片方の脳がそのすべての感覚を受け止める事で、進撃する頭に負荷を与えない。
街へ向かうエレティコスの口からは悍ましい唾液が垂れる。より美味なる命を、弱い命を喰える。その本能だけが、今のエレティコスを突き動かしていく。
「ちくしょぉぉぉぉぉおおおおお!!!!!!!」
止められない。止まらない。エレティコスはヒーリアスと言う町を蹂躙する。悪夢は、止められない。
「『インペリアルチェーンデストラクト』!!!!」
彼女が・・・間に合わなければ、悪夢は現実になっていただろう。
「ギリギリセーフ! おい先輩方!! 後輩の私が美味しい所持ってくわよ!!?」
ここに、覚醒者が降り立った。全ての魔法を司る魔導女帝マイ。
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本当にギリギリセーフじゃないの。あと5秒でも遅れたらヒーリアスが危なかったわね。
『 』
「暴れても無駄よ。もうがっちり捕まえたわ」
超級魔法『チェーンデストラクト』。魂を掴み抑え込むこの魔法をさらに強力に進化させ、邪神特攻を乗せたこの魔法こそ『インペリアルチェーンデストラクト』。
私が『魔導女帝』として目覚めた時に覚えた魔法の一つ。私の魔力数値×1秒間対象を拘束する。邪神特攻を乗せたことで魂にもダメージを与えつつ、私のステータスを考えればエレティコスの抵抗を考えても推定2000秒は抑え込める。
MP消費? 私を誰だと思ってるの? 魔導女帝にMPの概念は存在しないのよ。それに万が一にもMPが枯渇することはない。MP回復の常時発動スキルは全開にしてる。
装備のスキルと武器も一新した。今の私なら出来ない事はほとんど無いわ!!
「なんだよマイさん!!! 主人公じゃん!! ズルい!!!」
「「「「「「「「「「そーだそーだ!!!」」」」」」」」」」
「だまらっしゃい!!! ほら!! 今のうちに回復と攻撃の準備!!」
「「「「「「「「「「もうやってるよ!!!!」」」」」」」」」」
こういう時のプレイヤーの協力具合はすさまじい。焦りは消えてすぐに皆が今取れる最善を模索して動き出す。
私はこの魔法発動中は動けないから別のモンスターでもいたら終わるんですけどね!!!
「何よ後輩、ずいぶんとカッコいい登場してさ」
「げっ」
「ちょっと、ゲッってなによ!?」
「いやだって・・・まさかアンタの顔見ると思わなかったし」
「なんでよ!!? 私が覚醒者だって知ってるでしょ!? そりゃ来るわよ!?」
「・・・泥棒猫の癖に」
「あーあー聞こえませーん!! と言うか取ってないでしょ!? ちょっとちょっかいかけただけじゃない!!?」
「それが雌猫だって言ってるのよバーカ!!」
「何よ女狐みたいな行動してるくせに!!」
「誰が女狐よ!! バーカバーカー!!」
「ちょ・・・レイレイもマイも落ち着けって」
「「黙ってて脳筋肉達磨!!」」
「ひでぇ!!?」
此奴はレイレイ。前にクリエイションモードをクリアするために情報交換したり現状報告していた掲示板でそれなりに、それなりに!! 仲良くしてた仲間。
オフ会したときに真央にちょっかい出したから私の中では要注意人物。悔しいけど私よりもほんの少しだけクリエイションモードを進められた女。
んで、こっちの脳筋肉達磨は俺はマー坊。ネーミングセンスどうなってるのよ。此奴もレイレイと同じでクリエイションモード掲示板で知り合った友人枠。幹事もしてたから祭り事には向いてる人間ね。
要するに二人とも私とアールの腐れ縁がある訳よ。
「んで、あの拘束どれだけ持つの?」
「2000秒は余裕よ。邪神特攻も乗せてるから持続ダメージも入ってる。私が動けない事が欠点」
「なら私が補助に入ればまだ伸ばせるわね。マー坊。アンタに掛けた補助解除してマイの補助に回るわ。一応護衛よろしく」
「その方が良さそうだしな。任せた」
「そういう訳だからちょっと背中触るわよ」
「どうぞ」
「『光乃祝福』」
・・・なるほど。これは確かにヤバいわ。今なら誰にも負ける気がしないもの。身体の底から強くなってる感覚がある。覚醒者にもいろんな形があるのは知ってたけどサポート特化の覚醒者って味方にいると怪物ね。
「これなら3000秒くらい行けるんじゃないかしら?」
「一時間拘束はヤバくね? 流石に負けねぇだろ」
「そもそも2000秒だってヤバいわよ。魔法使い職に謝ってってレベルよアンタ」
「残念今は筋力魔力二極化の黄道乃熟練剣士よ」
「ハァ!!? 嘘でしょ!!?」
「やれることが増えるんだもの。私は増やすわよ」
「私黄道乃概念魔導師やってるんですけど!!? 覚醒者の能力に特化させたジョブなんですけどー?!?」
「いえーい先輩。私の方が強いー」
「むっかつくわー・・・状況が状況じゃなかったら闇討ちしてやるくらいにはムカつくわー。でもなんで剣士?」
「アールに剣を本格的に教えて貰おうと思ってね。それなら剣士の方がいいでしょ?」
「一応確認するけど私たちが知ってるアールよね?」
「そうよ。アンタがちょっかいかけた私の彼・氏!」
「だーもう!! ねちっこいわね!! 未遂じゃない!!」
「人の彼氏に手を出して怒らない訳ないでしょ!?」
「あのー・・・お二人とも喧嘩はその辺で・・・」
「「うっさい脳筋肉達磨!! ぼさっと突っ立ってないでさっさと戦ってこい!!」」
「ちくしょー!! 言ってること変わってるじゃねぇかコノヤロー!! お前らあとでマジ覚えてろよー!!?」
脳筋肉達磨は自己強化系のスキルを使って抑え込んでるエレティコスへと突っ込んでいった。
「で?」
「何が?」
「シナリオのアレよ。蘇る剣聖ってやつ。私たちは皆なんとなく察したけどアールの事でしょアレ」
私たち・・・そう、つまり掲示板オフ会組は皆察してるのね。
「そ。世界で唯一の月光真流の使い手。正真正銘本物の剣聖よ」
「マジでかー・・・って事はそういうこと?」
「そういう事よ」
「納得したわ。前に見てたスレで剣物映像化したって話があったからまさかとは思ってたけど・・・え、待ってもしかして蒼牙の対戦とかデスペラ討伐、あとこの前のベオウルフも全部スキルじゃなくて自前?」
「そう。月光真流なら極大と最終奥義も行けるって」
「・・・ちょっと覚醒者の自信無くすわ・・・」
「私は心が折れかけたわよ。と言うかちょっと折れた」
「・・・アンタも大変だったのね。よしよし」
「ちょっと、セット崩れるからやめて」
「んで、アールは何処? せっかくなら挨拶くらいはしたいんだけど?」
「こっちで買ったマイホームで寝てるわ。うちの子たちも大変な思いしたからね」
「あー・・・シナリオの人質ってそういう事ね。納得。なら今度お邪魔してもいい?」
「お土産忘れるんじゃないわよ?」
「勿論! やったー久しぶりに会える~」
「・・・うちの子たちの情操教育に悪い事したらぶっ飛ばすからね?」
「わかってるって! でもあれじゃん? 自慢の友達に会えるってテンション上がるじゃん?」
「・・・気持ちはわかるわ。こうなったらマスターもこっちにいるみたいだしこっちでオフ会メンバー集めて祝杯でもあげる?」
「いいわねそれ。マー坊も喜ぶしアイツなら前のメンバーの連絡先も知ってるはずだからいいかも。これを機にプラクロ始めるって人もいるかもだし」
「ふふん。我が家の広さに驚くと良いわ・・・ちょっと待ってね。あの蛇にもう少しキツイのお見舞いしとくわ」
姑息にも私の拘束を抜け出そうと抵抗し始めたからね。重ね掛けで簡単に抜け出せなくしてやるわ。
「やっちゃいなさい。私が許可するわ」
「覚醒者二人分の拘束を喰らえ!!『ヘブンズデイズデストラクト』!!」
空から降り注ぐ金色の鎖。大地に縛り付ける『インペリアルチェーンデストラクト』とは違って特攻は乗ってない。けれど代わりに聖属性が乗っているから邪神特攻と合わせればほぼ無敵の拘束になる。流石に極大魔法二つの維持にはMP減少が始まったわね。けど自動回復で充分維持できる。
それに今は二人分のステータスだから回復能力も一人の時とは違ってすさまじい。毎秒1000ぐらい回復してるんじゃないの?
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メインシナリオ蛇攻略part22
555:名無しのプレイヤード
しゃぁ!! ボーナスタイム発生!!!
556:名無しのプレイヤード
別ゲー始まったけど邪神相手だ関係ねー!! 殺せー!!!
557:ヴァンレイ
うぉぉおおおお!!! 貢献度狙いの一撃ぃぃぃ!!
558:カトレア
邪神滅殺!!!!
559:白黒
マジでヒーリアス終わったと思った
560:白輝
覚醒者やべーよ。マジパネェ
561:アーノレ
戦線復帰! なんかぐるぐる巻きにされてるけどとりあえず流れに任せて突撃ぃぃ!!
562:名無しのプレイヤード
生き埋め死はえぐかった。戻ってきたらエレティコスがもっと悲惨な状態だった・・・
563:クロサカ
攻撃し放題ひゃっほー!!! 俺盾だけど!!!
564:アルトりす
シールドバッシュ連打連打連打ァ!!!
565:名無しのプレイヤード
皆音声入力入れてて楽しいwww
566:ミラファ
雷華さーん!! 調子はどうですかー?
567:雷華
絶好調ですわ!! この拘束時間の間に倒すつもりで攻めますわよ!!!
568:弥生
赤熱抜刀!! 居合一陣!!
569:オルガン
これだけデカいならどこに当てても問題なし!! エクスプロージョン!!!
570:ほうじ茶☆ラテ
脱皮したから魔法反射無くなってるのマジ弱体化www
571:名無しのプレイヤード
それを失っても余りある地力だったんですけどねぇwww
572:名無しのプレイヤード
戦場に響き渡る『インペリアルチェーンデストラクト』の魔法はマジ神演出だったわ
573:サクラ
ウチの教祖並みにぶっ壊れてますねぇ!!?
574:イッチ
純粋な魔法特化の覚醒者ってマイさんが初だったりします?
575:名無しのプレイヤード
多分そう。じゃなきゃエレティコス拘束は納得できん
576:ぞうもつまる
これ普通のプレイヤーが使おうとしたら何人いれば使えるんだろう?
577:昼行灯
魔法使い職10人くらいじゃね?
578:マーガリン
維持も考えれば100人は必要かと
579:名無しのプレイヤード
まじかぁ・・・人外じゃん
580:ライトニング
覚醒者を俺たちの常識で当て嵌めるのが間違いなんだよ・・・とりあえず殴れ。
581:名無しのプレイヤード
考えるのは後だ!! いまはこの蛇ぶっ殺せー!!!
582:ライーダ
輪切りにしてやるぜぇェ!!!!
583:にゃーる
私参戦!! やるにゃ!!!
584:老眼鏡
ジジイの出番は残ってるかな?
585:火力魂
焼き尽くす!!!
586:名無しのプレイヤード
あーこれ勝ったわ。にゃーる老眼鏡火力魂のお三方が参戦したらもう勝ちなんすわ
587:ハルト
今回ヤバくね? 覚醒者何人参加してんの?
588:ああああ
雷華さんでしょ?
教祖にシロマサさん。レイレイさんマー坊さん。あとマイさんと今来たにゃーるさん老眼鏡さん火力魂さん。
九人だね♪
589:名無しのプレイヤード
覚醒者が半分参戦してる邪神とか相手がかわいそうだわ
590:名無しのプレイヤード
でもマイさんが来なかったらマジでヒーリアス壊滅案件だったけどな
591:ラビット
魔法特化した人ってやっぱり必要なんですね
592:名無しのプレイヤード
ほとんどの対人戦の場合、それがわかってるから後衛から潰しに行くんだけどな
593:押忍
ここに名前上がった覚醒者だけの話だけど。
シロマサ、そもそも後衛に思考が裂けなくなる。
ライーダ、後衛とか関係なしでヤバい。
雷華、対峙した瞬間こっちが死んでる。
俺はマー坊、範囲攻撃で壁作られて後衛に辿り着けない
レイレイ、直衛の護衛が実質覚醒者なので抜けない。
にゃーる、居合切り特化過ぎて抜けられない。
老眼鏡、もはやバグレベルのバフかけられて速度制御できなくなって自爆。
火力魂、距離とか関係ないに火属性魔法で焼かれるので距離が仕事しない
マイ、そもそも本人は超高速近接アタッカーで魔法使いなので詠唱妨害が無理
覚醒者って皆やべぇよ。なんで此奴らライーダ以外基本ソロなの?
594:しちくい
ライーダは孤児院営業の為にクラン利用してるだけだゾ?
595:カレイさん
失礼な。ちゃんとクラン員としても一応活動してますとも
596:チーザー紫
実は今度クランでも組もうかって話してんぜーメンツは秘密だ。ってか掲示板には覚醒者全員いんじゃね? このビックイベントに掲示板でくらい参加したいだろJK
597:名無しのプレイヤード
チーザーネキ!!? 今爆弾発言しないで!!?
598:レイ
もー!!! エレティコス完全に前座になっちゃうよぉぉぉ!!?
599:ルーク
でもエレティコス倒さないと皆死んじゃうじゃん!!! 全員キビキビ戦うんだよ!!!
600:ライーダ
ルークきゅん!!!! 君の声援があれば俺は無敵だぁぁぁ!!!!!
601:名無しのプレイヤード
速報教祖覚醒
悲報教祖覚醒
超速報ルークくん掲示版に現れる
602:サクラ
私達のショタ神降臨!!!キタァァア!!! ミナギッテキタァァ!!!!
603:名無しのプレイヤード
お前ら余裕出来たらマジで暴れるじゃん・・・いや滅ぼされること考えたらいいけどさ・・・雰囲気とかあるじゃん・・・シリアスだったじゃん・・・
604:チーザー紫
見てたけどマイが来てから流れ変わっただろ。んで今はレイレイが補助に回ってる。負ける要素あっか?
605:note
無いですね・・・これでエレティコスが魔法反射の皮脱いでなかったら話違ったけど脱いじゃったから・・・
606:名無しのプレイヤード
雰囲気大事にしたいなら掲示板見ながら戦うなよ。参戦できなかった俺らからしたらお祭り会場なんだよここは
607:マーガリン
実際こういう時に掲示板見てるのは余裕ないと無理ですし。見る=楽しんでるですからまぁ仕方ないですよね
608:名無しのプレイヤード
あ・・・マイ氏が更にエレティコスを雁字搦めにした・・・あぁ・・・エレティコス最後の抵抗が無意味になっていくぅぅぅ・・・
609:シロマサ
よかった。ヒーリアスはこれで無事ですね。皆さん最後まで気を抜かずに殺し切りましょう。
610:名無しのプレイヤード
最後のお祭りだぁぁぁ!!!!
611:名無しのプレイヤード
ころせぇぇぇええええええ!!!!!
612:睦月卯月
ヒャッハー!!
613:くろへび
オラオラオラオラ!!!!
614:名無しのプレイヤード
邪神死ね!!! イェラオ討伐できなかった怨みを思い知れ!!!
615:にゃーる
にゃはははは!!!! 邪神死すべし慈悲はナイ!!!
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メインシナリオ終幕『星喰らう砂の蛇』
・勇敢なる戦士たちによって『成邪双頭蛇エレティコス』は討滅された。人類史上これほど被害が少なかった邪神との戦いは無いだろう。しかし、裏で手を引いていた邪神教団の全てを討伐できたわけではない。彼らは未だ世界に邪神を降ろさんと企てるだろう。その時、今回のように行くかは誰にもわからない。だが、それでも尚勇敢なる戦士たちは戦うだろう。望む世界の為に。
・ここに英雄は帰還した。悠久なる時を超えて、世界を救った最強の英雄が。彼の存在は、やがて世界を変える事だろう。良くも悪くも、世界は彼を放っておかない。必ず彼は世界の中心にいるだろう。
メインシナリオ『星喰らう砂の蛇』クリア条件
・『幼邪砂大邪エレティコス』及び『成邪双頭蛇エレティコス』の討伐。
・『邪神双頭喰邪エレティコス』降臨及び『枯死』の阻止。
サブシナリオ『蘇る英雄』クリア条件
・世界各地で暗躍する邪神教団の儀式の破壊。あるいは阻止。
・剣聖の存在把握及び救出。
シークレットミッション
・エレティコスを10回以上スタンさせる。
・エレティコスを1500秒以上拘束する。
・エレティコスによる町の被害を阻止する。
・サブシナリオの人質三人が生存している。
シナリオ評価SS+
シナリオクリア報酬:素材『異端者の皮』
討伐参加者報酬:武器『篭手:エレティコス』を獲得。
サブシナリオクリア報酬:スキル『剣聖』を解禁。
シークレットクリア報酬:名称『夜空』を開放。
最高評価クリア報酬:EXシナリオ『英雄』を解禁。
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素材:『異端者の皮』
・星を喰らう蛇の皮。身に着けた者は飢餓に苦しめられるが、あらゆる力に対して抗力を得るだろう。
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篭手:エレティコス
・装備すると状態異常『飢餓』になる代わりに、アイテムを食べられるようになる。食べたアイテムによってさまざまな能力を得る。(例:回復薬・自動回復中~極大)
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状態異常:飢餓
・常に空腹状態になり、体力・筋力・俊敏性の最大値が下がる。
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スキル:剣聖
ジョブ『剣聖』と同じ能力を得る。ただしステータスは変化しない。
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ジョブ:剣聖
高い筋力と俊敏性を持つ剣士。筋力に応じて剣技を、俊敏性に応じて戦技を習得する。
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名称:夜空
・状態異常に関係する能力が高い。
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EXシナリオ:英雄
世界各地に過去の英雄の魂を持つNPCが追加される。本来いたNPCにも英雄の魂が宿っていることもある。対象NPCと一定以上の交友があり、条件を達成するとNPCに応じたEXシナリオが開始される。クリアすることでその英雄に応じたスキルやジョブを入手できる。
因みに弱体化させてなかったらマイでもどうしようもなかったので、ヒーリアス壊滅END。挙句の果てに各地に点在する町村諸共壊滅してたので速攻で枯死してBADEND。
割とギリギリセーフ、首の皮一枚で繋がったボーナスステージでした。




