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少年の憧れ

二章開始。

ダイジェストとか今後出てくるものの匂わせとか考えたんですが、日常風景やった方がいいと思ったんでこの方向でいきます。

月光流の戦技と奥義を交互に繰り出し、型の確認と、動かす衝撃をコントロール。足取り一つ、呼吸の一動作。力の入れ方流し方。


目覚めた(ログイン)俺がやっているのは見つけた壁をどう乗り越えるかの究明。その為にまず基本の確認と現状の把握。


自己評価だが、月光真流単体で言えば師匠マリアーデにも負けないと思っている。あと足りないのは圧倒的な経験と応用。


長寿族のエルフだったマリアーデはその生涯を剣に捧げてきた人。俺とは潜ってきた修羅場も経験も天地の差がある。こればっかりは今すぐどうにかできる物じゃない。


マリアーデも月光真流と桜花戦舞以外には教えてくれなかったからな。『広く浅くよりもお前にはまずこの二つを極める事が重要なのだ』って言ってな。


その理由は最後まで教えて貰えなかったけど、一つの事を極める事の重要性とその為の努力量がどれだけ必要なのか教えてくれた。


だからこそ今の俺がある訳だし、これを自分以外の誰かに教えることも出来ている。


「父さん」


「ん、アキハか。どうした?」


「手合わせをしてほしい。良いだろうか?」


「勿論。条件は?」


「基本の剣技だけで頼む」


「わかった」


刃を潰した模擬戦用の刀に持ち替え、場所を移す。庭先から外に出れば広大な平原が広がっている。ここなら何かに被害を出すことはない。


「先手は譲ろう。好きなタイミングで来な」


「わかった」


互いに距離を取り、武器を構える。アキハの呼吸が聞こえ、タイミングを計るように目を開き、こちらを観察している。


「・・・隙が見つけられないな」


「見せてないからな」


「父さんが本気で戦う時は解かりやすい隙を作るのに、こういう時は見せてくれないのか」


桜花戦舞は使わない。これはあくまでも月光真流の師弟による手合わせだ。別の流派の技を使うのは良くない事だ。


「隙が無いと攻められないような弱い弟子に育てた覚えはないぞ?」


「わかっている。言ってみただけだ。それに、隙があったとしてもそれは父さんのカウンターを受けて終わりになりそうだ」


わかってるじゃないか。月光真流はカウンター攻撃が強い。『月波』『月風』で受けてその衝撃を使って相手に致命的な一撃を叩き込む。修練を積んでいけば、突っ込んできた相手の衝撃を全て吸収し、一時的に運動エネルギーを0にすることも出来る。


その為、攻撃誘導の技術は技名にするまでもない月光真流の基礎的な技術だ。が、今はそういうのは使わない。あくまでも今回はアキハへの指導。手合わせだ。言うならば基礎基本の確認。その応用を実戦形式で視る。それが目的。


「行くぞ!!」


準備を終えたアキハが吶喊してくる。重心は低く、足腰に力が入っている。そうして生まれた衝撃も体内にしっかりと蓄積されていくのがわかる。


「ハッ!」


切りかかり、これは回避、続けて来る横薙ぎの一閃は刀で受ける。ほう? 今の一撃分の衝撃もしっかりと自分の方向に持っていけるようになったか。


一撃の為の準備段階と言う様に何度も斬りかかってくるアキハに対し、最低限の防御と回避で対応していく。無論こちらも衝撃の吸収は怠らない。


少し此方からも攻めていこう。


突き攻撃を回避しつつ、空いている左手で顔を鷲掴みにする。右手に持っていた刀を地面に突き刺して、アキハの武器を持つ手首を押さえる。簡単に抜け出せないように力を込めて。


「さぁ? どうする?」


「あぐっ・・・なんの・・・っ!!!」


体重を俺に預けるようにアキハが俺の左手に組みかかる。不格好にはなっているが三角締めが襲い掛かる。そのままこちらの姿勢を崩そうと一気に重心を動かしてくる。


「舐めるなよアキハ!!」


此方も重心を落し、鷲掴みしていた頭から手を放し、首元の服をがっしりと掴む。全身の筋肉に力と衝撃の動きを乗せて下がっていく右手をアキハ諸共持ち上げ大きく振り上げる。


「っっっ!!!?」


「ここから返せるか?」


このまま地面にアキハを叩きつければアキハはその衝撃を受け流すことが出来ずに大きなダメージを受ける。返そうにもアキハの実力ではまだ難しい。アキハが込めていた力がするりと抜けていくので、俺もゆっくりアキハを地面に降ろす。


「強いな。父さんは。まだ勝てそうにない」


「俺としてはアキハの成長速度が末恐ろしいよ。まさか関節技を入れてくるとはな」


「マミーに教わったんだ。武器が無い時に使える護身術だと言われた」


あぁ、確かにマイなら教えられるな。何気にマイも実家の道場の有段者だったし、関節技なら師範のおっさんにも負けないんじゃないだろうか。


「もし父さんが同じ状況になったらどう返すんだ?」


「色々出来るがそうだな・・・抑え込まれた手の方に力を入れて柄の部分で相手を思いっきり殴る。その前に衝撃の蓄積も十分出来ていたからそれをうまい事使えれば抜け出せるとは思うな」


「そうか・・・父さん。抑え込まれた時の対処法を教えてほしい。ダメだろうか?」


「やる気結構。いいよ。それなら基本的な抜けからから衝撃を使った抜け方までしっかり教えてやる。すぐやるか?」


「頼む」










ーーーー








「父さん!! 俺冒険がしたい!!」


「・・・うるさっ」


夕食を食べ終えてそれぞれ自由に過ごしている中、ミナツがテンション高めでそんな話を持ってきた。いつものように俺に寄りかかり読書をしていたハルナはものすごく不機嫌そうな顔でミナツを見ていたが。


「本当に急だな・・・どうした?」


「これ!! この本!!」


ミナツが渡してきたのは漫画だ。この世界でも物好きはいるようでわざわざこっちで作家デビューして本を出版しているプレイヤーがいる。こっちだと出版社とか編集はいないんだが、そこはプレイヤー同士が上手い事協力して製本し、販売している。そういう訳でこの世界では案外漫画やら小説やらが結構存在しているのだ。


そんな漫画の一つが渡された漫画だ。何々?『剣聖物語外伝・私の冒険録』・・・まさかの剣聖物語の二次創作かよ。


「この主人公すごくカッコいいんだ!! 剣術を知らなかった主人公が町でたくさんの道場って所で剣術を学んで強くなっていく、それですごく強いモンスターとか、未知の世界の冒険とかしてカッケーの!!」


テンション高めなので話が少し飛んでいるがまぁ、言いたいことはわかった。確かにこういう冒険録とか見ちゃうと男子なら自分もこんな冒険がしたいと思うのは当然だよな。


「ミナツ・・・冒険すると言ったがお前に出来るのか?」


「アキハ姉さん! 出来る出来ないじゃなくてするの!! 俺のスピリッツが冒険したいって叫んでるんだ!!」


「・・・勝手にすれば?」


「ミナツですからね」


心配するアキハを尻目に、ハルナとフユカは興味無さそうに持っていた本に視線を戻した。


「でもミナツ。私たちはまだまだ弱いんだぞ・・・もう少し強くなってからでもいいんじゃないか?」


「思い立ったが厄日って本に書いてあったんだ! つまり思ったら行動に移せって事だよ姉さん!!」


「それを言うなら吉日だし。それとアンタ夜どうするのさ?」


ため息をついてハルナが顔を上げた。


「夜?」


「一人で寝れるの? 言っとくけど私たちは行かないからね」


「・・・・・・」


ここにきて根本的な問題だ。悲しい事にミナツ含めてうちの子たちは一人で寝れない。もっと言えば俺かマイが近くにいないとちゃんと寝れない。ミナツはハルナほど酷くはないが、それでも疲労回復のために一人でも寝れているかと言われればNOだ。四人で身を寄せ合うように寝れば何とか寝れるとは言っていたが、それも四人が揃っている事が大前提だ。


「そんな目しても嫌。そもそも父さんと離れるつもりないし」


そしてハルナは冒険に興味なしで俺から離れるつもりは無いと来た。


「それにミナツ。冒険って森の中とかで寝ずの番とか必要らしいですよ。一人で冒険出来るんですか?」


「・・・・・・」


追い打ちをかけるようにフユカが言う。それなんだよ。冒険するならば野営装備も必要になる。アイテム扱いだろうからかさ張ることはないだろうが、一人で全部やるのは中々に大変だ。特にこの世界には安全地帯でキャンプが出来るなんて都合がいい場所は少ない。


それにあったとしても必ず安全とは言えない。盗賊に始まり山賊なんてゴロツキだっている。ミナツほどの子供なんかそういう連中にとってはカモだろう。


「とうさーん・・・」


「・・・父さんに泣きつくなバカミナツ」


「お父さんまで巻き込まないでくださいミナツ」


ハルナとフユカは完全反対派のようで、俺に頼ろうとしたミナツを近づけまいと鋭い視線で睨みつけていた。


「だってカッコいいじゃん!! 父さん!! 俺の気持ちわかってくれるよね!?」


「み・・・ミナツ・・・そういうのはダメだと思うんだ・・・その・・・ズルい」


「みぎゅっ・・・・あきはねぇさんぎぶぎぶ・・・!!!!」


背後に回ったアキハに首を絞められてミナツが苦しそうにタップするが、無意識なのかアキハはより強く締めているように見える。


「アキハ。こっちおいで」


「っ・・・わかった」


「ぐへぇ・・・・」


パァ・・・と明るい顔になってアキハが空いていた隣に座る。これでいつもの左右にアキハルナ。背中にフユカのいつもスタイルだ。


とりあえずアキハの頭を撫ぜて機嫌を直してもらおう。優しく撫ぜればまるで懐いた犬のように身体を預けてくる。子犬系女子だな。


「とうさーん・・・同じ男として冒険の素晴らしさをそいつらに教えてやってよぉ」


「「「ダメ」」」


「なんでぁ!!?」


「あはは・・・」


三対一でミナツ。完全敗北である。南無。しかしミナツに味方しないのも可哀想だから助け船出してやろう。


「確かに冒険するのは楽しい。新しい発見、見たこと無い風景。それに出会い。人生経験をするなら冒険するのは悪い事じゃないよ」


「父さん・・・!!!」


「でもその前に、ミナツがもう少し一人で色々出来るようになってからの方が俺も安心できるかな」


「うぅ・・・それは・・・そうなんだけどさぁ・・・」


「それに、ミナツは野営の仕方も知らないだろ?」


「や・・・やえい?」


あー・・・本当にそこからの話か。


「わかりやすく言えばキャンプだな」


「おぉキャンプ! たまに庭でやってるやつだよな!!」


俺の趣味に付き合ってもらう形で、庭でたまにキャンプをしている。バーベキューをしてテントを設営して布団をひいて寝るという家キャンプみたいなものだ。


「それならできるぞ! いつも父さんの手伝いでテントも作ってるしご飯の手伝いだってもうよゆーだ!!」


キャンプと聞いて落ち込んでいた気持ちが晴れたのかウキウキしだした。冒険=キャンプと結び付けたらしい。さっきまでの落ち込みはどこへやらだ。


「野営って言うのはあれをもっと実用的にすることだよ」


「そう聞いたら出来る気がしてきた!!」


「なら簡単な野営の仕方を教えてやるよ」


「っっ!! ありがとう父さん!!」


「「「・・・」」」


「なんで睨まれてんだよ俺っ!!? 何も悪い事してないぞっ!!?」


ミナツに突き刺さる複雑な感情の視線は、まぁ察するが、経験させてやりたい気持ちはあるから許してくれな。


「寝るための布を用意する。以上」


「・・・え?」


「あとは寝やすい場所を探して寝る。ただし一人で寝る時は直ぐに臨戦態勢になれるように座って休眠するのが基本だな」


「す・・・座って寝るの?」


「一人ならな。何があっても全部自分で解決しないといけないから普段みたいにゆっくりは寝れないぞ?」


「テントとかは!?」


「基本的にはない。だから雨が降ることも考えて木の下や洞窟なんかの雨を凌げる場所で野営することも考える必要がある」


「・・・」


「あとはそうだな・・・食事は日持ちして片手で食べられるものを常備すること。現地調達も必要だから食べられる野草や木の実。モンスターの肉に関する勉強も必要だ」


「勉強も必要なの!?」


「そりゃそうだ。それも今以上のたくさんの知識が必要だからもっと勉強しないといけない」


「うぅううう・・・俺が考えてた冒険と違う・・・」


「・・・短絡的すぎるんだよ」


「考えなしですね」


「勉強嫌いのミナツには難しそうだな」


「みんなして言わなくてもいいじゃんかぁ!!」


浅はかなとアキハ達から突っ込まれ涙目のミナツ。実際そうだからフォローがしにくいんだけど。とりあえず頭を撫ぜておこう。


「試しに今晩庭でなんちゃって野営で一晩過ごしてみるか?」


「風邪ひくからダメに決まってるでしょ。アールも甘やかさないの」


「マミー!?」


ここにきてマイ参戦。しかも反対派。こりゃダメだ。どうしようもない。と言うか庭で寝るって言ってミナツも若干嫌そうな顔してたし。


「ミナツ。マミーにもダメって言われたから練習はなしだ」


「あうぅ・・・複雑な気分・・・」


「キャンプ位で満足しておきなさいナツ君。お父さんが言う野営は多分想像の倍くらい厳しい野営だよ」


「そうなのっ!!?」


失礼な。経験で培った知恵を総動員して何があっても対応できる実戦的な野営であることは認めるが、ちゃんと休めるぞ。


「なんかお父さん不服そうな顔してるけどアールのそれは絶対一般人がやる野営とかじゃないんだよ」


「結構最適化したから雨風は防げるし、複数人いればちゃんと休めるぞ?」


「ごめんアール。ちょっと信用ならないかな」


「えぇ・・・」


「絶対にあっちの経験で培った野営でしょ?」


「勿論」


それ以外に野営の仕方なんて学ぶ場所無いしな。


私達プレイヤードとか大人ならそれでいいけど子供にはちょっと厳しいよ」


「それはまぁ・・・そうかもしれない」


マイも経験者だからある程度はわかっているはずだ。だからこそ言葉の重みがあるんだよな。


「マミー・・・」


半分諦めたようにしな垂れるミナツ。が、天はミナツを見捨てなかったようだ。


「けどナツ君の冒険したいって気持ちは理解できるのもあるんだよね」


「マミー・・・!!!」


「毎日の勉強に魔法の勉強を追加して、教えた魔法をちゃんと使えるようになったら冒険に関してはいい方法があるよ。ナツ君頑張れる?」


「頑張れる!! 冒険!! 出来るなら!!」


「言ったわね? じゃあ明日から勉強頑張ろうね?」


「押忍!!」


「アキちゃん達も覚える? もっといろんな魔法つかえるとこれから便利だよ?」


「「「興味ない」」」


「あはは・・・自己主張がちゃんと出来るようになってマミー嬉しいよ・・・複雑ではあるけど」


「俺は興味あるな・・・一緒に教えてもらうかな」


「お、アールやる気だね。いいよ。教えてあげる。この前のスキルのおかげで教えられること増えたからね」


「「「やっぱりやる」」」


「本当にこの子たちは単純だねぇ・・・マミーちょっと心配になって来たよ」








ーーーー








翌日。家から少し離れた草原にて。


「はい、じゃあ魔法の勉強を始めます!」


どこから用意したのか教師ファッションに身を包んだマイが俺たちの前に立っている。本当にいつそんなの用意したんだよ。


「これ指導者ってプレイヤーメイドのシリーズ装備なの。パーティー全員のスキルと魔法の熟練度が上がりやすくなるやつ。意外と便利なのよね。防御力皆無だけど」


「だろうな」


なんというかレベル上げに特化させた見た目だし。


「ワクワク!!」


「・・・単純な奴」


ハルナ。お前も人のこと言える立場じゃないと思うぞ。


「ハルちゃんフユちゃんは基本が出来てるから二度目になるけど、アキちゃんナツ君は初めてだからよく聞いててね。まず魔法って言うのは簡単に言えば魔力に形、あるいは概念を与えたもの。簡単に言えば道具を使わずに火を出したり、空高くジャンプできる力を人に与える力。魔法はどんな事も出来る。けど同時に魔法はどんな現象も引き起こす危険なものでもある。これは覚えておいて」


「えっとあれですよね。人を殺すのも簡単に出来ちゃうから人道的? に反することはしちゃダメなんですよね?」


「フユちゃんの言う通りだよ。魔法は皆がお父さんに剣を教えて貰っているのと同じくらい危険な事でもある。だからナツ君たちも魔法ってそういうものだって理解してね」


「うん。わかった!!」


「わかった」


「魔法を使うにはマジックポイント・・・プレイヤードの間ではMPって言われる魔力があってね。それを使って魔法を使うの。このMPは自分が生来もつ魔力と、魔法に対する抵抗力、耐魔法力って奴が高ければ高いほど多く持つの。特に重要なのは魔力。これが高いほどMPは高くなる。耐魔法力も関わってくるけどこっちが関係する魔法は多くないからとりあえず省くね」


「なんとなくわかる・・・が、なんとなくでいいんだろうか?」


「本当は結構重要なんだけど、私たちに関してはなんとなくでいいよ。皆でつけてる羽飾り。これを付けている限り、私たち家族のMPは共有されてる。簡単に言えば私が持ってる無尽蔵のMPを皆で使い放題になってるの」


「・・・前と話が違くない?」


「そうなんだよねハルちゃん。このまえベオウルフ倒したでしょ? その時の福音がこの羽飾りに宿ったみたいなの。だから皆のMPは自分のモノじゃなくて、皆のモノなの。でも悪い事じゃないよ? さっきも言ったけど私の無尽蔵にあるMPが皆も使えるようになるからMP切れで魔法が使えないなんて状況になる事が無いから」


「そう聞くとちょっといいですね・・・えへへ・・・たくさん魔法使えればいろんな事出来そうですね」


「実際は魔法を覚えないといけないから最初の壁はそこなんだけどね。けど補助魔法に関してハルちゃんフユちゃんはすぐ覚えたしたぶんアキちゃん達も簡単な魔法はすぐ覚えられるよ」


「やった!!」


「じゃ、早速魔法の練習を始めよう。最初に教えるのは基本の魔法。火を起こす魔法『ファイア』だよ。使い方は簡単。火を起こしたい場所にイメージを集中させて魔力を込めて『ファイア』って唱える」


そういってマイは手持ちの木刀を地面に突き刺す。


「ナツ君からやろうか。この木刀に対して『ファイア』を使ってみて」


「えっと・・・魔力を込めてってどうやるの?」


「イメージするの。自分の中に魔力って言う不思議な力が宿ってるって。その宿っている力を外に出す。魔法に大切なのはイメージだから。習うより慣れろだね!」


「イメージイメージ・・・燃えろ!!『ファイア』!!」


しかし何も起こらなかった。


「「「「・・・」」」」


「イメージ不足だね。はいじゃあフユちゃん! お手本やってみよう!」


「は・・・はい。『ファイア』」


すると今度は木刀が爆発するように燃えた。パイロキネシスに近いんだな。


「ナツ君見てたよね? こんな感じのイメージだよ」


燃える木刀はマイが片手間に魔法で沈下した。詠唱が必要ないのか。流石にこっちでの魔法戦士としての時間が長いからこの程度の魔法は無詠唱で余裕って訳だ。


「とりあえずナツ君。出来るようになるまで練習しようか」


「押忍! 頑張る!!」


「さてと・・・アキちゃんに関してなんだけど。残酷な事を言うけどアキちゃんは魔力が無いの。だから攻撃魔法は使えなくはないけど、見た目だけの魔法になっちゃうね」


「そうか・・・だが大丈夫だ。使えないなら父さんのように剣を極めればいい。じゃあ父さん。私は庭に戻って剣の練習をしてくる」


「話は最後まで聞こうね? あくまで攻撃魔法は使えないだけ。補助魔法は使えるよ」


「??? だが魔力がないのだろう?」


「補助魔法が参照するのは魔力じゃなくて耐魔法力なの。正確には相手を傷つける魔法には魔力が、守る・助ける。そういう補助カテゴリーの魔法に必要なのは耐魔法力。アキちゃんも耐魔法力はあるからアキちゃんが使うのはこっち」


「そうか・・・その補助魔法と言うのはどうすればつかえるんだ?」


「基本は同じ。イメージだね。身体に流れる魔力で自分を強くする。魔法っていう服を着るイメージだね。やってみよう。教える魔法は自分が早く動ける魔法『スピードエンハンス』。やってみて」


「わかった。『スピードエンハンス』・・・出来たか?」


「出来てないね。はいハルちゃんお手本!」


「・・・『スピードエンハンス』」


足元から光が浮かび上がり、ハルナの身体の中に入っていく。以前も見た『ブレイブエンハンス』のエフェクトに似ている。違うのは光の量が少ないくらいか。


「私の時と全然違うな」


「発動してなかったからね。発動すると今みたいにわかりやすく魔法が反応してくれるよ。練習あるのみだよ」


「やってみる」


「最後にアールだね。使ってみたい魔法ある?」


俺の番になった訳なんだが、実はもう決めていたりする。


「剣に特殊効果を乗せる魔法を教えてほしいんだが・・・出来るか?」


「余裕だよ。具体的にどんな効果がいい?」


「特攻が乗る魔法がいいな」


前に電卓騎士団と戦ったアンデットナイト。あれは特攻が乗らないと再生するタイプのモンスターだったから、今後類似したモンスターと出会った時の対処は出来るようになっておきたい。


「特攻に限るなら『アンチエンハンス系』の魔法かな? 『属性エンハンス』もあるけどどっちにする?」


「どっちも」


「まっかせて! とはいっても出来るようになるかはアール次第だけどね? まずは死者や幽霊が持つ『死怨概念』に特攻がある『アンチファントムエンハンス』。アンデット系のモンスターに限るなら光属性と聖属性を付与する『フォトンエンハンス』と『シャイニングエンハンス』で十分だけどね」


後者二つは覚えている。以前アンデッドナイトをぶち抜くときにマーガリンにのせて貰った魔法だ。名前的に光属性の魔法だとは思っていたが聖属性なんてものもあるのか。


「その顔少し知ってるみたいだね。属性エンハンス系の魔法はその名の通り持っている武器、あるいは自分自身にその属性を宿す魔法。属性で弱点を突くことを考えたらこっちの方が消費MPも少ないし充分ではあるね。対してアンチエンハンス系の魔法はその一点。例えば今の『アンチファントムエンハンス』なら属性攻撃は乗らないけど、『死怨』っていう概念を持つ相手には属性エンハンスよりも高い効果を得られる。数値で言えば約二倍。ただしMPの消耗も大きいのと、相手が複数の概念持ちの場合は、概念が概念の弱点。つまりアンチエンハンスの効果を受けなくする場合もある。他に相手が高い耐魔法力を持っている相手にもあまり効果が見込めないよ」


「つまり、消費が高いが効果も高い。しかし状況と相手次第で軽減される。それがアンチエンハンス系の魔法の特徴って訳か」


「そゆこと。んで属性エンハンスも大まかには変わらないんだけど、こっちは概念特攻じゃなくて、攻撃そのものが属性によって強化させるから攻撃力アップも見込める。欠点は相手がその属性に対して強かったらデバフ効果になること」


「ありがちだな」


「ありがちでしょ? でもそうじゃない限りは基本的にバフ魔法だと思ってくれていいよ」


「わかりやすくていいな。なら改めて頼むよマイ。教えてほしい」


「いいよ。使えるようになるかはアール次第だから頑張ってね?」


魔法の練習開始だ。





この世界ゲームの魔法の話。

要するに攻撃魔法は『魔力』、その他の魔法は『耐魔法力』、両方を足したのが『MP』

と言う感じです。


感想評価、良いねにブックマーク是非よろしくお願いします!下の方にあるグッドマークとぽちっと頼みますわ。

基本感想は返信してるのでどなたでも一言くれると嬉しいです。



ーーー以下作者の最近のボヤキーーー

超長いので読まなくてもいいですが、読んで反応くれると嬉しいです。

いいですね? ではいきます。マジで長いですよ。心してください。


FGO奏章Ⅱのシナリオ完走したけど濃密さがエグイ・・・絶対に負けないよ。だから見てて。

アークナイツは世界観改めて感じたけど心が締め付けられるんよ・・・ジェシカ、マジで良い子過ぎる・・・

グラブルは古戦場近いのにマグナⅢ実装&限界超越キッツ・・・まだランク200ないけども砂欲しい

ブルアカの制約解除決戦、私全然勝てないんですけど。

ヘブバンの第五章前編怖くてまだ進めてないんですよ。あのPVは本当に怖すぎる・・・後編来てから一気にやろうか検討中・・・あ、かなでぃとゆりっぺは二人とも確保しましたよ。なんなら始めたきっかけがコラボイベだったので。

そう考えるとソシャゲばっかりやってるですね最近。どの作品もシナリオ半端なくてやり込んじゃうんですよね。時間が二倍になればいいのにとか思う最近。


『おい作者ァ!?続き書いてるんだろうなァ!?』って思ったそこのアナタ。書いてますとも。設定ばっかり。

設定は無限に思いつくのにそこに行きつくまでのシナリオ量が決まらないの困る・・・とりあえず設定だけなら四章五章くらいまで思いついたけど、そのシナリオ数考えるのマジ大変・・・でも思いついた設定を生かしたいから頑張れるんですけどね。という事で今少しだけ煮詰まってます。七月からの更新頻度少し落ちるかもですが、設定だけならたくさん思いついたんですマジで。


ーーー以下作者が考えてるシナリオの草案ーーー

日常って変わったことが無いからこそ大事だってまず刷り込みます。

次に日常を崩壊させます。

人的被害も増やします。

登場キャラを殺します。

日常を取り戻します。しかし失った人はもう二度と帰ってきません。素敵リアルですね。


ゲームならではですけど、ゲームからの引退って言葉にすると簡単ですけど、一緒に遊んでいた友人からするとめっちゃ悲しい事ですよね。

逆もまた然り、引退した人が復帰する展開もゲーム題材作品だからこそ出来るってもんですよね。


あとは民度の悪い人とかも出したいような出したく無い様な・・・あ、外部からのチート行為は無いですよ?設定上あの企業が個人からのチートとか許す訳ないですから。


あとはソフト購入後に重課金した人の話とかの話もいいですね。エクスゼウス公式のパッケージ商品とか爆買いして労力無しで強くなってる人とかの話も面白いと思いません?エクスゼウス的には出したくないけどサーバー維持の為の資金調達の為に、仕方なく販売したパッケージに重課金して強強装備で固めた自称ガチ勢とか。


勧善懲悪も好きですが理不尽な展開・永遠の別れな話も大好きな作者です!!

そう言うのを書いて反応を貰うのが、認欲求モンスターである私は大好きです!!


よし!すっきりしたのでボヤキ終わり!! 以上!!

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― 新着の感想 ―
[一言] ソシャゲの増える速度と切る速度が比例しないジレンマよ・・・
[良い点] 結局子どもたちはアールとマイが大好き。 まぁ子供たちはトラウマもあるでしょうが、 人見知りと睡眠障害が治っていけばいずれは新たな冒険も。 [一言] どっかの漫画で「どんなに鍛えた体があって…
[良い点] 冒険譚に憧れるのは男の子だから仕方ない。それこそアールさんの過去を寝物語として語るのもありかなと。 [気になる点] 指導者装備という名の女教師の服が戦闘用として実用性皆無ということは、ネタ…
感想一覧
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