模擬戦
親子であり師弟なら模擬戦位します。という訳で三月初投稿です。
ブックマーク数2000件、いいね900件を超えました!! 皆さんのおかげです!本当にありがとうございます!
次はブックマーク3000件、いいね1000件目指して頑張ります!!
「お前たち。来い」
「わかった・・・父さん。全力でいく・・・怪我しないで」
高原で立ち会うのは俺とアキハ、ミナツ、ハルナ、フユカの五人。お互いの手には60cm前後、確か二尺って言うんだっけか? それくらいの長さの真剣が握られている。
吹き抜ける風が静かに通り過ぎ、互いの呼吸をお互いの耳に届ける。
「構わん。殺すつもりでかかってこい!」
殺意を飛ばし、呼吸を切り替えて戦いの合図とする。それが始める前に決めたルール。俺をわずかにでも傷つけられたらアキハ達の勝利だ。傷つけられず、限界が来たら俺の勝ち。
今だけは親子ではなく、剣士としてここに立つ。
「「行くぞ!!」」
「「・・・!!」」
アキハを先頭に、ミナツが続き、その両翼にハルナとフユカが展開する。
「『月風』!」
直後、アキハが一段階加速する。月光真流戦技『月風』。己に生じる衝撃を蓄積しながら移動する戦技。同時に無駄な動きを全て省くことで加速をする。
「ハァッ!!」
横薙ぎに振るわれた一閃は『シマカゼ』の鞘で受ける。重い。良い一撃だ。初撃としては悪くない。まだまだと言わんばかりに斬撃を重ねてくるアキハに合わせ、何度も弾く。
剣戟が舞う中で、アキハは後ろに控える妹たちに指示を飛ばす。
「ミナツ!! 右!! ハルナは左!!」
「応っ!!」
「・・・!!!」
打ち合わせしたかのように、何度も練習したかのように、完璧なタイミングで三方向から同時に繰り出される斬撃。同士討ちしない距離でありつつ、上以外に逃げ場が無い様に詰められた連撃。
チラリとみれば上への対処としてフユカがアキハの後ろで構えを取っている。
なら回避ではなく迎撃を選択する。
『シマカゼ』を抜刀し、最も衝撃の扱いに長けたアキハの斬撃をまずは真正面から受け止める。その衝撃をわずかに反転させてアキハを後ろに押し返す。
そのわずかに出来た間合いに身体を入り込ませて、身体の向きを変える。
ミナツには『シマカゼ』を、ハルナには鞘をあてがう様に構えてその一閃を受け止める。
「「っ!!」」
「フユカ!!」
「!!」
背後から迫るフユカの呼吸。アキハはその場で身を屈め俺の背中をフユカに開けた。
「『月光閃』っ!!」
迫る突きに、さてどう対処しようか。下手な動きは出来ない。傷つけるからではない。傷を付けられるからだ。攻撃を防がれ、往なされたミナツとハルナは当然、背後に感じるアキハも次の一撃の為に呼吸を切り替え、構え直している。下手な動きは文字通り彼女たちに狩られる隙を晒すことになる。
「『星波ピスケス』!!」
脚を振り上げ全力で地面を鳴らす。一撃は地面を確かに揺らし、四人のバランスを極僅かにだが崩させた。その隙で十分だ。フユカの方に振り返りながら、下から打ち上げるように鞘を振り上げる。
互いの一撃が接触し、フユカの剣が上へあがる。この位置なら当たることはない。
「まだだ!!!「「『月光脚』!!!」」」
おっとそれは流石に回避させてもらう。
グッと足に衝撃を込めて空を舞い、三人の攻撃を回避する。三人の脚撃はそれぞれの足を蹴りあう形になったが、ダメージはない。しっかりとそれぞれの衝撃を『月波』で分け合って蓄積させたか。
吶喊していたフユカはアキハに抱きかかえられるように止められ、アキハはその分の衝撃も吸収する。
今一番注意すべき一撃を持っているのはアキハという事だ。多分教えてきたことの全部をあの衝撃量なら出来るだろう。
四人は既に仕切り直し、再び突撃してくる。今度はミナツが正面だ。
「真向勝負!! 行くぞ父さん!!!」
両手で剣を構え、より力強くより早く剣を振るう構えを取るミナツ。当然そういう事をすれば隙が生まれるのだが、その隙をなくすように、アキハとハルナが続く。フユカは再び後衛で一撃を狙う構えだ。
ただ勝つのなら後衛から潰すのが定石だ。が、男ならそうだよな。
「挑戦承る!! 行くぞミナツ!!」
真正面から行こう。
「戦技!!『月華美刃』!!!」
横薙ぎに振るう攻撃から唐竹割を放つ連撃。仮に一撃目を防いでも、その防がれた衝撃を乗せて、防いできた部位を上にかち上げて叩き切る。
「『風花雪月』」
だからこちらも戦技で返す。横薙ぎの一閃は持ち手を下にしてガード。かち上げてくる行動に関しては、刃が刀を走るように受け流し、身体をしならせる。振るわれた振り下ろしは鞘をもって受け止める。
月華美刃は防御の戦技。『月波』と動く戦技『月風』を組み合わせたことで絶対防御を信念とする戦技。対月光真流を想定して生み出されている故に、月光真流の戦技はこの戦技で全て防御出来る。
ミナツの一撃は良い一撃。俺の鞘をぶった切り、俺を斬ろうとする一撃だ。並大抵の連中はこれで倒せるだろう。けど、俺には届かない。
「・・・『十六夜』」
「甘い!!」
空間を切り裂くがごとく居合抜刀術『十六夜』を放つはハルナ。ミナツへの防御で塞がっていた右側に回り込み、ほぼ真下からの一閃。
動く刃に合わせるように足を上げ、峰を蹴り飛ばし、その攻撃を防ぐ。ミナツの『うわマジか』みたいな表情が見えるが、マジだ。
「『月光閃』!」
「シィッ!!」
その足をそのまま無理やり軌道変更し、ミナツの隙間から繰り出されたフユカの吶喊攻撃を裁く。既にミナツは一歩後ろに下がっている。状況判断が早い。
「バランスを崩したな父さん!!」
「このくらい崩したって言わねぇよ!!!」
「「『月光脚』!」」
「ぐおっ!?」
ハルナとフユカによる月光脚を用いた一撃は俺の地面に残っていた足を蹴り飛ばす。衝撃を受け止めたが完全には受けきれなかったので、今度は悔しいが完全にバランスを崩された形になった。流石に子供とは言え、片足で二人分の『月光脚』は受けきれん。精々衝撃を受け入れるので手いっぱいだ。この場合は足いっぱいか?
「スゥー・・・」
この瞬間を待っていたとばかりにアキハが全身の衝撃を剣に込めていく。どっちで来る? いいや関係ない。どっち出来ても防げる。
「奥義!!『剛歌キャンサー』!!!」
「『剛歌キャンサー』」
「「「んなっ!!?」」」
バランスを崩したからって、俺が奥義を使えないと言った覚えはない。剛歌キャンサーは衝撃を面として、壁として打ち出す。言うならば巨大な斬撃で出来た壁だ。だが他の奥義と比べてだが、対象を間接的に触れるので後出しでも防御だけなら間に合う。
叩きつけ合う斬撃壁が空間を揺らし、バランスを崩し宙にいた俺は後ろへ飛ばされる。アキハは全く動いていないが、流石に動揺したのか、はたまたその動揺を落ち着かせるために呼吸を繰り返し、落ち着き始めている。
ゴロリと地面を一回転し、立ち上がりながら衝撃を足から全身へと巡らせる。
「追撃してこなかったな」
「・・・あの姿勢から使えるのは想定外だよ。迂闊に追えばやられるのはこっちだし」
ハルナが悔しそうにしつつ構え直す。最悪を想定して行動するのは良い事だ。毎回最悪を想定して動けとは言わないが、最悪を想定できないのは良くないからな。
「ハルナ、フユカ。あの足払いは良い一撃だった」
「・・・嘘つき、へし折るつもりで蹴ったのに全部受けられた」
「えっと、その一撃で合格って事にはなりませんか?」
「ハルナ正解。残念フユカ。俺に傷はありません」
「流石に父さんは強い。ハルナ。私の直衛に、ミナツとフユカは遊撃で行くぞ」
「・・・私が直衛ね。いいよ、わかった」
「なんか今日は行ける気がする!! やるぞフユカ!!」
「わわ・・・ミナツ声が大きいです」
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なぁにあれ?
私があれこれやっている内に、と言うかイベント消化してる間にアキちゃん達の修業に本腰入れ始めたって話は聞いてたけど、戦闘のレベル高すぎるんですけど?
アキちゃん達この二週間と少しで何があったのってくらい戦闘慣れしてる。四人で育ってきたって言うのもあるけど連携がうまいし、フォローも上手。
今もアールと斬りあってるけど、汗どころか、冷や汗の一つ流さずに見事な連携でアールを押している。
傷つけないとアールは言っていたから余計だけど、四人とも攻撃に一切の迷いがない。もしもアールが反撃を解禁すれば各個撃破されるのはわかるけど、傷つけないと言ったからってそこまで連携してアールの行動押し込めるのはちょっとマミー吃驚なんですけど?
ちょっとステータス見せて貰うよ・・・うっわ、エグっ。全員90超えてるんですけど!?
NPCで90超えるのは控えめに言ってヤバいよ!? それこそNPCの英雄クラスのレベルだよ!?
この世界で確認されている味方NPCの最高レベルは89。全大戦と言うべき三つ巴戦争の各陣営の英雄がそのレベルだった。
んで、現在のアキちゃん達のステータスを見てみようか。
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アキハ:Lv93
ジョブ:なし
筋力:221
魔力:0
俊敏性:345
防御力:92
対魔法力:25
運命力:99
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ミナツ:Lv91
ジョブ:なし
筋力:443
魔力:37
俊敏性:174
防御力:157
対魔法力:52
運命力:166
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ハルナ:Lv92
ジョブ:なし
筋力:177
魔力:159
俊敏性:154
防御力:161
対魔法力:201
運命力:152
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フユカ:Lv93
ジョブ:なし
筋力:161
魔力:203
俊敏性:153
防御力:164
対魔法力:155
運命力:199
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ステータス合計値1000を余裕で超えてるんですけど。 ジョブ補正無しで。
ナツ君に関しては何なの筋力413って何さ? 防御してる相手だとしても一撃で相手のHP確実に一割削るんですけど。ジャストガードくらいじゃないの完全防御出来るの。
アキちゃんは私のステータスを物理型に寄せた超攻撃特化ステータスだし。早くて一撃大きいスタイルは私が実証済みだけどダメなのよ。ここにスキルとか味方からの補助魔法でバフ盛ると音速レベルの速度出せるからもう通常のプレイヤーじゃ太刀打ちは多分無理。
ハルちゃんフユちゃんは完全にオールラウンダー型で文句のつけようはなし。しいて言えば器用貧乏だけど、目の前の戦闘見せられたら器用貧乏なんて言葉すら出てこない。
斬り結ぶっていうのかな? ずっと鳴りやまない斬撃音をあの子たちが出してるなんて正直信じられない。
このゲームプレイヤーの、あくまでも平均値の話だけど、強化アイテム全振り全盛りで合計値1200ちょいなのに、この子たちは体力の概念がない状態で1000を超えてる。つまり隠しステータスで体力が存在していることの裏返しなんだけど、設定的にNPCの体力はHPじゃなくてスタミナだと仮定されてるからもう考えるまでも無く1200オーバー。
んでね? ここにスキルの概念をはめ込むとそれはもういけないのよ。確実にカンストレベルのプレイヤーと肩を張るレベル。
と言うか四人連携で来ることと全員が近接攻撃に対するカウンターを持っているから遠距離攻撃での攻略必須。だけどその為にはアキちゃんの速さが厄介。
んでアキちゃんに集中すればナツ君の一撃が襲ってくるし、隙があったとしてもハルちゃんフユちゃんペアがその隙を埋めるように動く。そんな感じで三人に目を取られればアキちゃんが必殺の一撃を叩き込んで切る。三人はそれを必殺にするためにこっちの態勢を崩してくる。
考えるだけでも相手したくないわ。
電卓騎士団はそれぞれ極振りじゃなくて能力値を平均的に伸ばした上でスキルや防具で補完しつつ、それぞれのジョブ、戦線に応じたビルドをしていたから弱点を見つけて付けばよかったけど、この子たちはもう無理だ。
だってスキルも防具も職業も無しでこれだよ?まだ強化はいるんだよ?
知ってる? このゲーム最強のステータスは多分俊敏性だよ? それ全員150超えてて早い。何故かって?どれだけ強い防御力あっても、防具があっても、生物にとっての致命傷になる部位に攻撃を受ければそれで死ぬの。その致命傷を負わないために防具を固める。スキルで延命する。回復魔法で回復するとか色々あるけれど、ただ一言。
『攻撃が当たらなければ問題ない』
これに尽きると上位層はよく言う。けど、速度特化にしすぎると攻撃手段が限られるからそれぞれ武器を持つため、魔法を使う為に筋力と魔力を伸ばす。わかりやすく言えば二極化ビルドが最強なの。
けど早すぎると体が追い付けずに能力に振り回される。それを制御できるようになって初めて上位プレイヤーって呼ばれるようになる。
つまり長々と言った訳だけど、両極化したプレイヤーの平均ステータスはこんな感じになる。
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○○:Lv100
ジョブ:剣士
体力:150
筋力:500
魔力:50
俊敏性:270
防御力:50
対魔法力:50
運命力:50
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合計値1120。ステータス変更アイテムで筋力と俊敏性・体力以外を全能力値の最低ライン50に、体力は最低値150に振って、ここからアイテムによる強化と装備の付与、あとはジョブの変更にスキルの効果を乗せた実数値が大体こうなる
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○○:Lv100
ジョブ:剣聖 (筋力・俊敏性に+数値)
体力:200
筋力:520
魔力:60
俊敏性:270
防御力:200
対魔法力:200
運命力:100
スキル
・・・・
・・・
・・
・
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数値はあくまでも理論値、平均値で、装備の違いやスキルの違いで色々変わってくるけど、上位勢になる為に必要な平均値が大体これくらい。筋力が大きければ大きな武器や強い武器をより強く扱えるからあってこまるステータスじゃないから限界突破狙いで500。俊敏性は現状扱える人の限界値が200~280までだから高めに見て270と考える。
これで回避盾、あるいは超攻撃型のテンプレビルドが完成するわけ。
時間と労力と根性があれば作れるテンプレステータスを出したけど、私含め上位勢はここから更にいろんな創意工夫でステータスを弄ったりして、このゲームに適応したステータスを作ってる。
これを踏まえてアキちゃんの数値をもう一回見てみる。
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アキハ:Lv93
ジョブ:なし
筋力:221
魔力:0
俊敏性:345
防御力:92
対魔法力:25
運命力:99
ーーー
はっやっ!!? と言うか最低値の概念がないNPCだから0なんて数字があるんだね! でもこれすっぴん。つまり装備・アイテム・スキル・ジョブ。全部無しでこれだよ?まず間違いなく筋力数値が高いから大体の防御は抜けるし素早さは前人未到の300オーバーだよっ!!
慣性考えたら普通に防御無視攻撃だよ!!
じゃあ次! ナツ君!!
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ミナツ:Lv91
ジョブ:なし
筋力:443
魔力:37
俊敏性:174
防御力:157
対魔法力:52
運命力:166
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平均値そこそこあって相手の防御絶対ぶち抜くマン。ハイ次!! 一気に二人!!
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ハルナ:Lv92
ジョブ:なし
筋力:177
魔力:159
俊敏性:154
防御力:161
対魔法力:201
運命力:152
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フユカ:Lv93
ジョブ:なし
筋力:161
魔力:203
俊敏性:153
防御力:164
対魔法力:155
運命力:199
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平均的なオールラウンダー・・・・あの動きで? オールラウンダー? 嘘つけ!!実数値見た感じ280超え取るわ!!! アキちゃんに負けず劣らすの速度で戦闘に参加してる時点でもうステータス詐欺だよ!!!
この話に限って言えば全員そうだよ!! 特にアール!! 貴方のステータスが一番わけわかんない!!!
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アール:LvX
ジョブ:放浪剣士
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ステータスぅ!!!? 仕事放棄してる!! なにさレベルXって!!? 今更だけども!!! 今更だけども声を大にして言いたい!!!
「エクスゼウスの加護でも受けたのか貴方はぁぁぁあああああ!!!!!!!!!」
「「「「ハァアアアッ!!!」」」」
「『月下美刃』」
何をどうしたら四人同時連続攻撃をたった一人の人間が捌き切れるんですかね本当に。多分さ? アールはエクスゼウスに愛されているからステータスって言う檻に閉じ込めたくないって言う運営からのお気持ち表明って事なんだけどねきっと絶対に。
私の勝手な考えだけど、まず体力は100ないくらい。次に筋力。300は固いね。魔力は50。回復魔法使えたしファストトラベルも使えてたからそれくらいはある。次に防御力と対魔法力。これも最低値の50で違いない。運命力はそうだね・・・2~300くらいあるんじゃない?
そしてうん・・・俊敏性だけど・・・多分500は超えてる。一瞬で距離を詰めたりするから大よそ常人の域を超えてる。完全にコンロトールしてるからもしかしたらそれ以上あるかもしれない。
奥義を使った時の速度は目で追えないから下手すれば俊敏性以外の数値を50とした最高速700の可能性だってある。
蒼牙とのPvPもしてたこと考えて自前で食いしばり、あるいは背水の陣、死中に活系の必ずHPが1残る精神力、肉体があると考えて、一般人に当て嵌めれば・・・多分こうなる。
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アール:Lv100
ジョブ:放浪剣士
体力:50
筋力:300
魔力:50
俊敏性:700
耐魔力:50
運命力:300
スキル
『食いしばり』:あらゆる攻撃を必ず耐える。
『月光真流』:あらゆる防御を貫通する戦技。
『桜花戦舞』:敵対対象の注目を得る戦技。
『威圧』:敵対対象を確率でひるませる。確率は運命力×0.35で決まる。
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その合計数値1450。並のプレイヤーでは歯が立たないのも納得のステータス。これはあくまでも私の妄想を含んだステータスだから確信も何もない。けどこれだけあると考えると腑に落ちる事もたくさんあるんだよね。
そりゃ強いよ。デスペラードも一瞬で溶けるよ。蒼牙のHPを二撃で溶かすのだって納得だ。初めて合流した時に他のプレイヤーをビビらせたのも納得。本当に、規格外だよねアール。
「「「「ま・・・参りました・・・」」」」
「お疲れさん。なかなか頑張ったじゃないか。ちょっとびっくりしたよ」
「嘘つけ!! 涼しい顔してたよな父さん!!」
「えへへ・・・まだまだって事ですね。プレイヤードの人って皆こんなに強いんですよねきっと」
フユちゃん。アールと同じカテゴライズに私たちを巻き込まないで。間違いなくアールが規格外だから。他には・・・そうだね。この世界に適応した瞬間思考加速保持者とか、俗にいう覚醒者って呼ばれる人外連中ならアールクラスって呼べるかもね。
あいにく私は人外よりの常人だからアールと同じことをフユちゃん達としたら速攻で負けるよ。
「・・・まぁ、前より追い詰めていけてる気はするし」
「あぁ、いつか絶対に父さんに届かせてみせる」
少なくともマミーは抜かされましたよ。あーあ、悔しいなぁ! ここでマミーの強さを見せつけて『マミーも凄い』ってこの子たちに思わせたかったなぁ!!!
「マイ、変わるか?」
「変わるかぁぁ!!? 事前準備しないで挑んだら間違いなく私の負けだよ!!」
まぁ? 事前準備していいならバフモリモリで完全装備した上で初撃必殺で勝てるんですけどねー!! 事前準備さえできればね!! あとここが非殺傷エリアとかじゃないと私の魔法はアキちゃん達に向けて放てません!
「だってさ。じゃあ少し休んだらもう一戦交えようか」
「望むところだ。父さん」
「絶対に次こそ勝つ!!」
「・・・フラグだ」
「えへへ・・・また負けそうですね」
このスタミナお化けたちめ。今夜の晩御飯はスタミナが付く食べ物にしてやろう。あとそろそろご飯にステータス強化系の素材も混ぜて食べさせてあげよう。
特化させてもいいけど、様子を見るに、体力を伸ばす方向で強化してあげよう。体力極振りって奴だね。ここまで高いなら下手に伸ばすよりもこの子たちの体力をより伸ばして戦闘継続時間を伸ばした方が確実に強くなる。
「おっしゃ! じゃあマミー晩御飯の支度してくるから日が沈むころには帰ってきてね! 今日の晩御飯はお肉たっぷりのビーフシチューにするから! 修業頑張ってね!!」
因みに、アールも家ではシチューはご飯にかけて食べるらしくて、気が付けば私も同じようにご飯にかけて食べるようになった。だからこの子たちもご飯にかける派なのだ。
ーーーー
「アキハ、ミナツ、ハルナ、フユカ。明日はモンスターと戦ってみようか」
「おー、急だね」
夕食を終えて、食器を片付けてながら、休むアキハ達にそう告げた。今日の感じならこの辺に出てくるモンスターくらいなら何とでも出来るだろう。そう判断した。
それに、いつまでも俺との手合わせをやっていて、変な癖が出来ても嫌だからな。本当の戦い。命のやり取りを経験することも大事だ。
「わかったよ。父さん。殺すのはその・・・まだうまく出来るかわからないが、頑張ってみる」
「アキハ」
「だ・・・大丈夫だ。初めてではないから」
そうだ。アキハは一度人殺しをしている。俺と一緒に。その感覚がアキハにはまだ残っているんだろう。簡単に消えるようなものじゃないからな。だから、考え方を改めて貰うんだ。
「そうじゃないよ。ただ殺すんじゃない。生きるために相手を殺すんだ」
「生きるために殺す・・・?」
「そうだ。例えば今日の晩飯だってそうだ。この肉も、米も、もとは生きている生物だったんだ」
「お・・・お米もなのか?」
「そうだ。植物って言う立派な生き物だ。俺たち命は別の命を食べて生きている」
人は生きているだけで罪人とまでは言わないが、自然界のように、何かの命を奪って、人間は生きる糧にしている。
「誰かの命を貰って生きている。誰かの命を貰わないと生きていけないんだ。モンスターとの戦いは、命のやり取りはそうだな。自然の摂理。自然との調和って言ってもいい」
「???」
「人が世界と・・・いいや、世界の中で生きていく為に必要な殺生だ。前にやった報復や復讐とは少し考え方が違う」
「・・・どんなふうに違うんだ?」
「食べるための、生きていく為の殺しだ。不要な殺しじゃない。」
「・・・生きるための殺し」
「明日も生きていく為に、自分のご飯になってもらう為に、アキハって言う人間を作る体の一部として、モンスターの命を貰うんだ」
「命を・・・貰う・・・」
「・・・なんか、私たちが父さんに助けて貰ったみたいな話だね」
「そうか?」
「そうですよ。これだからミナツはミナツなんですよ」
「今絶対に馬鹿にしたよなフユカ!!?」
「わー!! お父さん助けてくださいぃ!! ミナツが虐めてきますぅ!」
「虐めてねぇ!! 怒ってるだけ!!」
「はいはいナツ君。そこで怒らずに流せるようになったらナツ君は立派な大人になれるよ」
「そ・・・そうかなマミー? ふん! そういう事ならフユカの今の事は水に流してやるぜ!」
「「「・・・ちょろ」」」
「ん?なんか言った?」
「・・・そうだった。私たちの命は、父さんが助けてくれた命だったんだな。ずっと、ずっと助けて貰っていたんだ・・・これからは、私たちが自分で、父さんに頼らずに生きていく為に命を貰う番なんだな」
「そうだ。アキハが生きていく為の一歩だ」
それはそれとして、まだ年齢的に沢山頼って欲しい。推定15歳から自立して一人で生きていくとか言われたら、現代社会に生きている俺の心が心配で満ち溢れるから。
「うん・・・そう言われたら出来る気がしてきた。父さん。私頑張るよ」
「おう。しっかり見ててやるから頑張ろうな」
マイ視点から見たアールたちの異常と通常というお話。
割とステータスの話してるんで間違ったりしてるところあるかもですが、一生懸命練りました。許してください。
今日の作者の一言、最近ホ〇ライブの沼に嵌りました。ずっと見てられる。
感想評価レビューいいね沢山下さい。もっとたくさんの人に読んでもらいたい欲求が溢れて止まらないです。なので今後ともよろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ




