家族になろう
今月はこれで最後。次の更新は二月一日です。一万字書くのってやっぱり大変ですね。毎日更新している人尊敬します。
いつも誤字報告ありがとうございます。たまにとんでもない誤字があって投稿前に見直してはいるんですが全く気付けないんですよね・・・申し訳ないです。
では本編どうぞ
「「「「あうあうあー………」」」」
「はい全員綺麗になったよ。服は貰ったやつ着せたけど良かったよね?」
「ありがとうマイ」
優しさに揉みくちゃにされ、何処かから帰ってきたマイによってお風呂に入れてもらった四人の子供たちは鼻を突き抜ける石鹸の香りだったり、ぼろ切れではなくしっかりとした服に目をぐるぐる回しながら立っていた。が、俺の姿を見つけると、トテトテとやってきてそれぞれのポジションともいうべき前後左右にやってきてぎゅっと服を掴む。アキハだけは掴みはしなかったものの近くで不安そうな顔をしていた。
四人とも痩せ細っていたが、見た目だけはとりあえず綺麗になった。あとは長い目で見ていけば年相応の体付きになっていくだろう。
「どうだった風呂の感想は?」
「………目が痛かった。水浴びするよりは気持ち良かったけど」
「えへへ、これが幸せって奴なんですね。えへへ」
「凄かった………もこもこした何かでごしごしされたら汚れ全部落ちた」
「良いのだろうか? 私たちがこんな思いをしてしまっても」
「良いんだよアキハ。というかこれからは毎日ちゃんと入ってもらうから慣れて貰わないと困るぞ?」
「「「「え?」」」」
俺の発言に目を丸くして、ぐるぐるお目々をしながら四人が顔を上げた。
これからの事なんだが、決めたことがあるんだ。助けた責任をしっかりと取る。この子たちが自分の足で歩いて行けるその日まで、俺はこの子達を見守ろうと思う。
「なぁマイ。冒険するって話だったんだがよ。予定変更だ」
「まぁ、アールが決めたんなら私はなんでもいいよ? 俗にいうスローライフってやつだね?」
流石マイ。以心伝心だ。
「金銭面に関しては任せて、これでも私お金だけは捨てる程持ってるから」
「頼らせてもらうよ。今度別の形で恩返しするわ」
「じゃあデートしよう? それでチャラ」
「OK」
「ちょ………ちょっと待って欲しい。訳が分からないんだ。ちゃんと教えてほしい」
そうだな。アキハ達を置いて話を進めすぎたか。
「実はな? お前たちを助けた時に決めたことがあるんだ。アキハ、ミナツ、フユカ、ハルナ。お前たち四人、俺と家族にならないか?」
「アール。そこは俺たちでしょ? 私を仲間外れにしないで?」
「いいのか? 色々大変だと思うぞ?」
「いいの。それに家族でしょ? ならない訳ないじゃん」
「ありがとうマイ。そういう事だ。改めて言うよ。俺達二人と家族にならないか?」
身寄りの無いこの子達を、小さな関りから始まったこの関係だけど、俺はもうこの子達を放って悠々自適な冒険なんて出来る気がしない。
きっとどこかで『あの子達は大丈夫だろうか』って不安が過る。この世界で俺が頼れる存在はまだ少ない。更に言えば現地人、つまりNPCで頼れる相手は0だ。あの村に預けるのも手段ではあるが、彼女達は裏側で生きていた存在で村からすればよそ者だ。
きっとどこかで何かが起こる。となれば俺が自分で彼女達を育てていくのが一番安心できる。
「か………家族?」
「そう。家族だ」
「「「………」」」」
「だ………ダメだ」
アキハは否定で返した。でも嫌だという感情からの否定じゃない。
「そこまでしてもらったとして………私達には何も返せない! 迷惑をかける方が絶対に多い! それにお前との関係だってただ数日前にあっただけの他人だ! ………他人なんだ………」
自分達が何も出来ない。俺に対し、マイに対して、してもらった事に対する対価を払えないと言っている。だから家族にはなれないとアキハは言う。
「アキハ」
「もうこれ以上何も言わないでくれ………!! じゃないと私は………私達はお前の優しさに付け込んでしまうんだ………!!!」
涙をこらえてアキハは言う。自分達がこれ以上貰ってはいけないと思っているからこそ出てくる言葉。
何もない世界で、ただ厳しい世界で子供四人だけで生きてきたから生まれた彼女達の価値観がその一歩を阻んでいる。
「付け込んでいいんだよ。何なら媚を売って我儘だって言ってもいい。対価だっていらない。これは俺たちがお前たち四人に対してやりたいことなんだ」
「や………やめてくれ………ダメだ!! 頼む! 私達はお前達のように生きていける存在じゃないんだ!! 裏側でただひっそりと生きていく事しか出来ないんだよ………!!」
「・・・じゃあその考えを否定しよう。アキハ。それは違う。人間には皆誰にでも幸せになるチャンスがある。例え苦しくても、辛くても、頑張っていけばいつか必ずその時は訪れるんだ。それを掴めるかどうかはその人次第だけど、アキハ達には今そのチャンスが目の前に来たんだよ」
「………」
「なぁアキハ。俺は信じられないか?」
「………いいや………お前は………信じられる………と思う………」
「ならアキハの本当の気持ちを教えてほしい。嘘も強がりも今は必要ない。思うがままにアキハの言葉を教えて? アキハは幸せに、優しい場所で過ごしたくない?」
「………いきたい………いきたいさ………いきたいよ!!! 苦しいのも辛いのも! 明日死ぬかもしれない毎日を過ごすのだってもう嫌だ!!! でも!! でもそんな私達に都合が良い事なんてあるはずないんだって!! 今までずっとそうだったんだ…………そうだったんだよぉ………!!!」
「………」
ミナツ達も涙を流しながら、長女代わりとしてずっと頑張って来たであろうアキハの言葉を否定しなかった。皆思いは同じなんだ。アキハに視線を合わせ、受け入れるように手を広げ、ただ言葉を紡ぐ。
「アキハ。俺たちと家族になって欲しい。これは俺の願望、我儘だ。お前達四人のこれからを、生きていく明日を見せてほしい」
「………ううう………うわぁぁああああん!!!!!!」
大粒の涙を流しながら、アキハは俺の胸に飛び込んできた。受け止めた彼女の抱き寄せて、頭を撫ぜる。よく頑張ったって。今まで本当に頑張ったねと、声を掛けながら。
「うわぁぁあああああん!!!!」
「びえぇぇええええ!!!」
「………………」
ミナツ、フユカ、ハルナの三人も泣き出す。皆を包み込むように手を広げ、四人が今まで我慢してきた辛い思いが、全て流れきるまで、俺もマイも、何も言わずただただ見守り続けていた。
――――
「えへへ………こういう時何て言うんでしょうか? 」
「………その………よろしく頼む?」
「えっと………お世話になります?」
「………厄介になるとかじゃないの?」
「アキハのでいいんだよ。うん。よろしくね。アキハ、ミナツ、フユカ、ハルナ」
「そういえばフユちゃん以外とは自己紹介してなかったね? 私はマイ。これからはお姉ちゃんでお姉さまでも好きに呼んでいいからね?」
そういえばマイは自己紹介してなかったんだったな………あれ? 俺もしてなくない?
「俺も一応もう一回自己紹介しとくな? アールだ。これから俺達は家族だから好きに呼んでいいぞ」
「………アールも自己紹介してなかったんだね」
「う゛っ………」
見抜かれた。流石はマイ。伊達に俺と付き合いが長くないぜ。ちょっとダメージ。
「そ………それと俺達はプレイヤードって種族でな。普通の人とはちょっと違った生態………はちょっと難しいか。お前達とは生き方が少し違う人って感じで思ってくれればいい」
「誤魔化したね」
「プレイヤード………もしかしてお前たちは亜人種なのか?」
「そうとも言う。純粋な人類ではないって事さ」
「………いや、それでもいい。私たちはお前達の家族になるって決めたんだ」
「家族………家族かぁ………」
「………まぁ悪くない響きだね」
「えへへ………それじゃあお父さんって呼んだ方がいいんでしょうか?」
「っ!!? それだよフユちゃん!!」
「うへぇ!?」
唐突にマイが興奮しだした。声に驚いたのか四人はぎゅっと俺に捕まって、フユカに関しては背中に回り込んでいた。
「アールがお父さんなら私はお母さん!! そう!! これは家族なんだから当然!! さぁ皆、私の事はお母さん、あるいはママ、マミーでもいいよ!! さぁ呼んで!!」
「「「………マイ」」」
「なんでぇえ!!!?」
「あはっはっは………」
残念信頼度が足りませんってか?
「そ………そう呼ぶのが貴女への対価になるなら頑張って呼ぶようにする………お………かあ、さん?」
たどたどしく、でも一生懸命頑張りましたって感じでアキハはマイをそう呼んだ。
「~~っっっ!!!」
「わぷっ!?」
感極まりつつも、マイはアキハを抱き寄せてぎゅっとした。
「ごめんね無理に呼ばなくていいよぉお!! 私が間違ってた!! 呼びやすい様に呼んで!!」
「わ………分かった………あと苦しい」
「はっ!? ごめんね!?」
バッとアキハを離し、マイは我に返る? この表現であってるか? まぁ良いだろう。ともかくこれで俺達は家族になったわけだ。そうなると俺の今後の予定はのんびりこの子達の成長を見守るスローライフだな。
いっつも戦いばかりの日々だったしそういう生活をするのも悪くないだろう。特に戦いに参加してくれと求められている立場でもない。しいて言うなら月光真流『桜花戦舞』のテスターだからもっと見せてほしいくらいだろう。その程度なら最悪無視でも問題はない。
「さてと、そういう事なら買い物に行こうか!!」
「「「「???」」」」
「これから六人で生活するんだもの色々必要になるでしょ? 服とか家具とか色々ね」
「あぁ、確かにそうか」
「それから拠点………じゃなくてこの場合は家だね。家も探しに行こうか」
「「「「っ!?」」」」
「なんでびっくりしてるんだよ」
「だ………だって家なんてそんなお金持ちみたいなの………!!!」
「あ………雨と風が防げる場所でいいよ!!」
「………寝る場所なんてどこでもいい」
「えへへ………私はこの人の背中で寝れればいいです」
完全定位置を確保しているフユカ以外の三人は一体どういう生活をすると思っていたんだろうか? まさかあの廃墟に住むと思ってたのか?
「わーっはっはっはっ!! 残念だったね諸君。私はなんとお金持ちじゃない。超絶大金持ちなんだよ!!」
「「「「っっ!?!?!??!」」」」
「洋服も食べ物も家具も家も土地も買い放題!! 更に言うならお金で解決できる事なら何でも解決できる程の財力があるスーパーな大金持ちなんだよ!!」
お前そんなに金持ってるのかよ。初耳だったわ。え、マジで?
「や………やっぱり頑張ってお、かあ、さんと呼んだ方がいい気がしてきたぞ………」
「逆らったら捨てられる………!?」
「………とりあえず、愛想つかされなかったら良い思いは出来そうだね」
「えへへ………じゃあ毎日林檎とか食べたいです」
ちょっとだけ感性がズレてる四人は早速、マイの機嫌を伺い始めた。フユカは林檎食べたいとか言ってるけど。
「まぁその辺は気にしないでいいと思うぞ? とか言う俺も完全にマイのヒモ確定なんだけどな。俺も媚売っとこうかな」
「わーわー冗談冗談!! そういうのは良いってば!! ともかく! 私生活に関してはきっちりしっかりと良い環境を整えよう! 皆の感性的に富豪の生活ってよりは一般家庭の普通の暮らしっていう方が変な気を張ることもなさそうだし」
そうなればとりあえずはまず買い物からか。住む場所は買い物が終わってから決めても問題は無いかな。と言うか俺の中ではほとんど決めてるんだけど。
「ふわぁ~………」
眠たそうな欠伸をしたのはハルナだった。そういえば風呂に入れて思いっきり泣いて、今に至るまで休んでなかったもんな。そんな欠伸が伝染したのかアキハ達も目をごしごしと拭きながら欠伸をしていた。
「マイ。ちょっと休憩しよう。ハルナ達も疲れてるし」
「そうみたいだね。夕方だけどちょっと寝て起きようか」
「そういう訳だ。皆ちょっと早いけど寝ようか」
「い………いや! 大丈夫だ。まだ動けるから」
「焦る必要は無いんだよアキハ。ゆっくり決めていこう」
「し………しかし………」
「………もう無理。寝る」
キューっと聞こえそうな雰囲気と共にハルナが俺の腕にしがみつきながら寝てしまった。寝るの早いなお前。
「………ハルナがこんなあっさり寝た!?」
「えへへ………いっつも寝れないって言って起きてるのに珍しいですね」
そうとは思えないほどの寝つきの良さで俺の腕をクッション代わりに寝てるけどな。とりあえず床だと固いからベッドに移してっと。ちょっ、腕離す気配まるでないなこの子。
「アールも寝たら? 設定いじっとけばログアウトしないでそのまま寝れるからさ」
「………そうしよっかな。マイはどうする?」
「ちょっと買い出し。食べモノくらいは買ってくるよ。終わったら私も一眠りするよ」
本当はその買い出し手伝った方がいいんだけどハルナががっちり腕をつかんでるからどうしようもないんだよな。無理矢理離させれば良さそうだけど、せっかく寝たんだしそうするのもちょっとなぁ。
「えへへ・・・じゃあ家族になった記念で皆で寝るんですね。寝れますかね?」
「………分かんない。こんなフカフカした所で寝たこと無いし………」
「が………頑張れば多分きっと大丈夫だ………と思う………」
そっか。そういえばこの子たちこういう環境で寝たことが無いんだよな。不安の方が大きいか。
「それじゃあアールは子供たちとおやすみタイムだね。じゃ、ごゆっくり~」
そう言ってマイは部屋から出て行ってしまった。こうなったらまぁ流れに身を任せよう。
「ハルナちょっとごめんよ」
抱き寄せたハルナを持ち上げてもう少し奥に寝かす。流石に五人で寝るには小さいが、この子たちも小さいから何とかなるだろう。
良い位置を確保したら背中に乗っていたフユカに一旦降りて貰いゴロンと大の字になるように寝転ぶ。
「さ、自分の好きなポジション見つけて横になりな。俺の事枕にしてもいいよ」
「「………」」
「えへへ、なら背中に近い所は貰いますね」
丁度真横、脇の下に入り込むようにフユカが寝転ぶ。
「じゃあ俺・・・こっちで」
ハルナの横に行き、俺の手をぎゅっと掴むミナツ。
「………お………おじゃまします………」
フユカの横、腕枕になるように頭を添えてアキハが寝転ぶ。
「みんなおやすみ」
「「「おやすみなさい」」」
直ぐ寝られないかなって思ってたんだけど、皆疲れがたまってたのかあっさり寝た。さっきまで寝れるか心配してたのにそれはもうあっさりと寝たもんだからちょっと拍子抜けだ。さて俺は寝れるかな? ログアウト設定は切ったから確かに寝れるんだけどまだ時間早いしなぁ。
あ、まって子供温度あったかい。すーすー聞こえる呼吸音も良い感じに眠気を誘って………。
――――
「まさかサブシナリオがこんな形で残ってたなんてね」
私、マイはアールと別れた後、買い出しに出てたんだけど、買い物をしながらウィンドウに表示されたサブシナリオ発生の条件と内容を読み直していた。
――――
『『英雄』の意志を継ぐ子供たち』
・子供達は暗く苦しい世界から抜け出した。それは人を殺すことで人を救ったかつての英雄が如く偉業であり、彼によって心を救われた臣下達と同じように。子供達は全く別の世界で本当の人生を歩んでいく事になるだろう。それはさて、明るく優しい世界なのか、それともより険しく辛い世界なのか。まだそれは誰にも分らない。ただそれを決めるのは、子供達を救い出した英雄のみぞ知る………。
シナリオ発生条件
・身寄りのない傷だらけの子供達を裏社会の住民から救出し、保護する。
・保護した後その子供たちはプレイヤーの側にいる事を子供達に選択させる。
・プレイヤーが子供達からの信頼度を一定数獲得する。
・プレイヤーはペアでなければならない。なおどちらか一人が上記条件をクリアしていれば良い。
クリア条件:不明
クリア報酬:不明
――――
条件がかなり限定的だし、普通にプレイしてたらまず目を向ける事は少ない。それに子供が自分で選ぶって言うのもなかなか難易度が高いと思う。特に『傷だらけの子供』だけならそこそこ探せばいるだろうけど『傷だらけの子供達』となれば難易度は跳ね上がる。
身寄りのない子供が自分だけで生きていくのも大変なのに他人に気を使って生きていくのは相当大変な事だ。
それに傷を負った子供っていうのも中々に難しい。おそらく肉体的な傷ではなくて、精神的な負傷があるって事だろうから、わざわざそんな子供を見つけるなんて労力が凄まじくかかる。
更に言えばクリア条件とクリア報酬が全く分からないのもこのシナリオの難しい所だ。間違いなく長期シナリオだろうから他のシナリオと同時に発動させておけるかの問題もあるし、仮に選んだとしても、その結果得られるもの次第では時間と労力を完全に捨てる事にもなる。
ハッキリ言って高難易度の上ハイリスクローリターンの可能性が高いシナリオだ。
公開されていたとしてもこのシナリオをわざわざ選ぶ人は少ないだろうって思う。
他に気になる事と言えばそうね。『英雄』をシナリオタイトルで強調してるところかな? アールなら間違い無く『剣聖』が強調されそうなのに今回強調されてるのは『英雄』だ。直近で考えるなら『剣聖物語』の英雄ルート、別名『闇落ち主人公』ルートの主人公の事を言い表していると思うんだけど。
うーん。やっぱり人を個人の感情で殺したからそっちのルート分岐みたいな感じで派生したのかな? それなら納得できるし、説明文にも納得がいく。
いいや、考えてもしょうがない。多分アールのゲームシステム上シナリオ発生のアナウンスは流れてないから全くの偶然でこのシナリオを発生させたはず。その上であの子供達を育てていくって決めたならアールは多分最前線には出てこない選択をする。
個人的には出てきて一緒に戦いたかったけど、本人がそれを選ばない以上無理強いするのは私の柄じゃない。アールの楽しみ方はアールが決めるべき。 それに一緒に戦うとしても私じゃ足手纏いになる可能性だってあるし………。
まぁ、私はアールが隣にいるなら何でもするし、アールに尽くすために今の地位まで上り詰めたんだからこの権力を総動員してアールの支援をしていく。
でもママ、お母さんかぁ………良いなぁ………ニャハハ………!!! 現実の前にこっちで夫婦になっちゃったけどいいよね!! まぁ何時か現実でも私達は夫婦になるしお義父さんにもお義母さんにも許可は貰ってるし、ウチの方もアールなら良いって言って貰えてるし問題無し! お互い就職してから結婚するって約束だからまだ出来ないけどこっちで結婚生活するのは万々歳!! 子供がいるのはまだ早いと思いはするけど、いつかできる本当の子供達の予行演習と考えればそれもあり! 将来はパパと結婚する! パパはママのモノだからダメでーす! なんてやり取りも出来るかもしれない!! 良い!! 良いよ!!!
「アハハハハハ!!! 考えるだけでも最高だね!!!!」
楽しくなってきたよ!!!
――――
「いやーまさかあそこまで容赦無く殺すとはねぇ」
「それはそれでいいですけどね。あのスラム街の住民の民度かなり落ちぶれてましたし」
「マイでしたっけ? 牛耳ってるプレイヤー」
「正確には彼女が見繕ったカリスマ性があったただの裏世界の住民AくらいのNPCだよ。逆にただの一般人NPCをあそこまで成り上がらせるのは彼女の才能だね。まぁ調子に乗って彼女が築き上げた秩序を崩したのも彼だけど」
「おかげで私は極大奥義生で見られたので満足!!!」
「「「それな!!!」」」
ここは運営ルーム。エクスゼウスが『プラネットクロニクル』を二十四時間監視し、異常が無いのを確認する為の場所。
そして相変わらずお気に入りであるプレイヤーの全てを別モニターで映して鑑賞している場所でもある。
「しっかしこのサブシナリオ初見で全部満点回答で発生させるのはビビるね」
「完全にRP入ってたから彼からしたら自然の行動でしょうよ。しかもあれどっちも交じってますよ。『剣聖』であり『英雄』でもある彼だからこその選択って感じですね!!」
「俺は『剣聖』としての彼の行動を視たかったなぁ!!!」
「でもあそこで人殺し一切なしでシナリオ達成までのチャート組める?」
「マイってプレイヤーを最初から動かしてまずは子供を保護、次に今後の約束をさせて一件落着………とか?」
「逆に最初から事務所ぶっ潰して裏社会に君臨して、子供を保護、それでマイに変わって裏社会を牛耳るとか?」
「それは完全に『剣聖様』のやる事じゃねぇ、『英雄』のすることだぁ」
「まぁぶっちゃけどう転んでもあの子達はアールと関わった時点で救われるグッドエンド以上は確約されてたのよね」
「「「「それな!」」」」
満場一致だった。彼らは誰一人このシナリオがBADENDになるとは微塵にも思っていなかったのである。なんといっても彼こそ、エクスゼウスが全社を挙げて推しているプレイヤー。
ここぞという時の選択を間違えるとは思っていない。
「ところで子供達の基本設定ってどうしてたっけ?」
「待ってよ………あった。懐いているプレイヤーに寄って行くって設定になって………」
「………もしかして、やった?」
「やったな間違いない」
「うわぁ!!? まさかの愛弟子状態!! 最強味方NPC出来上がるじゃん!!」
「待て待て落ち着け。焦るのはまだ早い。成長度はいつ上がる?」
「対象と距離が近い空間で過ごす時に限るって設定にしてたわ」
「今彼と子供達はどうしてる?」
「………一緒に寝てますね。ぐっすり呼吸を聞いて寝てますね」
「「「はいキター!!! 月光真流の呼吸を睡眠学習確定ですありがとうございます!!」」」
「気付かない訳無いんだよなぁアールがよぉ。間違い無く教えるよねこれ」
「教えるでしょうよ。生きていく為の手段だもの。教えない理由が無いわ」
「マリアーデクラスになるのはまだかかるだろうけど物語主人公クラスに育つのは早くても半年位か?」
「毎日一緒に寝てたらもっと早いのでは?」
「いや流石にあの子達も子供部屋的な場所与えられるでしょうよ」
「子供達のアールに対する好感度とか矢印とか見ます?」
「………え? 何その不安を煽ってくる発言怖っ。見るけどさ………うわぁ………」
「greatcommunication!! アールは子供達の心の拠り所になりました!!!」
「ここにきて彼のエモエモRPが本領発揮してきたぁ!!!! 完全にお父さんルートきたぁ!!!」
「というかさぁ!! あのハルナってNPCが即落ちスヤァかました時点で好感度は別として信愛度はカンストしてんだよ!! あの子の過去設定激重で寝る事に恐怖がある子だぜ!!? その子があんなに気持ちよさそうに寝てる時点でもう確定演出なんだよ!!」
「それはそれでありだから問題無くない?」
「「「「「無い!! むしろご褒美!!」」」」」
「シナリオ執筆者としては満点回答を選んでくれてめっちゃ嬉しい!!」
「おめでとう!! 私のシナリオもグッドエンド見せてほしかったなぁ!!!」
「あれは発生させたプレイヤーが悪い。RP下手っぴだったし純粋なゲームプレイヤーだったからね。世界観とか交流とかそういうの求めてなかったし」
「シナリオ初期でBADEND直行した時の発狂してた君は本当に………ドンマイ」
「いいもん!! 次のシナリオをきっとアール君が触れてくれるはずだからグッドエンド確定だもん!!」
「なっはっはっはっ!! 長期シナリオだから簡単に別シナリオ行くと思うなよ!! しばらくアールの活躍は俺のシナリオで進んでいくのさ!!」
彼らが描くシナリオは現在進行形で増えて行く。まるで現実世界で一人一人が人生の主人公であるように。住む人間の数だけ、環境の数だけシナリオはこれからも増えて行くだろう。
という訳でアールはしばらく前線には出ません。仮想世界で家族生活開始です。
おかげさまでブックマーク数1800、感想数100をそれぞれ超え、評価も4.8とかなり高評価をいただきました。とても嬉しいです。本当に感謝しています。
実は三か月分くらいストック出来たので四月までは定期更新を期待してて大丈夫です。毎月二回の更新をお楽しみに。
皆さんの応援で私は毎日生かされてるみたいなものです。本当にありがとうございます。という訳で今回も承認欲求モンスターの私に一言でいいので感想下さい。




