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逆鱗

とりあえず今月はもう少し更新していきます。読者増えると良いなぁ。

今回かなり残酷で倫理観に欠ける話かもしれないので不快感を覚える方もいるかもですが、異世界の裏側何て実際こんな事ありそうですので許してください。


本編どうぞ


あ、前作からお話が完全に変わってきたのでタイトルからリメイクの名前取り除きました。良いですよね?

というか、多分これリメイクではなくてリテイクの方が良かったんじゃ・・・

 まぁそのなんだ。結論から言うとフラグを踏み抜いてた訳だ。


 ヤクザの組が俺に報復するために戦力を用意した。が、流石に表でやる訳には行かず、裏に誘き出す為に伝言役を用意していた。それも


「えへへ………大丈夫ですよ。痛かったですけど生きてますから」


「………ダメ。完全に失明してる」


「あぁ、みたいだな」


 子供を使った。あの時ちょっとだけ関わった子供だ。『えへへ』が口癖だった小柄な少女が伝言役だった。片目を切り刻まれ、顔には消えない傷跡を残されて、治療も満足に受けないまま血を流しながらギルドを出た俺達の前に現れた。


 現在はギルドの一室を借りて彼女………フユカの治療をマイにお願いしていた。が、考えていた中でかなり悪い部類の惨状だった。


「フユカだったな? 他の三人はどうしてる?」


「えへ………多分生きてはいますよ。呼んで来たら殺さないって言ってましたし」


「………そっか」


「はい。えへへ」


 痛かっただろうに、怖かっただろうに。フユカは初めて会った時と変わらず作り笑いで笑ってた。


「一緒に行こうか?」


「いい。連中の望みは俺らしいからな。下手に人数がいると他の三人に何があるか分からんから控えててくれ」


「一応聞くけどどうするの?」


「俺が撒いた種だから俺が責任を取る。」


 俺は子供を道具にしか見ない奴は嫌いなんだ。


「フユカ、悪いけど案内してくれるか?」


「勿論です。えへへ、これで皆死なないですね」


「………あぁ、誰も死なないよ。ほら、背中に乗ってくれ」


「こうですか? えへへ、大人の背中って大きいんですね」


「俺はまだそこまで大人じゃないよ。じゃ、マイ、行ってくる」


「気を付けてね。何かあったらすぐ呼んで。手伝うから」


「頼む。あと多分戻ってくる時は三人増えてるから食事と風呂の場所教えてやってくれ」


「分かった。気を付けてね」










 ――――










 フユカを背負いながら、彼女に案内して貰い、町の裏路地を進んでいく。壁の間を抜けて、不自然に開けられた穴を抜けた先には、この前足を運んだ裏町だった。


「どっちに行けばいい?」


「えっとあっちです。えへへ、背負われるのって悪くないんですね。初めてです」


「そっか。なら到着するまでゆっくり味わっていけな?」


 片目が見えなくなっても、フユカは変わらず笑顔だった。それが吹っ切れた結果の笑顔なのはわかってる。だから少しでも安心してくれてるならそれで良い。


 俺達の道を塞ぐように、路地から人間がぞろぞろと出てきた。見覚えがある面もある。ただの暴徒か。それとも連中の刺客か。


「おいおいなんだ綺麗なみぐるm………ひぃっ!!?」


「悪いな。機嫌が良くないんだ。絡むなら命を差し出す覚悟で絡んで来い」


 以前の様に俺から身包みを剥ごうとした暴徒を威圧し黙らせる。


「や………やっちまえ!! こいつをやれば金が貰えるんだ!!」


 暴徒の誰かがそう言った。成程、刺客か。


「フユカ。ちょっと強めに捕まっててくれ。首をぎゅーってしていいから」


「あ、はい。分かりました。えへへ………首絞めてるみたいで悪いことしてるみたいです」


 フユカは言った通り首をキュっと締めるように捕まった。けれどその力は弱弱しく。このくらいの子だとしても、弱過ぎる程だった。細い腕を撫でながら、そう思う。


「『剛歌キャンサー』」


 迫りくる暴徒の前に突き出した掌底。身体の衝撃を面として打ち出す月光真流奥義の一つ『剛歌キャンサー』。言うならば衝撃波の壁だ。


「「「「「ギャァァァ!?!?!?!?!?!」」」」」


 触れればただでは済まない。衝撃波って言うのはただの風じゃないんだ。直撃した暴徒の身体からは血が出ている。腕が変な方向を向いているのもいる。忠告はした。それでも来るなら容赦はしない。


 吹き飛んだ暴徒によって波割れたような光景に、巻き込まれなかった暴徒達がその場に恐怖で崩れ落ちる。掴む腕をトントンと叩き、緩めて貰う。止めていた分の空気を吐き出し、新たに空気を取り込んでいく。


「次は殺すつもりでやる。惨たらしく死にたくなかったらそのまま黙ってろ」


「ひ………ひぃ………!!!?」


「だ………だまされるな!! こいつは前に来た時誰も殺せなかった臆病者だ!!」


 武器を持った男がそういって震えながら立ち上がった。


「フユカ。背中に顔を埋めてろ。そうだ。それでいい。………じゃあお前は見せしめに死ね」


「え」 


 スッと手刀を振り抜き、首を落とす。ごろりと落ちる首と力なく崩れ落ちる体。吹き出す血飛沫はただですら不清潔だった道を汚す。


「次に死にたい奴は立ち上がってかかってこい。死にたくないならその場から動くな。動いた奴は全員殺す。声を出しても殺す」


「「「「「…………!!?!?!??!?!?!?」」」」」


「そうだ。それでいい。長生きしたければ強者には従順に従え。この町のルールなんだろう? あぁ、そこのお前」


「っ!?!?!」


 適当に見繕った近くにいた暴徒だ。だが雇われたんだ。道案内くらいは出来るだろう。


「お前らを雇った連中の頭がいる場所に案内しろ。拒否権は無い。拒否するなら殺して別の奴に頼む」


「は…………ははっはいいしししいいいいい!!!!!」


 ガクガクと震え、立つことも歩くこともままならなくなっているが、それでも前に進んでいるのでこいつでいい。


「フユカ。良いって言うまでそのままいてな?」


「えへへ………分かりました。人殺しちゃったんですね。でも生きる為には仕方無いですよね……えへへ………」


「そうだな。でも分かったろ? 俺も感情一つで人殺しになっちゃうんだ。大人ではないよ。大人ならもっと感情をコントロールして殺しはしないんだから」


「そうなんですか? なら………えへへ………この町の人はみんな子供なんですね」


「………そうかもな。おい、もう少し早く歩け。じゃないと殺す」


「ひぎゃぁぁいいいいいい!!!」








 ――――








「ここここkでっですうっこj!!?!?!?」


「そうか。よくやった。帰っていいぞ」


「ししししsつうつれいいいしじあj!!?!」


 案内されたのは裏町に似つかない立派な建物。敷地も広いから豪邸と言うのがぴったりだろう。


「フユカ。顔を上げて。案内する場所はここか?」


「ふへへ………あ、違います。ここじゃないです。でもここの人です頼まれたの」


「違うのか。まぁ道は覚えたから良しとするか」


「え? でもでもちゃんと頼まれた場所に行かないと三人とも殺されちゃうんですけど? あ、死んでくれって事ですか? それは嫌です」


「安心してくれ。ちゃんと今からそこに行くよ。また案内頼めるか?」


「あ、良かったです。えへへ………あっちです」


「おいちょっと待てや小僧」


「その格好でどこ行こうってんだ? あぁ?」


 豪邸のゲートキーパーの様な連中が道を塞ぐ様に絡んできた。今はまだお前らの順番じゃない。


「黙れカス共。お前らに用事はねぇ。下がれ」


「あ゛ぁ゛!!? ぶっ殺すぞテメェ!!」


「言葉は選べよ小僧。ここに誰がいるのか分かって言ってんのか?」


「知るか………いいや、この後分かるだろう。だからその時でいいからどけ。優先度が違うんだよ」


「上等だ!! 背負ってる餓鬼もろともぶっ殺してやる!!!」


「舐められて「はい、そうですか」って言える人間じゃねぇんだよ!」


「フユカ、ギュッ」


 首を絞める感覚。顔を埋めた感覚。ちゃんと伝わって良かった。連中も武器を抜いてきたので携えた『シマカゼ』を抜く。抜き切る前に男二人が迫って来たので背中に乗せているフユカに負担がかからないように左手でフユカを抱え込み、腰を落として一気に抜刀。


「月光真流極大奥義『葬心葬祭(そうしんそうさい)アルゲディ 』」


 斬り下ろし斬り上げの二連撃、それを二人分、合計四度の斬撃を当てる。


「「がぁ゛………………!!」」


 月光真流極大奥義『葬心葬祭アルゲディ』。月光真流の中では珍しい不殺の奥義。だが同時に極大奥義に名を連ねる故に必殺の奥義でもある。


 奥義『葬爪レオ』の爪痕を残すと言う概念と『心波カプリコイル』と言う奥義の体内振動を狂わせるそれらを組み合わせたこの極大奥義。


 その効果は一定時間対象の体内振動の撹乱状態の維持。歪化とでも言えばいいだろうか。心臓の鼓動から動脈の動き、果てには肺の膨張までを歪ませ行動不能に追い込む奥義。衝撃を使い熟せなければただの殺人奥義だが、使い熟しコントロール出来る様になったからこそ出来る活人剣。


 眼球が不規則に動き、口からは泡を吹くが生きている。追撃をしなければ死ぬことはない。あくまで体内振動を狂わせただけ。狂わせた衝撃が収まれば全て元に戻る。


「三分も我慢すれば元に戻る。戻ったら伝えろ。逆鱗に触れた馬鹿を殺しに行くってな」


「い………生きてるんですかこの人たち?」


「生きてるよ。触っても死なないから触るか?」


「い………いえ、やめときます。なんか汚いですし、えへへ、案内しますね」










 ――――








 歩くこと十分弱。裏町でも人影が全くない大きめの平屋の廃墟に着いた。フユカが案内したかったのはここらしい。そして、フユカが視力を奪われたのもここだそうだ。背中に乗るフユカも流石に怖いのか震えていた。


「フユカ」


「は、はい、何でしょうか?」


「本当はここで待って欲しいというのが君の心を傷つけない選択なんだけど、もしもがあるかもしれない。このまま背中に乗っていてくれるか?」


「え………えっと、はい。私も皆が無事が知りたかったですし。以心伝心って言うんですかねえへへ………」


「じゃ、行こうか」


 呼吸を切り替えて臨戦態勢へ。感覚を研ぎ澄ませ、どれくらいの人数がいて、アキハ達がどこにいるか確認する。


 一つずつ、間違えないようにしっかりと。


 やがて見つけた弱々しくも呼吸をしている三つの気配。涙ぐむ呼吸が振動を伝って聞こえてくる。そこか。


「フユカ、ギュッ」


「え? あ、はい」


 馬鹿正直に真正面から行く必要は無い。目標は最初から決まっている。


「『星波ピスケス』」


 空高く飛び上がり三人がいる場所までの最短距離をぶち抜く。これ以上傷付けさせない。


「月光真流極大奥義!! 『天波流星アルフェルグ』!!!」


 宙を蹴り、一気に加速して蹴り貫く。ズガンと音を立てて崩れる天井だった天板。廃墟故に崩れやすいから周りもガラガラ音を立てて崩れる。だが、視界に捉えた三人にそれらが降り注がないように、抜刀し、瓦礫を切り飛ばす。


「な!? なんd「邪魔」」


 三人の前に立っていた見張りらしき男を切り殴り、頭蓋骨を砕きながら吹き飛ばす。すぐに三人の元に着地し様子を見る前に、事前にマイから借りた完全回復薬『エリクサー』を三人の身体に浴びせる。


「『ライフ』『ライフ』『ライフ』」


 同時に出来る限りの外傷治癒魔法を三人に施す。最悪の結果ならないように、祈りながら何度も繰り返した。


「うぅ………え?」


「………あれ?」


「…………っグズ」


「皆大丈夫そうですね。えへへ。生きてました」


 背中から降りておぼつかない足取りでフユカが三人に駆け寄った。


「っ!! フユカ!!」


 アキハはフユカの声で涙を流しながらも顔を上げた。そして同時に俺の顔も。


「っ…………っっっ!!!」


「体は動くか?」


「………フーッフッー!」


首を縦に振り、アキハは答えてくれた。


「思いっ切り俺の事殴れるか?」


「…………え?」


「こうなったのは俺の責任だ。もっと穏便な方法があの時あったはずだ。それを出来ずにお前らをこんな目に会わせたのは俺だ。だから恨みを込めて思いっきり殴っていい」


 俺の顔を見た時、アキハの表情にあったのは驚きと同時に怒りでもあった。関わらなければ、彼女達はもう少し痛くない思いで済んだのかもしれない。


 けれど中途半端な関わり方をした俺のせいで彼女達はここまで傷つけられた。怒りの矛先を向ける資格はある。


「ふーふーふー………違う。お前を殴っても何も解決しないのは………分かってる」


 アキハは何度も呼吸しそう言った。君は凄いな。


「………でも、どうして来たん………だ?」


「それは「こっちだ!! 餓鬼共がいる部屋からだ!!!」………話は後だな。場所を変えよう。フユカ、背中に乗って」


「あ、はい」


「アキハは前から俺にしがみつけるか?」


「た………多分」


「じゃぁ首を前から占める感じで捕まってな? ミナツとえっと………」


「はぁ………ハルナだよ」


 目は光を失っていたが呆れたように名前を教えてくれたダウナー系の少女ハルナ。身体は動くのか起き上がり座っていた所を見るにちゃんと回復薬は仕事をしてくれたらしい。


「うん、ハルナは俺が抱えるから腕に乗るようにこっち来て」


「ひぐ………えぐ………」


 ミナツはまだ泣いている。怖かったんだろう。痛かったんだろう。でももう大丈夫だから。そう言う様にしがみついてきたアキハを持ち上げながらミナツとハルナを抱き寄せる。


「アキハとフユカはお互いを抱くように捕まっててな? 一応」


「ど………どうするんだ?」


「跳ぶのさ。行くぞ! 『星波ピスケス』!!」


 四人に伝わる衝撃は最低限に、ほぼ無重力を感じさせるように丁寧に抱き寄せ抱えてぶち抜いた場所から飛び上がる。


 ある程度の高さまで来たらもう一度宙を蹴り、廃墟入り口から少し離れた場所に着地するように跳ぶ。着地も四人に負担がかからないように優しく丁寧に。ふわりと。


「え………は…………ええぇ?」


「なんかふわっとした………」


「………生きてれば不思議な経験するんだね」


「えへへ………私もさっきびっくりしました。えへへ」


 四人とも負担は無かったみたいだ。何が起きたか分かってないけれど、それは追々話していこう。奴さんお出ましだ。


「皆一旦降りてくれ。それから俺の後ろから離れないようにしててくれ」


 コクリと首を振って四人は俺の身体から離れてくれた。呼吸を切り替え、精神を研ぎ澄まし、伝わる衝撃から全てを読み抜く。


「月光真流極大奥義」


 入り口は一つ。馬鹿なら真正面から出てくるだろう。容赦も情けもかけない。子供達を傷付けた責任を取ってもらう。そして、俺の逆鱗に触れた結果をその命をもって償え。


 体を捩り、『シマカゼ』を抜き、全衝撃を剣に乗せる。


「『剛歌剣嵐ブラキアス』!!!」


「いたぞあのやr」


「k」


 入口を飲み込む程の巨大な一閃。それが面となって廃墟を喰らい貪るように切り刻んでいく。そこにいた人間全てを巻き込んで、文字通り真っ二つに切り裂く。


 丁度五人分の衝撃を蓄えさせてもらったんだ。全部使う。一切合切全てを切り裂く破壊の一閃。衝撃を面として放つ『剛歌キャンサー』と遠心力を乗せて放つ衝撃波の範囲攻撃『裁天リブラ』の二つの奥義の特性を掛け合わせ生み出された極大奥義の一つ。それがヤクザと雇われた連中を有無を言わさず全て切り裂く。


「うわ」


「ひっ?!」


「な?」


「えへへ………」


 ガラガラと音を立てて崩れ去った廃屋だった場所。それを見た四人の反応は様々だが、とにかくドン引いていることは分かる。魔法だと言われた方が納得もいくだろう。が、魔法じゃなくてこれはあくまでも剣術だ。それはいい。今後その辺も教えてあげればいい。


 さて、残党は………息があるのは………1人か。全員殺すつもりで斬ったんだが、運が良い奴がいたらしい。一応周囲の確認もしてみるが視覚範囲内、衝撃検知範囲内には俺達と生きてる1人以外の気配は感じない。


「ちょっと残党を殺してくる。ここで待っててくれ。この辺りにもうお前達を傷つける奴はいないから安心して」


「ま………待て!!」


 アキハが立ち上がる。どうしたんだろうか?


「わ………私も行く」


「死体が沢山あるぞ」


「っ…………でも、行く………」


「分かった」


「あ………あの、私も行きます。置いて行かれるのは嫌ですしえへへ………」


「………いたぶられたし、そいつらがどうなったかくらいは見とく」


「俺も行く………あんたの近くが多分一番怖くないし」


 四人とも着いてくるか。


「分かった。けど怖かったら言えよ? 片手でいいなら握ってやるから」


 コクリと首を振ったのを確認して廃屋だった場所に向かう。


「足元気を付けて。転ぶと痛いぞ」


 出来るだけ安全そうな場所を選んで歩くが崩れたばかりの瓦礫だからな。それにこの下には結構な数の死体がある。その血で瓦礫がズレる可能性も0ではないから。


 さてと、生き残った悪運のある奴はっと………そうか、お前だったか。


「が………ぎ………ぎざま………」


「悪運だけはあったんだな。よう屑、俺の事呼んだのお前らしいじゃないか? 何の用だ?」


 あの時の兄貴分は胸をバッサリ切られていたが瓦礫の直撃は逃れ傷も浅くまだ息があった。が、手足は完全に瓦礫に潰されもう使い物にならないだろう。


「まぁ聞くまでも無いか。じゃあ死ね」


「待って!!」


 止めを刺すために剣を向けた時、アキハが待ったをかけた。


「アキハ?」


「………私にやらせてほしい………フユカの目を切った此奴を、ミナツの指を砕いた此奴を、ハルナのお腹を刺した此奴だけは………許さない」


「………止めるべきなんだろう。どんな綺麗事を言っても人殺しに変わりはないんだからな。その罪はずっと付き纏うぞ? それでもやるんだな」


「………この町で、ここで生まれ育って罪の無い奴なんていない………だからやる。これは私の罪になってもいい」


「分かった」


 『シマカゼ』をアキハに渡す。軽い刀だから、少しバランスを崩しかけたものの両手でしっかりと持った。


「殺しを後悔してもいい。その時は俺に全部擦り付けろ」


 後ろから抱き抱える様に身体を回し、手を添える。しっかり一撃で殺せるように。


「お前は………こんなにも優しい大人なんだな」


「子供さ。感情に身を任せる幼稚な子供だよ」


「それでも………私たちからすれば大人だよ」


「ま゛………ま゛っ゛で!!?」


「あああああ!!!!!」


 二人で振り下ろす刀は、男の脳天をかち割る。ぐしゃりと伝わる肉を切った感覚。舞う血飛沫でアキハの顔が汚れないように手で防ぐ。半面、俺の顔にはびっしゃりと血が付着する。


 動かなくなった男の身体。生々しい臓物が表面に露出し、完全に命を終えた者の末路となる。


「………」


 俺を手をどかし、アキハは死体を見る。俺からはその表情は見えない。ただ。


「アキハ」


「………なんだ」


「泣いてもいいぞ」


「…………う………うう…………ううぁ………!!!!」


 苦しかっただろう。怖かっただろう。そして選んだとは言え罪を背負ったんだ。全てが溢れだして刀から手を放し、俺の胸元で涙を流しながら叫ぶ。


「ううううう…………うわぁぁぁあああんん!!!」


「………ずび」


「っ」


 ミナツ、ハルナ、フユカの三人も俺の身体に縋るように顔を埋め泣く。ただただ泣くのを、寄り添いながら見守った。








 ――――








 場所を変えて、人気の無い落ち着ける場所に腰を据える。持っていた水を四人に渡し、落ち着くのと他に外傷が無いかを確認していた。


「よし、全員他に痛い所とかはないか?」


「あぁ、大丈夫だ………水、ありがとう」


「気にするな。ともかく安全な場所に行こうか。四人とも歩けるか?」


「問題無い」


 アキハは問題無いと言う。が。


「えへへ………私は出来ればまたおんぶしてほしいなぁって」


「ん」


「だ………だっこしてほしい………さっきみたいなの………」


「お前達………」


 それ以外の三人は俺に抱き抱えられるのを希望している。そういう事ならと手を広げ迎えるようにすれば三人とも先程と同じようにそれぞれ背中と両腕にくっついてきた。


「アキハ」


「な………なんだその目は………私は歩けるぞ!!?」


「いや、歩けてもいいからおいで」


「………っっっ!!!!」


 ギュっと胸元に飛び込んでくるアキハ、四人をしっかりと抱き抱えておおよそのギルドまでの距離を思い出す。一発で行くには四人への負担がデカいから屋根上を跳んでいく方が良いだろう。


「行くぞ。しっかり捕まってろ! 『星波ピスケス』!!」


 跳ぶ。そうして屋根上を何度も経由しながらギルドまで直線で真っ直ぐに向かう。四人はそれぞれ色んな反応をしてるが、悪い反応ではない。楽しんでいるならそれでいい。


「おいあれなんだ!?」


「人!? いやでもなんか太いぞ!?」


「誰か抱えて飛んでるのか!?」


 表に出てきたからだろう。人影も多くなり下では跳ぶ俺を見て驚く声が沢山聞こえる。


 表通りに出てきたので着地できそうな場所を見繕う。ギルドに直接とも思ったが近場で降りても問題なかろう。人通りが多いって事はプレイヤーの数も多いって事になる。


 流石にここまでくれば裏の連中がまた来ても子供を狙う悪党と言う名目で皆が守ってくれるだろう。


 スっと着地したのはギルドから50mほど離れた広場。突然空から俺が現れたから周辺にいた人達は驚いていたが、それ以上に、抱えていた子供たちを見て。


「おい! 何があったんだ!? 大丈夫か!?」


「来てる服ボロボロじゃない! 待ってて! ちょっとそこで買ってくる!」


「お嬢ちゃんたち腹減ってないか? 林檎食べるか?」


「あんたも血だらけじゃないか!? 本当に何があったんだ!?」


 心配の方が勝ったのかアキハ達含め俺たちは手厚く歓迎? された。こんな経験ないアキハ達は何が何だかわからずずっと俺にしがみついている。


「悪い! この子達優しくされるのに慣れてないんだ! ちょっと距離を置いてあげてほしい!」


「お………おう分かった。でも取り敢えずなんか食っとけ! いくら何でも細すぎる!」


「服も用意させて!!」


「その前に風呂!! 衛生的にちゃんと綺麗にしてやらないとだめでしょ!!」


 人の優しさに触れてほしい。世界はこんなにも優しいんだと。この子たちには知ってほしかった。


「あ………あうあう」


「ふぇぇぇええ」


「………」


「えへへ………もしかして明日死んじゃうんですかね?」


「死なないよ。取り敢えずご厚意に甘えようか。行くよ」










 ――――








「それで、今回の一件、どう始末しましょうか?」


「………」


「部下の失態はあんたの失態よ? わかってる?」


「へ………へい姉御」


「私はアンタがそこそこのカリスマ性があるからこの裏町を仕切らせる権利を渡してたの。けど実際はどう? 聞いてた話と飢餓で死んだ人の数があってないんだけど?」


「………」


「それにさぁ? 私土地代取れなんて指示出したっけ? ねぇそこのお前」


「は………はい!!?」


「答えろ。私は! いつ! 土地代を!! 餓鬼から!! 取れって!! 言ったのよ!!?」


「す…………すいやせん!!!」


「謝って済むと思ってんのかテメェ!!」


 叩き付けられた踵がテーブルを砕いた。ここはファクリアの裏町を仕切るヤクザの豪邸。そこではヤクザの頭目が冷や汗を流しながら怯え、側近がただただ首を垂れて怯えている。


 姉御と呼ばれた女は、目が完全に怒り狂い、全てを破壊せんと言葉の暴力をヤクザ達にぶつける。


「おい、外にも同じような事やってる馬鹿はいないだろうな?」


「す………すぐに確認をしますんでお待ち頂けますか?」


「さっさとしろや!! テメェ部下の状況もなんも知らねぇ無能なのか!? あ゛ぁ゛!?」


「お前ら!! すぐに全員集めて確認しろ!!」


「「へい!!!」」


「チッ………まぁいい。確認取れ次第やってる馬鹿が居たら全員殺せ。見せしめは多い方が再犯も減るだろう。減った分はお前の方でかき集めろ。いいな?」


「お言葉の通りに。姉御」


「あとそれから」


「なんでしょう」


「アール本人とアールが保護したあの四人に次手を出したらお前ら全員殺すわ」


「っ!! 誓います! 報復も何も絶対にさせません!」


「口では何とでもいえるわ。行動で示しなさい。アンタは無能じゃないと私は買ってるのよ?」


「ありがとうございます。姉御」


「全く………アールから話を聞いた時もしかしてとは思ってたけどここまで腐敗してたなんてね。いい? 半年で私が支配してた頃まで治安を戻しなさい。部下の統率も取るように。出来るわよね?」


「姉御のご慈悲です。必ず」


「期待してるわ。良い方向に進んだらアンタに別の区域の支配も任せても良いかと考えてるの」


「っ!? それは本当ですか!?」


「本当よ? 半年で治安を戻す手腕があるのだもの。使わないのは勿体無いわ。だから頑張りなさい」


「は! ありがたい話です。因みにどの地域を頂けるのでしょうか?」


「表通りの五番区域よ。知ってるでしょう?別名富豪の遊び場。丁度良い人材探してるの」


「っっ!!!! 必ず!! 必ず姉御が満足するものにして見せます!!!」


「頑張りなさい。私は私に従順な下僕には優しいのよ」


 彼女の名前はマイ。超越者の称号を持ち、このファクリアと言う町の裏も表も含めた事実上の支配者である。この町に住む有権者は全て、彼女には逆らえない。


 彼女の庇護無くして、ファクリアの安全は無いのだから………。

逆鱗×2だったというオチ。


掲示板回書きたい欲と本編進めたい欲の両方がせめぎあってるんです今日この頃・・・今後の展開的に掲示板はさんでもいいかなって思うんですよ私。子供たちはこれからどうなるのか、気になる方、俺だって作品に出たいぞって方。応援してくれる方、掲示板回書けって思う方。


皆さんぜひ感想下さい。待ってます。超待ってます。気軽に感想書いてください。

作者は感想が何よりも嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 前書きありがとうございます!! 子供をひどく扱うことに対して剣聖の逆鱗を踏み見事に壊滅!!救出まで冷静に対応しつつ子供達のケアを忘れなかったアール、やっぱりカッコいいですね!!子供達も保…
[良い点] 子供達はきっと強く生きていけるでしょうね。それはそれとして早晩この町は滅ぶでしょうが。
[一言] 更新ありがとうございます! 子供達の行先に幸がありますように
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