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VSアンデットナイト/裏町の攻防

読者増やすためにやっぱり一月はもう少し更新しようと思います。目指せランキング上位。

因みに『ぜひ自分のキャラ出して!!』っていう人いますか?

「アンデッドナイトか………ちょっと面倒くさい相手だな」


「みたいだな………切り落とした腕もう再生してらぁ」


 アルトりすが言う様に確かに切り落としたはずの腕が元に戻っている。周辺に漂っていた瘴気のようなものも既にその体の中に引き込まれるように戻っていた。


「皆あいつとホーンビーストの死体を接触させないように立ち回るんだよ! アンデッド化されたら面倒くさいから!」


「分かってるよ。盾役の俺らが絶対に触らせねぇし」


 成程、触れた死骸をアンデッドに変える能力があるのか。それ本当にただのナイトか? ジェネラルとかキングとか頭についてたりしない?


「アールさん作戦変更。さっき盾役もいけるって言ってたけどいけそうですか?」


「問題無いさ。引き受けた」


 本来の盾役二人を接触させない為のガードに使うから別の盾役が必要になる訳だ。本来はアルトりすかパチスロットのどちらかが一人で受け持つらしいが、今回は俺がその大役を請け負った。


 『シマカゼ』を抜き、右手に、その鞘を左手に。声は届くかわからないから視覚に訴えかける方向性でいけば間違いは無いだろう。


「攻撃タイミングは任せる。そっちに合わせて勝手に回避するから。出来れば一撃離脱を心得てくれるとやりやすい」


「了解した。任せろ」


 ふぅ………じゃあ始めようか。奴さんも剣を構えて臨戦態勢が整っていることだし。


「『桜花戦舞』の演舞。その目に焼け付けるがいいさ」


「やだカッコいい。そのセリフ」


「オルちゃん茶化すのやめようよ………」


 身体を揺らしながら、ステップを踏み、合わせて呼吸を乗せる。些細な動きすらコントロールし、文字通り魅せる行動を開始する。


『ッ!!』


「アンデッドナイトに注目がかかりました! アールさん来ます!!」


 地面を砕く勢いで踏み込みアンデッドナイトが走り出す。撃ってくるのは………首か。


 振るわれる一閃に対し、峰を合わせ、敵の剣筋が『シマカゼ』の峰を走り空振りに終わる。


 続いて二撃目、空振りの腕を無理矢理切り返し再び迫る。トンと鞘で甲を叩き太刀筋をずらして地面を切らせる。突き刺さった剣を抜き前腕鎧の隙間に刃をするりと突き刺し、動きを鈍らせる。


「浄化の力、闇を打ち払い、光を導け! 『リジェクション』!」


 オルガンの魔法攻撃が放たれるのに合わせてするりと離脱する。離脱した場所を通るようにぶっとい光の鉄槌ともいうべき塊が飛来する。


 アンデッドナイトは何とか剣を地面から抜いたが回避は間に合わずその鉄槌が上半身に直撃した。


「おっしゃあ!! 光属性浄化効果持ちの攻撃じゃい!!再生できんぞよ!!」


「お前それフラグじゃねぇか」


「フラグクラッシャーと行こうじゃねぇか!!」


「乗ったわ!!」


 そんなお約束のやり取りをしている間に胡坐ウェイが剣に光を纏わせ、トリスたんも同じく閃光を矢に乗せて放つ。


 アンデッドナイトも攻撃を喰らったにもかかわらず、人間では到底不可能な軌道をもって迎撃せんと身体を動かした。が、それをさせないのが俺の仕事だ。


「スゥー………『Wooooooo!!!!!』」


『ッ!?』


 咆哮と足払いを合わせた精神と肉体の二重のバランス崩し。効果は抜群だった。崩れていた態勢は立て直すこと叶わず、無防備な姿勢を彼らに晒す。


「『フォトンスマッシャー』!!」


「『フォトンアロー』!!」


 唐竹割が如く真正面から振り下ろされる大剣の一閃が鎧を砕き、隙間を縫って放たれた光の矢が鎧の中にあった何かを射抜きながらその体を吹き飛ばす。


 電卓騎士団のレベルを考えればこの辺の相手ならこれで大体倒せそうな勢いはあるが念には念を入れておくとしよう。


「マーガリン。俺の刀にオルガンの言ってた属性を乗せるのは出来るか?」


 アンデッドナイトが吹き飛ぶ方向とは逆に、マーガリンがいる後方まで戻ってくる。そのまま突っ込んでダメージ上限でもいけるかもしれないが、出来るなら特攻を乗せたい。


「え? あ、はい出来ます! 任せてください! 『フォトンエンハンス』『シャイニングエンハンス』!!」


「サンキュー」


 光を纏う『シマカゼ』を構え、地面を足の指でしっかりと掴むように力む。呼吸を整え駆け抜けるべき道を射抜く。進路上に障害無し。一気に全部ぶつける。


「月光真流奥義『星波ピスケス』!!」


 一気に駆け抜ける一歩進むごとに速く、重く、鋭く刃の先に全ての衝撃を乗せながらその距離をゼロにする。


「月光真流奥義『天翔サジット』!!!」


 空にかち上げるように穿った一撃はアンデッドナイトの吹き飛んでいた衝撃を更に加えて高々に空へと掲げられる。行き場を失った衝撃は刃の先から空の先へと還っていく。


 確実に殺ったんだろう。次の瞬間。鎧は中身を失ったようにガラガラと音を立てて崩れ去っていく。瘴気と思われるそれらも浄化属性とやらの効果を受けて霧散する様に消えていく。


「完全撃破です! 皆お疲れ!」


「すっげぇ………生で見たけどマジですげぇな奥義」


「目で追えなかったわ」


「-----っっ!!!」


「お兄興奮しすぎて声無くなってる。ウケるwww」


「というか盾役上手すぎだしやばくね?」


 歓声というか感想を耳にしながら役目を終えた『シマカゼ』を鞘に納める。周辺に敵意ある気配もこれ以上感じない。これで終わりみたいだ。


「お疲れさん。中々良い経験が出来た」


「お………お疲れさまでした! ごめんなさいちょっと感動して色々聞きたいはずなのに言葉が無いと言いますか。ともかくお疲れです! これは間違いないです!」








 ――――








「『風切る刃ホーンビースト』の討伐報酬と依頼の報酬金、それからアンデッドナイトにも討伐報酬があったので合計で18万Gです! 分けやすい様に端数はギルドに寄付してきました。」


 無事討伐も終わり、残っていた素材を回収し、ギルドに報告した後に、今回得た賞金だ。相場はよく分からないがそこそこ良い金額になったんではなかろうか。


「それじゃあ分け前ね! まずアンデッドナイトの素材から!!」


 預かっていたオルガンが陣取っていたテーブルに手に入れた素材、基鎧の残骸を並べる。胴の部分は砕けてこのままでは使い物にならなそうだが、篭手やヘルム、脚具はそのまま使えそうだ。


「まずアンデッドナイトに関してはアールさんがラストアタック持って行ったし欲しいものあれば全部持って行ってもいいよ!」


「いや流石に全部は悪いだろ」


「いやいや、私たちは実際やろうと思えば周回して全部集められるから好きなのもってって!!」


遠慮するのだが、オルガンがグイグイくるので、引けなくなってしまった。他のメンバーも異論はないのか首を振るだけだ。


「じゃあ篭手だけ貰おうかな。他はそっちで分けてくれ」


「OK! じゃぁ次にホーンビースト行ってみよう! ラストアタックは胡坐んだから希望ある?」


「装備が作れそうな皮と角が欲しい」


「じゃあ残りはアールさんに!」


「………なんか誰も不満なさそうだから貰えるモノ貰っとくわ。サンキュー」


 流石にこの辺りのレベル帯じゃないから素材集め放題なんだろう。人の好意はありがたく受け取ることにしよう。


「それじゃあ次は賞金の分け方です。電卓騎士団とアールさんで分ける。これで皆いいよね?」


「最初からそう決めてたしな。俺は良いよ」


「同じく」


「異議ナーシ」


「俺もいいよ」


「それでなんですけど、アンデッドナイトのラストアタックの事もあるので分け方を変えようと思うんです」



「最初7:3で話決めてたからそれで全然いいぞ?」


「アールさん!」


「お……おう?」


 突如アルトりすが声を上げた。興奮気味に。


「月光真流の奥義を生で見せて貰っておいてお金を払わない訳にはいかないんだ!!」


「そんなルールねぇわ」


「俺たちの!! いいや俺の気持ちが収まらねぇんだ!! 受け取ってくれ!!!」


 ぐっと力強く手を握られてしまった。ムフーッと聞こえてきそうなくらい興奮してらっしゃる。これ何言っても意見を変えなさそうだな。


「分かった。お言葉に甘えさせてもらうよ」


「じゃぁどんぶり勘定でアールさんに9万G!」


「まてまてまて!!!?」


 5:5じゃねぇかそれ!!


「「「「「まぁまぁ気にしないで」」」」」


 あ、これ知ってる。何言ってもダメな奴だ。これ何度目だ言ったの?


「あと!! フレンド登録お願いします!!」


「あ、うんそれはいいよ」


「アザッス!!」


 と、いう訳で賞金の半分と篭手一式、あとフレンドが六人増えた事になった今回の依頼だった。










 ――――








 電卓騎士団はこの後別の街にいるもう一人のメンバーと用事があるらしくここで解散することになった。


 名残惜しくないと言えば嘘になるが、打ち上げとして結構飲んだ食ったした上に盛り上がったからまた機会があれば彼らと組むのも良いだろう。一期一会ってな。


「さて、今度は何をしようか」


 今日の予定だった町に辿り着く、軽くフィールドワークをする。二つとも終わってしまった。更に言うなら電卓騎士団と依頼を受けた為路銀も潤った。となると今日の予定はもう無い訳なんだが、ここでやめるのもちょっと違うなと思う訳だ。そうなると何をするかなんだが………本当に何をしようか。全くのノープランだ。


 町の喧騒に耳を傾ければいろんな会話や物が動く音が沢山聞こえる。決めた。この中から興味が出る事を探しつつまずは時間を潰していこう。路銀もあるし買い食いするのも良いだろう。となれば早速近くの屋台にっと。


 とそんなことを考えていると、ドンと背中にぶつかってきた何かがあった。体幹は悪くないので姿勢が崩れる事は無かったが、何だろうと振り返れば。


「チンタラ歩くな危ないだろう!」


 がきんちょがいた。身なりはあまりよろしくない。顔の肉付き体付きを見れば一般的な子供とは言い難い子供だ。


 子供はそのまま言うだけ言って走り去っていく。チンタラ歩くなって言ったが、どう考えても当たりに来たよなあの子供。しかも人の財布ちゃっかり持っていきやがった。


なんで分かるかって? 経験則だよ。


 一応確認してみれば思った通り所持金が0になっていた。手癖が悪いなあのがきんちょ。


 やることが決まったのはまぁ良い事だ。さて、忍びが如く静かに近づいて諸々の話を聞かせて貰うとしますか。










 ――――








 人混みをスイスイっと抜けながら、気配を追って建物の間を抜けていき、裏路地を超えた先。そこには依然マイから話は聞いていたアンダーグラウンドと思われる空間が広がっていた。外とは思えないほど皆身なりが悪く、表情も厳つい。まるで獲物を待つ猛獣が如くだ。


「おいおい、テメェみたいな奴が何しに来やがった?」


「まぁいい。有り金身ぐるみ含めて全部おいていって貰おうかぁ!!!」


 早速絡まれた。んでもって追剥宣言までされてしまった。あっという間に周辺を囲むゴロツキ達。男も女も子供も関係なく俺と言う獲物を仕留めるべく動き出している。流石に殺すわけにはいかないから軽く捻るか。


「遊んでやるからかかってこいよ諸君」


 クイクイと指を立てて煽ってやれば雪崩の如く迫ってきた。


 殴りかかってきた暴漢の拳を受け止め、くるりと宙に浮かせて軽く蹴り飛ばし数人まとめて押し倒す。鉄パイプらしき武器を振り上げて迫ってきた女ゴロツキに対してはそっと持ち手を叩き軌道をそらし、先程の衝撃を込めてその武器を真ん中からへし折る。


 悲鳴が聞こえたが気にせず懐に入り込み胸元と腕をつかみ背負い投げ、別の集団に投げつける。


 尖った破片をもって迫ってきた少年に対しては、するりと立ち位置をずらして突進を回避しつつ破片を取り上げ足払い。倒れ込む身体を受け止めれば推定10歳前後の子供とは思えないほどの軽さに心を痛めつつ、時間稼ぎに真上に放り投げる。


 子供をこの暴徒集団の中で転ばせては踏まれて怪我させてしまう事くらい少し考えれば分かるし。


 次に迫ってくる男女二人組に対しては飛び上がり、その頭上に身体を持っていく。それぞれ右肩左肩に着地しつつ、他の奴らと同じように迫る集団の方へ吹っ飛ばしつつ、俺自身は宙返り。そのまま投げ飛ばした少年をキャッチして着地。


「スキアリ!!!」


「ねーよ」


 真後ろにいた男の顔に少年を押し当てて勢いを殺す。そのまましゃがみ込み少年に気を使いながら男を巴投げで投げ飛ばす。


「少年はとりあえず空の旅だ。楽しんで」


「ぎゃぁぁぁ!!!!???」


 起き上がりながらまた少年と空に飛ばし、迫る暴徒たちの相手をすること数分。最終的に子供ジャグリングの数は五人で、倒した暴徒は数知れず。


 子供たちは空の旅で完全にやられてしまってぐるぐる目を回している。一人ずつキャッチして地面に寝かせていき、これで襲い掛かってきた暴徒は全員鎮圧したな。周辺には気を失ったり、戦意を喪失した者たちがゴロゴロしている。


「さてと、それじゃあ俺はこの辺で。用事があるんでな」


 倒れた彼らを通り越して、俺の路銀をスッた少年を追う。


 見ていた連中は俺を見て恐れたのか顔を合わせようとしないのでこれ以上絡まれる事は多分無い。


 そうして歩くこと数分。目的地に辿り着いた。廃屋だ。気配は四つ。大人ではないな。俺に気付いてる様子は………一人だけ気付いてるな。


なら正面から扉を開けて貰おう。ドアをノック。


「こんにちは」


「誰っ!!?」


 聞こえてきたのは男勝りな女の子の声。しかし声はかなり震えている。何を言っても落ち着いては貰えなさそうだから用件だけ伝えようか。


「俺の金を返してほしくて追っかけてきたんだ。痛い事はしないよ」


「っっ!! ミナツあんたまさかさっきの食べ物!!」


「仕方ないだろ!! あのままじゃ俺たち死んじゃうんだ!!」


「ううう………死ぬんですね私たち。ひもじい人生でした………」


「………どうすんのさアキハ」


 路銀を盗んだのはミナツと言う少年で、返答をしてきた子はアキハか。あと二人は名前は分からないがあまり良い健康状態ではないんだろう。


「とりあえず開けてくれないか?」


「………開けると思ってる?」


 アキハと言う子にどうするか聞いていたダウナー気味な声がする子がそう言った。


「お互い手短に穏便に済ませたいと思わないか?」


「………だってさ、強引に開けられるって」


 頭の回転はそこそこあるみたいだ。するつもりは無いのでそこの所は安心してほしい。流石に子供相手にそこまで酷い事はしない。


「………」


 無言の時間が流れる中、やがてゆっくりと扉は開かれた。


 顔を出したのは中学生くらいの身長をした少女。表面上は此方を睨みつけるように見てくるが、目は完全に恐れを抱いている。


「………」


「こんにちはお嬢さん。お金、返してもらえるか?」


「………っ」


 まぁさっき話してた会話的にどうなったはもう分かってる。既に俺のお金は彼らのご飯になって体の中に消えていったんだろう。


「………」


 やがて震えだす少女だが、気丈に立ち後ろにいるであろう他の子たちを守ろうとしている。


「あーわかった」


「っ」


 息を飲み、顔を歪めて完全に怯えた少女。俺は子供を虐める趣味は無いんだわ。


「正直に話してくれたら許す。これでお互い手を打たないか?」


「し………信じられるか………!!!」


「信じて貰わないとこのままずっとここにいるよ俺?」


「っっっ」


「おうおう俺たち以外にもそこのガキ共に用がある先客がいるじゃねぇか」


 硬直状態を動かしたのは第三者の声。いかにも悪でございます的な声付きと振り返ってみればアンダーグラウンドの中では比較的暴力的身なりな男が三人。先程の暴徒とは比べ物にならない装備の良さだ。けど堅気って感じの連中ではない。


「ケガしたくなかったらどいてろ。俺たちぁそこのガキ共に用事があんだよ」


「先客がいるって言ったのはアンタ達だぜ? 先客の用事が終わるまで待つのが礼儀じゃないか?」


「ふーん、兄貴此奴ここで死にたいらしいでっせ」


「殺しか? ………餓鬼を痛めつけるだけじゃつまらんと思ってたんだ。丁度良い」


「っ!! 今月分のお金は払ったはずだ!!」


「おいおい馬鹿を言うなよ? 聞いたぜお前ら、さっき良い物食ったらしいじゃねぇか? 俺達の敷地にいるにもかかわらず金も納めず良い物食うなんてよぉ?」


「っ!! あ………あれは私達が生きていく為の食事だ!!」


「馬鹿言うんじゃねぇ!! 頭も身寄りもねぇ餓鬼ども四人をわざわざ場所まで用意しておいてやってんだ!! 金が入ったんなら納めるのが道理だろうがよクソガキ!!」


 如何にも裏世界の日常って感じのやり取りだ。と言うか情報が早いな。話を聞く限りこの辺を取り仕切っている組織の手先、あるいはその親玉………ではないな。親玉って面じゃない。下っ端か偶々情報を掴んだ構成員って所か。


「その金なんだがよ?」


「あぁ? なんだテメェまだいたのか」


 目の前にいるのにそれはねぇだろう。お前らと子供達の間に挟まってるんだぞ俺は。


「間違い無く俺がこの子たちにあげた金なんだわ」




「はぁ?」


「なぁ? アキハ?」


「っ!?」


 小声で合わせろと耳打ちすれば少女アキハは直ぐに頷き声を上げた。


「そ………そうだ! こいつがくれたんだ! だからあれは私達のお金だ!!」


「そういうことだ。お前ら組織の懐を温めるお金じゃないんだわ。理解したら今回は帰ってもらえるか? この後この子らと小さな食事会をする予定でな」


「………そんな嘘で誤魔化せると思ってんのかテメェ?」


「嘘偽りない事実だ。俺の金だよ。ここの子に危ない所をちょっと助けて貰ったんでな。そのお礼さ」


 チンタラ歩いてたら危ないぞって注意されたのは間違いないし、ご飯食べたのも間違いない。俺は食ってないから全くの事実って訳じゃないが。


「………あぁそうかい。分かった」


「分かってくれたかい?」


 分かり易いな此奴ら。手に力は入っているし、額に筋を浮かべている。裏世界は暴力が支配するから意見の食い違いは強い方が勝つってか? なら俺の方が正しいな。


「ここでのルールを教えてやる!! 弱い奴は強い奴に逆らっちゃいけねぇんだよ!! 死ね!!」


「扉閉めて待ってな。すぐ終わるから」


 文字通り、格の違いを教えてやろう。










 ――――








 数分後。


「おいおいこの程度か? 良かったのは威勢だけか?」


 目の前に転がっている男三人。ちぎっては投げ時折殴り、投げ飛ばし、ボコボコにしてやった。野郎相手でしかも仕掛けてきたのは此奴らだ。それに此奴らが言う通りのルールに則るならだ。


「『強い奴は弱い奴に逆らうな』だっけ? どっちが立場が上か身をもって理解出来て良かったな?」


 倒れ込むリーダー格の男の髪を掴み上げ腫れた頬に押され気味の目を見て言ってやる。


「じゃあこの場で一番偉いのは俺って事だ。後ろの狸寝入りしてる二人、お前らも文句あるか?」


 気絶した振りしたって無駄だ。ちゃんと聴こえてるんだよお前らの起きている呼吸がよ。


「え………えへへ…………冗談キツイゼきょうだい………んで、俺たちはどうしたらいいですかね?」


 媚び諂うリーダー格の男。これ以上喧嘩をする気は無いんだな。


「帰れ。これ以上言わせるなよ?」


「えへへ、わかりやした。おいてめぇら、かえるぞ」


 よろよろと立ち上がる三人の男たちは、そのまま気持ちの悪い笑みを浮かべつつ帰っていく。別動隊はいなさそうだし、あの様子じゃあいつら本人は報復に来るほどキモがある連中ではないだろう。


「もういいぞ。あいつら帰ったよ」


 姿が完全に見えなくなったのを確認して扉を叩き、声をかける。今度は直ぐに扉を開けてくれた少女。アキハは先程とはまた違う恐れを抱いてはいたが、警戒心は緩めてくれたみたいだ。


「………ほ………本当に………」


 声が上ずっているが一生懸命言葉を紡ぐ彼女の次の言葉を待つ。威圧気味にならないように姿勢を下げて、同じ視線で話せるようにしゃがみ込む。


「………正直に話せば………許してくれるのか………?」


「勿論。これは本当の事。そうだな約束するよ」


 ゆっくりと首を縦に振り、その言葉を肯定しつつ、安心させるように言った。


「………わ………分かった………入ってくれ」


 おんぼろの扉を開き、招き入れてくれたことに感謝しつつ、中に入る。そこにいたのは痩せ細った四人の子供達。身に着けているのはおんぼろの布切れ同然の服。三人の子供達は身を寄せ合って震えながらこっちを見ている。路銀を盗んだ張本人の少年、ミナツは顔を真っ青にして他の二人に抱き着いていた。


「「「「………」」」」


 そこへ少女が寄り添って静かにこっちを見る。先程と同じように怯えさせないために姿勢を下げて彼らの次の言葉を待つ。


 やがてミナツがおぼつかない歩き方で少し前に出てその場に崩れ落ちるようにしゃがみ込んだ。


「ご………ごめんなさい。お金全部食べ物買うのに………使ったんです。悪いのは全部俺だから、他の三人には痛い事しないで………!!!」


「っ! ち………違う! 何も気にせず食べようと言ったのは私なんだ! だから悪いのは私で!!」


「食べたんですから皆同罪ですよね………痛いのは嫌だけど我慢します」


「好きにすれば? 死ぬよりはまだマシでしょ」


 良い子たちだな。お互いがお互いの事を大事だって思ってるのが分かる。俺こういう子供に弱いんだよな。


「いいよ。許した」


「「「「え?」」」」


「ただ次は気を付けろよ? 相手が悪いと本当に殺されるから」


 残念なことに無責任にこの子たちを救える程、俺は良い身分じゃない。ここに身を固めるならそれも選択肢には入ったかもしれないが、そのつもりは無い。やりたいことが沢山あるからな。


 だから注意だけ。スリの相手はもっとちゃんと見定めろってだけ注意に留める。その行為はここに住む彼らにとっては文字通りの死活問題なんだから。


「さてと、言いたいことも言ったし帰るよ。達者でな?」


「「「「………」」」」


 軽く手を振りながらその場を後にした。最後に小さく聞こえたありがとうって言葉はお金以上に価値があったものだった。








 ――――








「って事があって所持金無くなった」


「もうアールってばお人好し過ぎるよ」


 後日、マイと共にギルドでの依頼報告を終えた俺は二回の食堂で軽くアルコール風味のエールもどきを飲みつつ数日前にあった出来事を話していた。


 今回依頼で倒したモンスターはゴブリンだが、巣窟の情報があってそこそこ数がいた。綺麗さっぱり掃除してきたので報酬もそこそこ良かったし、マイが『私はいらないから全額上げる』と譲ってくれたのでありがたく頂戴した為ほぼ半分くらい所持金を取り戻していた。


「ファクリアの裏町はヤクザが取り仕切ってるからあんまり治安良くないんだよ。まぁ裏町に治安を求めるのも変な話なんだけどさ」


 鳥皮の串焼きを片手に、マイもアルコール風味カクテルを口に運びながら話す。


「ヤクザねぇ」


「多分アールに喧嘩売って来たのはそこの構成員で間違いないと思う。まぁ実力差をハッキリ見せつけたんだし、表の人間だって理解もしただろうから報復はあんまり気にしなくて良さそうだね」


「それならよかった。恨み持たれるのは面倒くさいからな。解消する為に金やら力やら示さないといけないし」


「アハハ! 言えてる! 勝てる訳無い相手に恨みを持つのは馬鹿のすることだよ。裏世界では泣き寝入りするしかないんだよ 基本的にね」


 そうなんだよな。残念なことに裏社会とは力や金がモノを言う世界だ。倫理観とかそういうものは何の力にもならないんだ。


 あ、これゲーム知識だから実際はどうか知らないぞ? でもこの世界も同じルールが適応されてるなら同じだろう。


「でもそうだね。仮に報復を考えるなら自分より強い人を雇ってアールを襲わせるのがこの世界では一般的かもね」


「表にわざわざ刺客と送り込んでくると思う?」


「場合によるんじゃない? その構成員が幹部クラスだったら『うちの組が舐められる』って感じで報復に来る可能性はあるよ。まぁ聞いてた感じ下っ端三下感凄いから無いね」


「なんかフラグみたいに聞こえるんだけど?」


「あ、分かる? そうなったらちょっと色々出来る事あるなぁって想像してたんだよね」


 マイさんよ。考えが物騒なんだよ。まぁ確かに個人戦力が戦略級のマイなら裏町の一つ位好き放題しそうだな。


 そんな話をしながら飲み食いしつつ、今後の予定を決めていく。メイン、イベント両方のシナリオの告知は無いらしいからしばらくはそういうのは無いらしいので完全に自由にって感じだ。だったら。


「あの村にファストトラベルの登録しておきたいな」


「言うと思った。じゃあ少し休んだらルーキスト飛んで村へGoだね」







前作というかリメイク前にも書いてたので知ってる方多いと思いますけど、子供云々の話大好物なので私は書きます。

いつも誤字報告してくれる皆さま本当にありがとうございます。助かります。

感想ものすごくお待ちしています承認欲求モンスターなので。前書きで書いた希望とかも感想でどうか書いてもらえれば活動報告とかでまたやるかもです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アンデットナイト戦、やっぱり『桜花戦舞の演舞』、しかもあのセリフははカッコいいな!!オルガンの言いたいことに賛同してしまうwカッコいいものはカッコいいと言葉で伝えないと!!けど時と場所を選…
[一言] やっぱストーリーいいですねぇ(っ*´ω`*c) もし良ければで出てみたいです
[一言] 更新お疲れ様です! 私も出れたら嬉しいです!
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