旅と出会い
良い感じに書きたい欲があるので投稿です。お試しで後書きにスキル紹介なんて書いてみました。
あと今年は毎月二回更新(1日と15日)を目途に頑張ります。言ったので超楽しんで書いていきます。この緊張感と書きたい欲が続く限り頑張ります。では本編をどうぞ
因みに今月はこれ合わせて三回目だったりします。目指せSFランキング5位以内とか欲を言ってみたり・・・
「んんー!! 久しぶりの空気感」
真衣曰く、かなり落ち着いたらしいので久しぶりにログインした『プラネットクロニクル』。
落ち着いた理由はやっぱり新スキルの実装が大きいらしい。月光と桜花の二大武術がついに実装されて多くのプレイヤーが習得の為に動き出したらしいのだ。
真衣………じゃなかった、マイも一応習得の為に動き出したとか。習得イベントの発生条件は先行組の情報だとレベル50以上で攻撃と技能がそれぞれ最低数値120以上だとかなんとか言ってたな。
そこそこ特化させないと覚えられないとの事だ。ちょっとだけ優越感があるのは内緒だ。
外に出てみれば以前ほどがっちりとした装備のプレイヤーは少ないが賑わいはある。見ればわかるが初期装備的な人が増えている。これも月光と桜花の宣伝効果なのだろうか。
そう思いながら露店街を歩いていると見覚えのある顔が見えた。
「よう兄さん。元気してたか?」
「ん? おぉあんちゃんじゃねぇか! 久しぶりだな!」
今の俺の全身装備を見繕ってくれたプレイヤーゴザイだ。彼は変わらずここで商売をしているらしい。
「儲かってるかい?」
「そこそこだな。新規が増えたんで扱う商品一新したんだ。見てくか?」
「是非」
さて何があるかなっと。初期装備よりも少し丈夫そうなアーマープレートに各種装備品が並ぶ、脇には消費アイテムがちらほらと置いてある。
どうしよう。ウィンドウ無いから全く性能が分からん。新規にはお勧めだって事は分かるけど、それ以上が全く分からんのよ。
「おっとすまねぇ、これが装備の詳細だ。見てってくれよな」
そういってゴザイの兄さんは装備詳細が写されたウィンドウを表示してくれた。助かるー。ふむふむ、成程。どの装備も10を超える防御力があるし対魔法力も少しある。素早さを犠牲にしているものが多いが、防御力があれば序盤なら問題無いだろう。
「そういえばあんちゃん。待たせてたアレ、出来たぜ?」
「お? もしかして刀か?」
「おうよ!! それが………此奴だ!!」
ゴザイの兄さんがアイテムバックから取り出したのは見事な日本刀。刃渡りは大体1mほどある。
「名付けて『シマカゼ』! 振り回しやすさを重視しつつ頑丈さもある程度確保した自信作よ! どうだ!!」
受け取った『シマカゼ』を抜き刀身を見る。綺麗な波紋が浮かんでいるし、言う様に今使っている刀よりも軽い。弧を空に描くように振るってみればなかなかこれが手に馴染む。
「良い金額を貰ったからな! おまけで自己再生能力の付いた素材を使っておいた! 刀身が折れない限りは使い続けられる一級品だぜ!」
「至れり尽くせりじゃないか。ありがとうゴザイの兄さん。気に入ったよ」
もしかしてだけどかなり高級なんじゃ………とか思ったが気にしない方向でいこうと思う。今の装備してる刀をポーチに戻し、『シマカゼ』に持ち変える。うん。馴染む。
「おうおう! まさに放浪武士って感じの見た目になったなあんちゃん! 確か今のジョブは放浪剣士だったか?」
「よく知ってんな」
「超越者殿から聞いててな! 魔法の才能があるのに残念って言ってたぜ!」
お喋りだなマイってば。とりあえずあの日のうちにギルドで放浪剣士になる為の手続きは済ませたから今のジョブは放浪剣士なんだよな。
とはいえマイさん。ゴザイの兄さんだからってお喋りが過ぎない? 別に俺に不利益がある話じゃないからいいんだけども。
「気が向いたら魔法は追々って感じでな。今はコイツ一本でこの世界でどこまで行けるか試したいんだ」
揺らす刀に視線を向けて答える。腕は鈍ってないけれど、まだここが俺の最高到達点だとも思ってない。まだ上に行けるはずだから。
「身持ちは固いって訳か! なら応援するぜあんちゃん!」
「ありがとうゴザイの兄さん。それじゃこの辺で失礼するよ」
「おうよ! 俺ぁこの辺でいっつも商売してるから気が向いたらまた来てくれよ」
――――
ギルドで貰った世界地図を広げつつ、次の町『ファクリア』への道を行く。ファクリアにいけばファストトラベルが解禁されるらしいからそろそろ向かおうって感じだ。因みにマイにも声は掛けたんだけど、実家の方で少し用事があるらしくしばらくログイン出来ないかもしれないと話していた。ナニガアッタンダロウナァ?
ファクリアまでの道は街道整備がされており余程の方向音痴でない限り半日ほど歩けばファクリアに着くらしい。空を駆けていく事も考えたけど、急ぎの旅路でもないので心地の良い風を受けながら歩いていく事にした。
道中のモンスターに関しては街道に設置された獣避けのマジックアイテム的なもので寄り付かないようにされているらしいので安全だ。
時折交差する馬車や行商人らしき人達に出くわすが軽い会釈をする程度で特に目立った事は無い。
そうして歩くこと大体二時間。休憩用の小屋を発見した。人の気配はあるが、利用者がいきなり切りかかってくることはまぁ多分無いだろう。
情報収集も兼ねてお邪魔するとしようかな。
一応ノックをしてみればすぐにどうぞと返事が返ってきたのでお邪魔する。
「こんにちは」
「こんにちは、お? もしかして少し前に噂になったアールさんじゃないかい?」
「おぉ本当だ。今まさにアンタの話をしてたんだよ」
「あはは、俺ってば有名人なのね」
一方的に知られてるのはちょっと気が引けるけど、有名税って事で受け入れよう。
「初めましてでなんだけどよ? ちょっと相談していいかい?」
「相談?」
「実は俺らこの前やっとスキルの『月光真流』習得したんだけどよ。タイミングが悪いのか全然使えなくてな。テスターしてたアンタならコツとか知ってないか?」
んーと考えつつもう実装されたんだと思いに耽る。エクスゼウスの動き出しは流石だし実装されたなら俺へのヘイトとかそういう悪い印象は少しは減るだろう。
しかしコツねぇ………経験としか言えないんだがそんな答えを求められている訳ではないはずだし、ちょっと文章化して考えてみようか。
「タイミングを狙うってよりは………相手に合わせる感じか? 攻撃に対して武器を当てるんじゃなくて置く………が近いか。そして当たった瞬間に衝突点を軸にグッと体の一部をバネみたいにしならせるイメージで受ける感じだな………伝わってる?」
「なんとなく分かるな。下手に狙うより相手の行動先読みして置く感じかい?」
「そうそう。それが近いわ」
「格ゲーのジャストカウンターとか、パリィに近い感じじゃないか? でもそれだとそっちでいいじゃんって思っちまうんだよなぁ」
「わかる。折角『月光真流』なんだからもっと『THE月光真流』って感じで使いたいよな」
気持ちは分かる。けどなぁ。
「初志貫徹さ。月光真流の極意は衝撃を受け止め自らの力に変える武術だ。基本こそ極意なりってな。聞いた感じ習得したばっかりなんだろ? ならゆっくり極めていけばいいさ。いきなり奥義とか戦技とか使えても振り回されるし」
「おっ! いかにも経験者って感じの意見だねぇ。でもそっか、基本こそ極意ねぇ、良いこと聞いた。サンキューな」
「俺にはもしかしたら向いてねぇのかもなぁ、まぁ選択肢の一つだし他にも試してみるか。ありがとよ有名人」
「気にすんな。それより色々教えてくれないか? 始めたばかりで色々わからない事多くてな? 特に世界情勢とか」
「そういう事なら任せな! これでもイベントもメインも経験済みだぜ」
「教えの分はしっかり応えようじゃないの!」
こうして先客二人から現状の世界情勢とかお勧めのレベリングポイントとかスキル習得の事とか色々と教えて貰った。
――――
有意義な休憩時間を過ごし、先客二人に別れを告げて休憩所から出て歩き始める事大体三時間。大きな問題も無く進んでいるとついに目的地らしき町の城壁が見えてきた。あそこが第二の街『ファクリア』か。
街道の先には城門があり、そこには門番が二人立っていた。数名の検査待ちの列があるがそこまでかかるものでもないだろう。
列の最後尾に並びつつ、先に並んでいる彼らの装備を見てみた。初心者装備だったり、雰囲気が初心者って感じの中に、明らかに別ゲーからやってきました感を出し、猛者のオーラ漂う人もちらほら見える。
「次の者、いいぞ」
呼ばれたので門番の元へ向かう。聞かれたのはどこから来たのかと目的、あとは名前くらいで特にイベントは無かった。強いて言うなら俺の後ろに並んでいた人の何人かが物凄く疲れていたことくらいか。
「ようこそファクリアへ。貴殿を歓迎しよう」
「ありがとう」
検問を終えてついにファクリアへと入った。ルーキストとは違い二階建ての建物が多く露店は少ない。が、代わりにキッチンカーのような出店が目立つ。良い匂いがするから主に食事を提供してるんだろう。気が向いた時に食べ歩きするのも良いかもしれないな。
さて、観光しつつ当初の目的であるギルドに行こうか。ファストトラベルの解放と腕試しに依頼を一つ二つ熟しましょうかね。
――――
出店で串焼きや練り物を味わいつつ歩くこと数分。出店の店長さんに教えて貰ったギルドに辿り着いた。中に入れば人が多く、ルーキストのギルドよりも一回り大きな内部が目立つ。二階部分は食堂にでもなっているらしく旨そうな匂いが下に降りてきている。
一階は依頼書の掲示と付属している武器装備店、アイテムショップが営業している。受付も数人並んでおり依頼受注と報告とで列が分かれているようだ。
ファストトラベルの解放だから依頼受注の列でいいか。
そうして俺の番が来た。
「こんにちは。依頼受注でしょうか?」
相変わらずこういう場所の受付の女性はやっぱり綺麗所が多いな。銀髪を靡かせている綺麗な方だ。
「ファストトラベルの解禁をお願いしたかったんだけれど、ここであってましたか?」
「大丈夫ですよ。お名前と現在のジョブの確認をさせていただけますか?」
「アールです。ジョブは放浪剣士」
「アール様、放浪剣士っと………ルーキストで手続きされていますね。確認が取れました。では現在の魔力量を確認しますので少々お待ちください」
そういうと受付の棚に置かれていた水晶玉をカウンターへ持ってきた。よくある奴だ。
「水晶に触れて下さい。白い光が出れば問題無くファストトラベルの魔法をご利用頂けますよ」
「では失礼して………白いですね」
綺麗な白い光が水晶の内側から輝く。受付さんはそれを確認すると水晶を元の位置に戻し代わりに指輪を一つ持ってきた。
「はい、大丈夫そうですね。こちらがファストトラベルの魔法が使える『転送の指輪』になります。現在はルーキストとファクリアのみ登録されていますが、魔法陣の登録か各地にあるギルド、あるいは大水晶がある場所に行けば行ける場所が増えますので是非ご利用下さい」
「ありがとうございます」
「その他ご不明な点、ご用はありますか?」
「大丈夫です。ありがとうございました」
「またのご利用、お待ちしてますね」
良い笑顔だ。受付の鑑だな。軽く会釈しながらその場を後にする。後ろにも人が並んでたし。
さてどうしようか。食事は、出店でそこそこ食べたし依頼でも見繕って受けるか。
張り出されている依頼書がある掲示板に足を運ぶ。ルーキストよりも数が多い上に賞金がかけられたモンスターや悪党の名前もある。
大物狙いで賞金首狙いも良いかもだが、今日は軽く熟せる依頼がいいな。路銀も無い訳じゃない。ここまで来る道でも戦闘は無かったしのんびり依頼をするのも悪くないだろう。
出来れば納品依頼的なのがあればフィールドワークも兼ねてのんびり出来そうなんだけど何かあるかなっと。
「へーいお兄さん暇ですか?」
「ちょオルガンお前それただのナンパじゃん!」
「良いんだよお兄! ほぼナンパみたいなもんだもん!」
「へいへいーいカワイ子ちゃんだねぇ………おじさん達といいことしなーい?」
「おいコラ馬鹿! 完全にダルがらみじゃないか!? 失礼でしょうが? あとオジサンじゃないわ!!」
「お兄さん良い身体してんねぇ? 俺らと危険なパーリィーしないかい?」
「パチお前も乗るな!!」
「そうだよ皆。初対面なのに失礼だよ。すみませんうちの人たちが」
「「ぶーぶーノリが悪いー」」
「お前たちが軽すぎるんだ。すまないなアール」
「いやいや気にしないでくれ。と言うかやっぱり有名人なのね俺」
声をかけてきたのは騎士団って感じの装備で身を固めた六人組。また一方的に知られてる感じか。俺の方は見たこと無い人たちなんだが、どことなくうちの後輩兄妹に雰囲気似てるんだよな。だから悪い気はしない。ので。
「ナンパされたの初めてだったんで照れたんです。ぽっ」
「ほら見てお兄! 満更でもなかったみたい!」
「それはそれとして失礼だから!! アールさんも乗らないでいいです!」
「そう? じゃあもう乗らないですわ。所でお兄様方? 私に御用件がありまして?」
「うっふーん。もちろんナンパですよお姉さま」
ノリが良いなこのオルガンって呼ばれてる子。やっぱり後輩兄妹の妹の方に似てる。実はそうだったりして。まぁリアルに踏み込むのはNGだろう。それに似た人がいてもおかしくないからな。
「オルガン本気で俺怒るよ?」
「うっ………だってノッてくれたんだもん!!」
「そろそろ本題に入りませんか? とりあえずここじゃ邪魔になるのであっちの席にでも」
「そうしますか。ここから真面目モードにしますね」
それに付いていく感じで案内された席に座った。
「まずは初めまして。私たちは電卓騎士団と言うクランを組んでいます。私は一応クランマスターをやっているマーガリンって言います」
「はいはーいサブマスのオルガンっていいまーす!こっちがお兄のアルトりす!」
「どうも、電卓騎士団のタンク、アルトりすです」
「タンクその二のパチスロットだ。よろよろー」
「遊撃担当のトリスたんです」
「鍛冶師兼戦闘員の胡坐ウェイだ」
「あと一人いるんですけど今日はいませんのでこれで全員です」
「ご丁寧にありがとうございます。俺はアール。まぁ皆さん知っているみたいですけどね」
「有名人だもんねー、月光真流のテストプレイヤーさん!」
「どちらかといえば蒼牙との決闘の方が有名じゃないかしら? レベル差を一瞬でひっくり返した実力は本物なんだから」
まぁどちらにしてもあの動画が俺を有名人にした切っ掛けだろうな。名前はぼかされてたけど噂は消せないし。
「それで俺に何か用ですか?」
「アールさんタメでいいですよ? アールさん良い人っぽいですから」
「あ、そう? じゃあ遠慮なく。敬語って疲れるのよね」
「軽っwww」
「ノリ良いのも納得っすわ」
アルトりすのお言葉に甘えるとオルガンちゃんとパチスロット君はケラケラ笑いながらそう言った。俺は君らみたいなの嫌いじゃないからね。
そんなやり取りをしているとコホンとマーガリン氏が軽く咳払い。ケラケラ笑っていた二人もスっと静かになり話をする体勢に入った。
「単純に依頼同行のお誘いです。見てた感じ今日はソロですよね?」
「おう。軽く依頼こなしつつ適当にって感じだったな」
「どうでしょう? 私たちと軽く討伐依頼なんか受けませんか?」
「いいよ」
「………誘っておいてアレなんですが、判断が早くないか?」
胡坐ウェイがそう言うが本当に今日は俺ノープラン状態になったからな。折角のお誘いだし噂で聞いてた電卓騎士団が向こうから声をかけて来てくれたのだ。
敵情視察じゃないけれど、マイを撃破して大会優勝した彼らの実力は見てみたい。
「特に予定も無かったし、電卓騎士団ってあれだろ? マイを倒したクランだろ? どんな戦いするのか興味もあったから」
「わりかしギリギリで勝ったんですけどねあの試合」
「勝ちは勝ちさ。それでいいだろ?」
「ほーらお姉私が言った通りじゃん! 勝ったもん勝ちなのよ! 胸張っていいのだ! どやっ」
「オルちゃんはもう少し遠慮ってものを知ろうね? じゃあ今日は一緒に依頼をするって事でいいですか?」
スイっとウィンドウを操作し、マーガリンがこちらにウィンドウを渡してきた。そこにはパーティーに合流しますかの一文。無論YES。
「おっしゃ電卓騎士団withアール結成だっと! 何受ける? 大物行っちゃう?」
「アールさんいますしゴブリン討伐依頼とかの軽いのにしない?」
「俺は特に希望無いから任せるよ」
「言質取ったので私提案! レッドワイバーン行こう! 目撃情報出てたよね!」
「「「それはパス」」」
「なんでさー!!」
「オルガン。レッドワイバーンはサクッといく相手じゃない」
「私も流石にちゃんと装備整えていきたいな」
「お前アールさんのレベル考えて選べよ。いくら強くてもまだ10台だろ」
オルガンの提案は胡坐ウェイ、トリスたん、アルトりすの三人に一蹴された。前にどっかのクランが討伐してた記憶があるけどな。それでマイがイベントの予兆とか考察に耽ってたし。
「『風切る刃のホーンビースト』の目撃情報が出てたのでそれにしませんか? この辺でのレベルを考えればそこそこ高いですし今のうちに討伐しておけば貢献度も稼げそうですから」
「いいんじゃないホンビ。あ、ちなみにアールさん。ホンビって言うのはデカイ馬のモンスターで結構すばしっこい奴なんよ。行けそう?」
「ふっ、自慢じゃないが速度には自信があるからバッチこいだ」
「「ウェーイ!」」
パチスロットとハイタッチ。決まりだな。
「それじゃあターゲットは『風切る刃のホーンビースト』です。一応依頼で出てないか見てきますね。それまで皆は準備してて」
「お姉私も行くー!」
「それじゃ、俺らは軽く作戦会議でもしますか。主に戦闘配置とか」
――――
討伐依頼があったので俺達はその依頼を受けて町の外へと出た。依頼の報酬と討伐時の素材は山分けで話が付いた。俺と騎士団で5:5でいいと最初提案してくれたのでこの世界のガイド込みで4:6っていう事にしてもらった。流石に貰い過ぎるのもあれだし。
戦闘配置はアルトりすとパチスロットがタンク、遊撃に弓兵のトリスタンと俺、前線に胡坐ウェイ、後方支援にオルガンとマーガリンの魔法使い二名。
バランスの取れた編成だろう。作戦としても盾役二人が攻撃を受け止めて戦闘員三名が攻撃、支援二人は状況に応じて補助と回復だ。特に難しい事は無い。
「それでねー? お兄ってばそのここ一番でこけたのwww!!」
「お前ー!! ってなったよなあの時はマジでwww」
「ちょっその話は忘れようって話したじゃん!! 恥ずかしいんだから!」
「まぁ何があるかわからんしな。何事も」
「アールさんフォローしないで!! 嬉しいけども!!」
中々面白い話だ。そこでこけるのかお前とは思う。大一番最大のチャンスでこけるってもはや持ってるわアルトりす先輩。笑いの神に愛されてるわお前さん。フォローは入れとく。
「馴染んでるね」
「なんかアールさんが知り合いに似てるのもあるんだよね」
「そうなのか?」
「そ、前に教えた喫茶店あるじゃん? そこでバイトしてるアルトとオルちゃん、私の先輩なの。最近は二週間に一回くらい行ってるかも」
「ん? 其方さんは何の話してるんだ?」
「アールさんが知り合いに似てるって話ですよ」
「俺とトリスは関わりは少ないんだがな」
「あー分かるー! アールさん先輩に似てるんだよね! 実は先輩だったりして!」
「オル、流石にリアルに触れるのはダメだよ。アールさんすみません」
「気にしないでいいよ。人間似たような奴は二人三人いるって言うし」
俺も同じこと考えてたからな。まぁ向こうが踏み込みすぎないって話してるなら俺も限度は弁えるさ。
「皆、そろそろホーンビーストの目撃情報があった草原だよ。索敵はしてるけど皆も目視確認してね」
「「「「「了解」」」」」
「わかった」
ちょっと早いが意識を切り替えよう。呼吸を変えて周囲を視る。気配を探し吹く風に耳を傾ける。
今の所周辺にそれらしき気配はない。大きな足音も無いからまだいなさそうだ。
「アールさん。ホーンビーストは空を駆ける事もあるから気を付けてくださいね。奇襲とかされることもあるので。もちろん私たちがいる以上アールさんに必要以上の危険には晒させませんけど」
「誘った俺たちがあんたを危険に晒したとなれば俺らの恥だからな。安心してくれ」
「二人ともありがとう。お言葉には甘えるけど、何があっても不思議じゃないのが戦いさ。恨みはしないよ」
とか話してると、気配を感じた。足音は聞こえないがこっちにまっすぐ来てるな。数は………二つか。早速想定外か?
「っ! 皆索敵に引っかかった! あっちから来るよ! 戦闘配置!」
「目で見えた! 『風切る刃ホーンビースト』一体確認だ! 行くぞパチ!」
「お前こそ!!」
アルトりすとパチスロットが前に出て盾を構える。後方部隊及び遊撃の俺達はそれぞれ武器を構えて迎え撃つ。
「お兄パチ! 背中になんか乗ってる!!」
「見えた! ちっ! ライダー個体か! 面倒だな」
「アールさん。先に説明するとライダー個体って言うのは背中に別のモンスターが乗った個体って事。突進主体のモンスターに騎手が乗ってるとちょっと厄介だから気を付けて。まぁ先手必勝で私が狙い撃つから落ちた奴を私たちでやるよ」
そういったトリスたんは弦を引き弓を構えた。距離はまだ300m以上あるがあの速度なら30秒以内で接敵するだろう。
今回は遊撃担当だ。ここでは俺は後輩だし彼らの指示に従おう。いつでも刀を抜ける姿勢に切り替えて呼吸を整える。
「トリス! やれ!!」
「『狙撃』『爆破』『雷撃』『精密射撃』………狙い撃つわ!!『雷爆狙撃』!!」
放たれた一矢は風を切り雷を纏いながら真っ直ぐに標的に向かう。さて、相手はどう動く?
『ッ』
『ブロロロロ!!』
狙撃を見抜いたか。走らせている馬を揺らし間一髪で矢を避けた。速度は十分あったから相手が一枚上手、あるいは経験豊富だった訳か。
「一矢だけだと思わない事ね!! 穿て!!」
続けて二射目が放たれる。いいや、二射目に留まらない、続けて第三第四の矢が放たれていく。
騎手のモンスターもうまく避けているが連射されてバランスを崩していく。その距離およそ50m。遊撃なら先行しても問題あるまい。行こうか。あくまで遊撃。倒すのではなく先手を取るだけだ。
「乱れ撃つわ!!」
「『星波ピスケス』」
矢の発射に合わせて、その間を掻い潜り、相手との距離を詰める。跳んだ先はちょうどホーンビーストの真横。視線を向ければその背に乗っていたのは如何にもアンデットナイト、俗にいうデュラハンのような闇のオーラ漂うモンスターだった。あえて言うなら闇騎士って所か。
『ッ』
「『月光閃』改『月光脚』!」
叩き込むは刃ではなく蹴り。空中でくるりと身体を回し遠心力を付けつつその衝撃をそのまま相手に叩き込む。闇騎士は逆に切り落とさんを剣の刃を向けているがそれくらいは予測できる。寧ろそれが狙いだ。
軸をずらし、位置を調整した蹴りは向けられた刃ではなく、その剣腹を穿つ。固いな。壊すつもりでやったが衝撃不足か。
しかしこの一撃で闇騎士の手から剣が吹き飛ぶ、同時に大きくバランスを崩した闇騎士とホーンビーストにトリスたんが放った矢が迫る。
「シィッ!!」
空を蹴り、宙返りをしながら皆が構えた場所へと飛ぶ。同時に迫る矢の暴風が二体のモンスターへ襲来する。
『ブシュオロロオオオ!!!』
しかしそれら全てをホーンビーストが首を振ることで生まれた風の刃が文字通り切り払う。なるほど、あれが風切る刃の由来か。刃の発生源はホーンビーストの角か。
二体は近い俺を凝視し、獲物としたようだ。だが、本当に俺が一番近いかな? ほら、来るぞ。
「『シールドバッシュ』!! ハァアア!!!」
「『アックスレイダー』!!」
タンク二人が既に攻撃範囲に入っている。余所見してる内にこちらの攻撃範囲に入り込んでたんだよお前さん。
二人の攻撃に対し、バックステップでホーンビーストはそれを回避する。後ろに飛べるのかあの馬みたいなモンスター。だが攻撃はまだ終わらない。
「まだまだぁ『矢の雨』!!!」
「降り注げ光の矢! 『フォトンレイ』!!」
「皆に空の加護を! 『クリティカルエンハンス』『アタックエンハンス』『ガッツエンハンス』!」
後衛組が攻撃と支援に参戦する。回避した先に迫る攻撃を振り払っていくホーンビーストだが全ては振り払えず数発その体を射抜く。同時に闇騎士も攻撃を防御するが魔法攻撃を受けて大きくよろけた。
「おっしゃあ食らえや!!!」
大剣と呼ぶに相応しい重量と大きさを備えたそれを軽々と振るう胡坐ウェイが横薙ぎにホーンビーストの首目掛けて切り払う。
ホーンビーストも迎え撃たんと首を大きく振り風の刃で迎撃せんとした。しかしその両名の隙間に入るように一人、突っ込んだ影がある。
「へいへいパリィチャンス!!!」
パチスロットだ。振るわれた首を横から殴るように構えた盾で受け止め押し返す。完全にバランスを崩したホーンビースト。さぁ、この攻撃をどうする?
そうだよな。闇騎士。お前がいる。先程俺がやったように、闇騎士は振るわれる剣の腹を殴り攻撃を往なそうとする。当然だ。じゃなきゃ死ぬ。
「俺が居なかったらそれでよかったがな」
『ッ!!』
抜刀態勢で既に懐に入った。その腕貰うぞ。
「『十六夜』」
真下から勝ちあげるように抜いた一閃は闇騎士の肩から下を切り落とす。切り口からは瘴気の様な煙がまるで血のように漏れ出す。
「どっらぁぁあああ!!」
ズバンッ!! と音が聞こえるかの如く胡坐ウェイの剣がホーンビーストの首を落とした。落とされた首から噴水のように湧き上がる血の雨。切られた慣性に残った身体が身を任せ吹き飛ぶ。
背中に乗っていた闇騎士は倒れるホーンビーストから転げ落ちながらも、残った腕と身体を器用に使い受け身を取った。同時に吹き飛ばされた剣の位置まで下がり、自分の得物を取り戻す。
「アンデッドナイトです!! ホーンビーストもアンデッド化される前に倒すよ!!」
「「「「「了解!!」」」」」
連戦と行こうか。闇騎士改めアンデッドナイト。
スキル紹介
シールドバッシュ:盾専用スキル。防御力を用いて攻撃する。
アックスレイダー:斧専用スキル。
アローレイン:10連続の矢の雨を降らせる。
フォトンレイ:光属性の魔法攻撃
クリティカルエンハンス:与えるダメージ量を確率で倍にする魔法。
アタックエンハンス:発動者の魔力の半分を攻撃力として対象にを付与する魔法。
ガッツエンハンス:一定以上のダメージを受ける際、そのダメージを半減する魔法。
狙撃:遠距離武器専用スキル。攻撃範囲を伸ばす。
爆破:遠距離武器専用スキル。矢が触れた時、矢をを爆発させる。
雷撃:遠距離武器専用スキル。矢が雷属性を得る。
精密射撃:遠距離武器専用スキル。狙った部位に攻撃が当たりやすくなる。
雷爆狙撃:トリスたんが乗りで言った狙撃技。上記のスキル効果が乗っている。
戦技紹介
月光閃:衝撃を乗せた突き攻撃
月光脚:月光閃の蹴りヴァージョン
十六夜:音も無く放つ居合抜刀術。
星波ピスケス:衝撃で空を蹴る。
好評ならまた書いてみようと思います。
電卓騎士団推参。臨時のパーティー作成で接点が生まれました。電卓騎士団について知りたい方はリメイク前の『ある日々の物語』の登場人物で見てみてください。
最近のお気に入りはPSストアでフリープレイに入っていたロストエピックです。超楽しい。でもこっちも書きたかったのでゲーム3、執筆7くらいで楽しんでます。
そして感想下さい。私は承認欲求モンスターなので感想一つで執筆頑張れるんです。どうかお願いします。




