ただの悪口(三十と一夜の短篇第81回)
毎年暮れになると、一年を一文字で表わそうとする。
知性劣化の顕われ、日本の凋落も頷けるわけである。
去年の一文字は「戦」、戦争あったのは去年だけか。
二〇〇一年も「戦」、これは立派な差別じゃないか。
「日本人はいませんでした」と同じ他人事なのにね。
日本人が日本人の安否を案じるのは、あたりまえだ。
二年まえの「密」だかは、もうよくなったみたいだ。
五輪の年は「金」、金銀銅以下には価値なんてない。
夏が暑けりゃ「暑」、春秋冬は存在しませんでした。
日本が滅びた暁には、某国主催で「滅」とするのか。
この珍行事を一字で表わすなら、品性下劣の「下」。