俺の野望が叶う時
「ド・ラ・ゴ・ン♪ド・ラ・ゴ・ン♪」
俺は自作の鼻歌を歌いながら、崖に囲まれた荒野を歩いていた。
初めての人はこんにちは。見たことある人なら久しぶり。
カクナイト王国所属の侯爵家、ロンドベルの長男、ミルド=ロンドベルです。
以前この国、カクナイト王国で起きたクーデター騒ぎ(あったかそんなん?)で、なぜか王国を救った救国の志士と称され、偉大なる国王陛下から『天下御免』・・・つまり「なにやってもいいよ」との勅許を頂き(妹が『いいから黙って受けろ』と怖い顔だった)、俺はこれ幸いと自領を出て、各地に武者修行の旅に出た。
俺より、なぜか一年ほど前に妹は自領を出てたが(「探すな察しろ」と書置きがあった)、俺も出るとなり、親父がすごく泣きそうな顔をしてた。
悪いな親父。俺はこの世界に来てからの夢に抗えそうにない。
これは魂に浸み込んだ想いだ。
俺は腰に佩いた、陛下より賜りし名剣に手を添えた。
かつて俺は、日本という、科学の発達した平和な国に生きていた。
戦争は100年も前に終わり、「武力」というものが抑止力という・・・「使わない脅威」という世界に俺は生を受けた。
なんの皮肉か知らないが、その世界において、俺の家系は「武力」を継承する家系だった。
使わない・・・使うことの許されない「武力」を磨き、後世へと伝えていく空しい家系。
使わないのに、日々繰り返される、死を厭わない程の訓練とは名ばかりの『虐待』の日々。
疲弊し、魂が擦り減っていく中で、俺はそれに出会った。
『ダ〇の大冒険』
内容に俺は、恥ずかしげもなくはらはらと涙を流した。
毎日懸命に努力し、経験を積み、そして強敵にそれらすべてを余すところなく挑んで戦っていける。
こんな素晴らしい世界が他にあるだろうか?いやない(反語表現)
その世界は真に天国だった。
そして俺は、一際ダ〇の師匠である、ア〇ン先生に傾倒した。
昔は世界最強の勇者だったが、今は後塵を拝するという不遇な立ち位置。
読むたびに俺は義憤にかられた。
『ア〇ン先生!!あなたは今でも世界最強の勇者ですっ!!いずれ俺があなたの最強を証明してみせますっっ!!』
そう思い、俺は彼の必殺技である「ア〇ンストラッシュ」を秘かに練習続けてた。
転生先の妹には『傘で練習してた』とのたまったが、実際はガチ剣でのガチ練習だった(山2・3個はげ山にした)
そうしていつしかラ○デイン・・・ダ〇の代名詞ともいえる魔法を、そこはかとなく前世で使えるようになった時。
俺は死んだ。
ラ○デインをその身にうけて。
まごうことなき感電死。
あれ、やっぱ自分に向けて撃っちゃダメだって。
雷、我が身に落とすとか正気じゃないもん。まあ今はできるけどね。
そして俺はそこで意識を今に戻すと、眼前の崖を見上げニヤリと笑った。
「よう。お前を斬りに来たぜ」
俺の見上げた先・・・そこに鎮座する巨大な存在に向けて
『もう10度目くらいになるか?いい加減我も、お前を生かしておくことに飽いたぞ?』
「あーあ俺も同意見だ」
言いながら、俺は腰に佩いた名剣・・・『竜殺し』をスラリと抜いた。
「今回は先に謝っておく。すまねえ。お前ら特化の剣を主上から頂いちまった。間違って殺しちまったら勘弁な?」
俺の言葉に眼前の敵・・・暗黒竜王「ハ〇ラー」(俺命名)は、不敵に笑った(多分。顔の変化良くわかんね)
『言いおる。今まで一度として我に勝てなかった凡夫が。決めたぞ。今回は必ず我が血肉としてお前を喰ってやろうぞ』
「あん?なら俺が勝ったら、お前を殺さずペットとして飼ってやるよ。屈辱に塗れながら俺に一生従いな」
『くっははは!!万が一にも勝ったらその言、聞いてやろうぞ!!遺言はそれで終わりかの!?』
「・・・ああ。言葉はもういらねぇ。・・・俺の、野望の礎になれ!!!」
『では始めようか!!我とお前の「死合い」をのう!!!』
俺たちはニヤリと笑いあうと、そのまま剣と爪牙を打ち合わせ始めた。
※
それから数日
※
陛下「おい。お前の兄君、龍公爵の姫を下して嫁に迎えたらしいぞ?」
リメロ「ええっ!?兄ちゃんなにやってんの!!?っていうか!?陛下っ!?なんでここにいるのよぅっっ!!?」
ああ。妹は無事、旧子爵領で、陛下に無事捕獲されたそうだ。
・・・ん?捕獲?ってなんだ?
END
てなわけで、兄ちゃんは見事ドラゴンバスターになりました(笑)
つきみさんの感想を受けて勢いで書きましたが、自分こういうのから影響受けるので嬉しかったです(*^_^*)
次はもうちょっと長めの書きたいなぁとか、身の丈に合わない野望持ってたりしますw