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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
みんなで騒ぎましょう
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お小遣い

二人に男装を拒否されてシルフが唇を尖らせた。

控えめに服を掴み、撫でられて上機嫌なリウのほっぺをシルフがむにむにと弄る。


「んにゅ……にゃに(なに)ぃ? にーねぇのほうひゃ(ディーネの方が)ひゃわりほほひ(触り心地)いいひゃひょ(いいわよ)?」

『いえ、リウ様も同じくらい触り心地がいいです。……やっぱり、男装して下さいませんか……?』

やりゃ(やだ)


リウがシルフの手を掴み、自分の頬から離れさせてからぷいっとそっぽを向いた。

悲しそうな瞳でシルフがディーネのことを見る。


『……そんな目されてもやりませんからね、シルフ姉様』

『うう、ディーネちゃんまで……』


シルフが落ち込んでしゅんとした。

しかし、普段からこんな感じなので気にすることなくそろそろ時間が来るからとシルフを退室させた。

リラックスするリウにディーネが話しかける。


『面会は終わり? まだ仕事ある?』

「ん、そうね。仕事は……書類だけ終わらせれば、あとは夜まで自由よ」

『そっかぁ……手伝えないけど、頑張ってね。私ルリちゃんと観光するから!』

「いってらっしゃい」


優しく微笑みながらディーネを見送ったリウが立ち上がり、執務室へ向かった。



リウがしばらく執務室に籠っていると、突然ノックの音が響いた。

首を傾げ、気配を確認すると扉をノックしたのはレアらしい。

更に首を傾げつつリウが入室を許可する。


「レア、どうしたの? お祭りに行ってたはずでしょう?」

「はい! そうなんですけど、リウ様も一緒に来れないかなぁと思いまして! ……でも、忙しい……ですか?」


レアにそう聞かれると、リウは苦笑いしてレアの頭を撫でた。

そして、残りの書類を確認してから答える。


「これくらいなら、夜に回しても間に合いそうね……うん、レアが一緒にって言うなら私も楽しみましょうか」


ぱあっとレアが笑顔を浮かべた。

リウの手を引いて城下町に出ると、楽しそうにセラフィアとフローガからもらったらしいお小遣いで屋台の商品を購入していくレア。

リウが苦笑いし、買い過ぎてお小遣いが無くなってしまったレアにお小遣いを渡し、一緒に楽しんでいった。


「リウ様リウ様! あのクッキー凄く可愛いですよ!」

「あら、そうね。買いましょうか」

「やったー!」


リウが購入してあげたクッキーはノルティアナ城からリウ、ディーネ、レアなどが可愛らしく描かれたものだった。

もちろん、味も美味しい。

だがしかし、レアは可愛い可愛いとはしゃいでいたもののリウはよく描けたものだと感心していた。

確かに凄いが、食べずにずっと眺めているのでレアに怒られてしまうリウなのだった。



夕方頃になり、リウがレアを家に送り届けたあともう少しだけ時間があったため、リウが書類仕事を行っているとディーネが入ってきた。

軽くだが、ディーネも仕事をしていたらしく書類を手にしている。

書類を執務机に置き、ディーネがリウに話しかけた。


『やっぱりりーちゃん仕事してた。折角なら楽しめばいいのに』

「あぁ、さっきまでレアと一緒に屋台巡りしてたわよ。楽しかったわ」

『あ、そうなの? じゃあ楽しめたんだね、よかった』


そう言って微笑むなりディーネがリウの膝に座り、上目遣いでリウを見上げた。

そして、ぎゅっとリウに抱きつきながら告げる。


『お祭り、明日まで……だったよね』

「そうね」

『……お小遣いの追加くれないかなー……』


甘えるような瞳でリウのことを見つめていたディーネだが、やがて耐え切れなくなったのか気まずそうな表情になってリウから目を逸らした。

リウが溜め息を吐き、ビクリと肩を揺らすディーネに尋ねる。


「結構あげたと思うのだけど、もう使い切っちゃったの?」

『ルリちゃんのも全部私が払ったから……』

「そうするだろうと思ってたくさんあげたのに無くなるなんて、なにを買ったのよ?」

『前からお給料で買おうと思ってたアクセサリーが国認祭限定で安く売ってて……』

「ルリアにプレゼントするって息巻いてたアクセサリー?」

『うん、それ』

「それにどれくらい使ったの?」

『……半分とちょっと』


おずおずとディーネがアクセサリーに使った量を口にした。

リウが再び溜め息を吐く。


「大量消費の理由は分かったけれど、給料は減るわよ?」

『へ? ……なんで?』

「頑張ってプレゼントするーってあまりにも張り切ってるから、ちょっとだけ給料増やしてたのよ。頑張ってたボーナスでもあるけれど。プレゼントは済ませたみたいだし、お金を貯めるために頑張る必要も無くなったんだからどうせ必要以上の努力はしなくなるでしょう。だから、給料は減るわよ」

『そ、そうなの!? 知らなかった……あ、でもまだプレゼントする相手居るんだけど……』

「そうなの?」

『うん。二人居る』

「……頑張ってたら給料は下げないけど、今度はちゃんと自分の給料で買いなさいね」

『そうだよね……頑張る』


肩を落としながらもディーネがそう意気込んだ。

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