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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
みんなで騒ぎましょう
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ルリアの結婚相手

ルリアとシーアに構っていると、ディーネがやってきた。

本当にどこから嗅ぎ付けたのは不明だが、ルリアと話したくてやってきたらしい。


「……ディーネ、どこから嗅ぎ付けたの?」


気になってリウが尋ねると、ディーネが首を傾げた。

そして、きょとんとした表情のまま告げる。


『どこからもなにも、私はルリちゃんのことならなんでも分かるよ? りーちゃんのこともだけど』


三人の背筋に寒気が走った。

ディーネは読心とかのギフトは所有していなかったはずなのに何故分かるのだろう。

否、読心系のギフトであろうとも離れているのに読心など不可能である。

少なくとも視認する必要はあるはずだ。

普通は目を合わせる、身体に触れる等の条件があるが。

もちろん、ディーネはリウの〝情報網羅〟みたいなギフトも所有していない。

恐る恐るという風にルリアがディーネに尋ねる。


「な、なんで分かるの……?」

『なんでって言われても……りーちゃんも分かるでしょ?』


ディーネがリウに同意を求めた。

確かにリウは〝情報網羅〟を使えば分かるが、恐らくディーネが言っているのはそういうことではないだろう。

しかし、それに確信を持っているわけでもなかったので確認という風にリウがディーネに尋ねた。


「それって、ギフトで把握できるとかそういう意味じゃないわよね? ギフトを使わずに、よね?」

『そうだよ?』

「……な、なら私は難しいかもしれないわねぇ……」


若干頬を引き攣らせながらリウが告げた。

ディーネが不満げに唇を尖らせる。


『えー、リアのことも?』

「うーん……」


少し唸りながらリウがギフトを使用せずにリアが今なにをしてるか考えてみる。

すると、すぐに一つのビジョンが浮かんできた。

リアがヴェルジアとイチャイチャしている光景である。

それに若干苛つきながらリウが溜め息を吐いた。


「リアのことなら分かったわ……」

『でしょ!? ルリちゃんは!? 私がなにしてるか分からない!?』


ディーネがルリアに詰め寄った。

水色の瞳が期待でキラキラと輝いている。

対してルリアは少しずつディーネと距離を取り、目を逸らしながら気まずそうに口を開いた。


「ぼ、僕はそんなに意識したことないから……いや、その……ディーネが僕のことを気にかけてくれてるのは嬉しいんだけど……ほら、ディーネっていつも元気そうだし、僕は知れなくても別にいいかな……」

『本当っ!? 私に気にかけてもらうの嬉しい!?』

「う、うん、嬉しい。だから僕は知れなくてもいいかな。ディーネになにかあったら絶対リウが教えてくれるだろうし……」

『ルリちゃん大好きー!!』

「わあぁっ!? ちょ、ちょっとディーネ!?」


ルリアに抱きつくディーネを見て、シーアが呟く。


「お姫様、男探しとかしてるけどディーネと結婚するのが最善な気がする」


リウが無言で苦笑いし、シーアに告げた。


「ルリアが男探ししてるのは色欲の大悪魔としての矜持を得たいからであって、結婚相手を探してるわけじゃないからディーネと結婚はしないと思うわよ」

「なるほど」


うんうんと頷くシーアから離れ、ルリアに抱きつくディーネを引き剥がしてリウはそろそろ仕事をしないといけないからと〝瞬間転移〟で魔国シェイタンガンナから去っていくのだった。



魔国ノルティアナのお城に帰って来て早々にディーネがリウに向かって不満を訴えた。

存分にルリアを堪能していたのに、急に引き剥がされたかと思えば問答無用で転移である。

ディーネの訴えも当然だ。


『りーちゃん! 折角ルリちゃんに抱きついてたのに! せめてもうちょっと待ってくれてもいいでしょ! なんで問答無用なのー!』

「だって、そろそろ帰るって言ってもあなたルリアから離れようとしないでしょう」

『帰るのくらい我慢できるよ! べ、別に今生の別れじゃないんだし!』

「帰らなきゃいけない理由が〝書類仕事が間に合わなくなるから〟でも?」

『そ、それは……』


ディーネがたじろいだ。

書類仕事が理由のときは素直に帰れるか自信が無いらしい。


「ほら、自信ないんじゃない。だから駄々捏ねる前に帰らせたのよ。ほら仕事! やらなきゃいけない分だけ終わらせたら遊びに行っても別になにも言わないから早く終わらせなさい」

『……頑張るぅ……』


とぼとぼとディーネが自分の執務室へと歩いていった。

それを見届けてリウも仕事をするために自分の執務室へと向かう。

しばらくリウが書類仕事を行っていると、藍色の魔方陣からルリアが現れた。


「あ、仕事中にごめんね。書類頑張って。……あ、ディーネって今どこにいる?」

「ディーネ? サボってなければ執務室だと思うけれど」

「ありがとー。僕はディーネの応援しに行くからじゃあね~」


手を振りながら去っていくルリアを見送り、ルリアに応援してもらえばディーネがサボることはなくなるのではと思案するリウであった。

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