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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
みんなで騒ぎましょう
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心は吸血鬼

凛とした雰囲気を放っていた秘書ちゃんこと嫉妬の大悪魔シーア。

しかし、それはすぐに霧散し現在は完全に素に戻って無表情のままリウのことを見つめていた。


「これで満足? どうだった?」

「ええ。ちゃんとしているようで安心したわ」

「……リウには、私みたいな立ち位置の人いるの?」

「居るわよ? ほら、私と一緒に来てた銀髪の子」


リウがそう答えると、シーアはすぐに頷いた。

確かに記憶にあったらしい。


「種族は?」

「純血竜。グアルディアの直系の子孫で、どうやら先祖返りみたいね」

「えっ、そうなの!? グアルディアの子孫で先祖返り!? 確かに、目の色は空色だったし、あれ空間属性か……えーと、銀ってなんだっけ……?」


リウの言葉にシーアよりも先にルリアが反応を示した。

グアルディアの子孫であること自体初耳で、更に先祖返りという情報まで聞かされたのだから当然である。

仲良くしていることもあって、ルリアはかなり驚いていた。


「銀色は無属性。無属性のブレスなんかも撃てるでしょうし、敵に回せばかなり厄介ね。戦争に出すつもりはないけど。というか、戦争するつもりもないけど……」

「無属性ブレスってなると、そっか。僕でも完全な無効化はできないわけだね。完全無効化はリウとヴェルジア様くらいしかできないんじゃない?」


ルリアに頷き、リウが更に厄介な点を口にする。


「しかもね、純血竜って種族スキル持ってるじゃない。ブレスもだけれど、〝属性付与〟の方が厄介さは増すと思うのよ」

「……属性付与なら、他の人でも無属性の攻撃を扱うことができる」


リウの言葉に反応してシーアが言った。

ルリアが確かにと呟き、その厄介さを想像する。


「……ちょっと待って、ブレスってそういえばスキル!?」

「そうね」

「つまり普通の結界じゃ防げないよね!?」


叫んだルリアに対して、リウが首を傾げた。

その反応を見たシーアがリウに対してルリアの叫びの意味を説明する。


「リウは〝空間創造〟で結界作ってるだろうし知らないかもしれないけど、普通の結界は魔法に反応してその効果を発揮する。だから、スキルによる攻撃であるブレスは防げない。で、魔力に反応する結界を張るのは普通の結界より時間がかかる。だから、純血竜ってだけでもかなり厄介。無属性となると耐性が存在しないから結界を張るしかなくて、でも魔力に反応する結界を張るには少し時間がかかるから……威力によっては数発撃たれただけで全滅する」


シーアの説明にリウが納得していると、ルリアがシーアに抱きついた。

ルリアがシーアに頬擦りをして満面の笑顔で告げる。


「さっすが秘書ちゃん! 僕が言いたいことを丁寧に説明してくれる! いつもありがと!」

「……どういたしまして。じゃあ離れて」

「えー……」


不満げに唇を尖らせるルリアをシーアが引き剥がし、リウに抱きついた。

ピシリと硬直するリウに体重を預け、気怠げでハイライトの無い瞳でリウを見上げている。


「その子が、凄くて敵に回すと厄介ってことは分かったけど。……私、嫉妬した」

「あ、うん……そう……」


シーア、嫉妬モードに突入である。

曖昧な相槌を打ったリウの背中に手を回し、ぎゅっと抱きついてからシーアが顔を顰める。


「あの吸血鬼の匂いがする。また吸血された?」

「されたけど、この前の魔王たちの舞踏会(サタンズバイレ)でされただけよ? 匂いなんて残ってないと思うけれど……」

「私の鼻は誤魔化せない。リウの浮気者。私も吸血する」

「あなたは吸血鬼じゃなっ――」

「いただきます」


シーアがリウの首筋にかぶりついた。

ルリアは巻き込まれたくないので必死に気配を殺している。


「ひにぃっ!! ちょっ、ちょっとやめて! だからシーアは吸血鬼じゃないんだからやめて!」

「心は吸血鬼」

「なによそれぇっ!? 本当に離して!」

「……むぅ」


リウが本気で嫌がると、シーアはすぐに口を離した。

レイルに対してされるのは慣れて(諦めて)いるから許容しているのであって、普段そんなことしてこないシーアにされるのはまた別なのである。


「……っ、今回は許すけど次はないわよ! 分かった!?」

「……ん。ごめんなさい」


素直に謝罪を口にしたシーアの頭をリウが撫でた。

シーアのああいう行動は嫉妬から来るものであり、基本的には構えばなんとかなるのである。

ひとりぼっちで寂しかったのでルリアも二人に突撃した。

どこから嗅ぎ付けたのかは分からないがディーネも乱入してきたのでディーネのことも一緒に構う。

しばらくしてリウが三人を離し、ディーネに視線を向けた。

当のディーネは久々にシーアに会ったので色々と談笑している。


「……ディーネ?」

『あ、りーちゃん! 来たよ!』

「それは見れば分かるけれど……どうして来たの?」

『だって私もルリちゃんとお話したいんだもん!!』


ルリアに抱きつきながら言ったディーネにリウが呆れるような視線を向けた。

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