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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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エルフにご挨拶

1話〝竜との出会い〟より


リウの刀がある場所を右腰から左腰に変更。

普通に間違えてました。

一応リウちゃんは両手利きなんですが、みんなに合わせて右で使ってます。

ドワーフの集落で酔っ払いと成り果てたフローガをセラフィアが連れて帰ることになり、二人でエルフの集落に向かうこととなったリウとレア。

そんな二人はエルフの集落の前でしっかりと手を繋ぎ、二人きりで入る覚悟を決めていた。


「い、行くわよ? レア、大丈夫?」

「さっきのお姉さんたちみたいな人がいなければいいんですけど……うう、頑張ります……! 行きましょう!」


そんな風に声を掛け合って、二人がエルフの集落に入っていった。

どこか不安げな様子の二人には周りから様々な視線が向けられていたが、保護者(セラフィア)が居なくて不安になっている二人が気付くことはない。

リウの方が歳上というツッコミは無しである。

彼女は永遠の17歳なのだ。

リウは精神年齢が少しだけ幼いだけである。

それはまぁいいとして、リウがふと立ち止まった。

リウが突然立ち止まったので、手を繋いでいたレアは思い切り転びそうになった。

が、転ぶ前にリウがレアの身体を支えて顔面から地面にダイブすることは免れた。


「り、リウ様、ありがとうございます……」

「突然立ち止まった私が悪いから、いいのよ。……なんであの人はこっちに来てるのかしらね……」


リウが溜め息を吐いた。

挨拶回りなので人と会うのはいいことのはずなのだが、ドワーフのお姉さんたちに散々髪を弄られたことで二人は疲労困憊になっていたので出来ればすぐにでも帰りたかったのである。

目の前から歩いてくるのは、金髪の巨乳お姉さん。

ウェーブのかかった髪が特徴的である。

お姉さんは二人に近付いてくると、笑みを浮かべ――


「あなたが魔王様かしらぁ? それともぉ、そちらの可愛らしい幼女ちゃん?」

「わぷっ……んむぅううううう!! むぐぅううう!!」


思い切り、リウを抱き締めた。

お姉さんの豊満な胸に包まれ、顔を真っ赤にしたリウがジタバタと暴れる。

そんなリウの姿を見たレアは、頬を引き攣らせながらおずおずと告げた。


「あ、あの……えと……そちらで窒息しかけている方が、私の主であらせる魔王リウ様になります……」

ひっほくはひはいへほ(窒息はしないけど)ははひははい(離しなさい)!! んむぐぅううううう!!」


リウが軽くお姉さんを殴って離れた。

慌ててレアの後ろに隠れると、キッとお姉さんを睨む。

全く隠れられていないことには触れてはいけない。

リウはちゃんと隠れているつもりなのだ。


「あらぁ、ごめんなさいねぇ。お初にお目にかかりますぅ、魔王様ぁ。この集落の族長であるぅ、メイリーと申しますぅ。以後ぉ、お見知りおき下さいませぇ」


語尾を伸ばす独特な話し方をする金髪巨乳お姉さんはメイリーという名前で、この集落の族長らしい。

リウは僅かに赤らんだ頬をそのままに、不満げな表情を晒しながら挨拶を返した。


「リウ・ノーテルよ」

「あっ、リウ様の配下のレアです! 純血竜です!」


リウの挨拶は今までに比べるとかなり雑なのだが、それはメイリーの知るところではない。

レアはリウに倣って挨拶をしたが、当のリウが今回に限って途轍もなく雑だったのでちょっと戸惑ってしまった。


「むふふぅ、魔王様はとぉ~っても初心(うぶ)なんですねぇ。ちょっとだけ意外ですぅ。まさかぁ、真っ赤になっちゃうなんて思ってませんでしたからぁ」

「う、うるさいわね! 初心(うぶ)だからなに? べ、べ、べべ別に男性と接したことがないわけじゃないのよ!? ただ、ちょっと、恋愛どうのこうのに興味がないというか……」


リウが逆ギレしたかと思えば、次はなにやら動揺し始めた。

男性と接したこともないらしい。

何故か言い訳がましく〝恋愛に興味がない〟〝私に見合う人が居ないだけ〟などと呟いている。

レアがキョトンとした表情でリウに向かって口を開く。


「リウ様、この前私とお母様と一緒に女子会を開いた時は、お母様とお父様の馴れ初めの話凄く興味津々に聞いてましたよね?」

「ぴぃっ!? いや、そ、それは、その、えっと……」


リウの口から小鳥のような声が漏れた。

レアの言葉にかなり動揺しているようで、視線があっちこっちへと彷徨っている。


「あらあらぁ、魔王様ったら可愛らしい一面があるんですねぇ。私ぃ、魔王様って怖いだけの存在だと思ってましたぁ」

「メイリーさん!! そうなんですよ、ここで挨拶回りしている内に知ったんですがリウ様ったら途轍もなく可愛いんですよ! 癒しです! なんというか、小動物的な可愛らしさがありますよね!」

「か、かわっ……!? と、というかレア! 性格変わって……」

「分かるわよぉ、レアちゃん。さっきの赤面と涙目とかぁ、ジタバタ暴れるところとかぁ。それとぉ、離れるために殴った時もとっても優しかったものぉ」


二人がいい笑顔で握手をした。

何か、通じ合うものがあったらしい。

リウはそんな状況から目を逸らし未だ青い空を眺めて乾いた笑みを浮かべ、なんだかんだで挨拶回りを終えてなんだかとても元気になっているレアと一緒に帰宅しながら〝なんだか最近魔王としての威厳が消えてる気がする……〟と悩ましげに息を吐くのだった。

威厳だって、リウにとっては非常に大事な要素なのである。

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