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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
みんなで騒ぎましょう
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ディーネの心配

お祭りの準備は着々と進んでいた。

国はお祭りムードでいつもよりずっと賑やかで、城下町でのお祭りのための屋台が並んでいる。

貴族向けに開催するお城の大広間での立食パーティーの準備も進んでおり、大広間は豪華絢爛に飾られていた。

大広間での立食パーティーは貴族、または王族ならば参加できるが、当然ながら本人だと証明できるものが必須である。

ちなみにリウが招待状を渡した者は、証明できるものがなくとも招待状さえ持っていれば入れるようになっている。

そんなわけで、リウたちはわくわくしながら国認祭の準備を行っていた。

準備が進んでいると言っても、まだまだやることは残っているのである。


「大広間の飾りつけは終わった?」

「はい! これでドワーフさんやエルフさんの手もある程度空くと思います!」


リウの確認にメイド長ルファがそう答えた。

満足げにリウが頷き、他にもなにが済んだのか、なにが済んでいないのかを一つ一つ確認して書類に記載していく。

確認が終わったあと、リウが書類に視線を落として優先順位を定めていった。


「……よし、こんな感じかしらね。国認祭を開くって告知もしたからか、入国する人も増えてるのよね? ディーネとグアルディアは警備の強化をお願い。あとは……」


リウが指示を出し、会議を終えた。

少し疲れたのか、リウはすぐに自室に戻りベッドに潜り込む。

しかし、それは休憩のためのものであるらしく眠る素振りはなかった。


「……あとやらなきゃいけないことは……あ、そろそろパーティーで着るドレス決めておかないと。こういうときはメイリー頼りになるし、あとで頼んでおかないと。あと、あいつの警戒と……それ、と……」


リウの目蓋が下がっていき、眠るつもりではなかったのに眠りかけてしまう。

完全にリウが眠ってしまいそうになり、そして。


『りーちゃーん!!』

「ふみゃあっ!?」


ディーネがリウの部屋に飛び込んできた。

悲鳴をあげたリウを見て、ディーネが申し訳なさそうな表情をする。


『あ、ごめんね。寝てた?』

「寝そうになってたわ。寝るつもりじゃなかったし、別にいいのだけど……どうしたの?」


リウがそう尋ねると、ディーネがリウに詰め寄って告げた。

どこか不安そうな、心配そうな声で。


『あいつが来たよ。……転生の勇者が』

「……ヴィレイン・アージェストリ。できれば来ないでほしかったわね」

『りーちゃん、大丈夫……?』

「心配してくれてありがとう、ディーネ。でも平気よ。とりあえず、手は出さないようにね。あなたでも、返り討ちにされるだけでしょうから」

『うん、分かってる。今は副隊長に監視任せてるけど、しっかりと言い聞かせといたから。純血竜だし、狙いはりーちゃんだっていうのも知ってる分、我慢できるか怪しかったからりーちゃんからの命令って言っといたから大丈夫だと思うんだけど……』

「その方がいいでしょうね。下手に暴走されると命が危なくなっちゃうし」


リウが頷くと、ディーネはどこか心配そうな眼差しで窓から外を見た。

副隊長のことを心配しているらしいディーネの頭を撫でてリウが優しく告げる。


「きっと大丈夫よ、ディーネ。副隊長のことを信じてあげて?」

『……うん。あ、りーちゃん! パーティーのときのドレス、メイリーに相談しに行こ!』


普段の元気さを取り戻したディーネに連れられて、リウはメイリーの元に向かうのだった。



「あらぁ、リウ様ぁ、ディーネ様ぁ。どうかなさいましたかぁ? あ、もしかしてぇ、ドレスの相談ですかぁ?」

「ええ、そうよ。今大丈夫?」

「はいぃ、丁度仕事が一段落したところなんですよぉ。奥に来て下さいぃ」


メイリーについていくと、二人は椅子に座らされメイリーは大きな紙を持ってきた。

そして、メイリーが対面に座って口を開く。


「お二人のドレスは私が手作りさせていただきますのでぇ、今日はデザインについて決めていきましょうぅ」

『じゃあ私かわいいのがいいっ!』

「はいぃ、ディーネ様はかわいいものですねぇ。ディーネ様とリウ様はイルム王国で一度ドレスを着たのですよねぇ。どんなものを着たんですかぁ?」

『私はね、えっと、えっと……あの、えーと……ふわってなってるやつ!』

「白と水色の丈の短いバルーンスカートよ。私は黒色のプリンセスラインのドレス。スカートの膨らみは控えめだったけど」

「ありがとうございますぅ。えっとぉ、リウ様とディーネ様はぁ、前のと似たようなのがいいですかぁ? それともガラッと変えちゃいますぅ?」


メイリーがそう尋ねると、ディーネは少し迷うような素振りを見せた。

しかし、リウはすぐに答える。


「私はとりあえず、色だけそのままで。私といえば黒色みたいな印象もついちゃったし。デザインは任せるけど、露出は控えめでお願いね」

「分かりましたぁ。黒色で、露出は控えめですねぇ。肩出しとかも駄目ですかぁ?」

「んー……肩出しなら、大丈夫かしら。ただ、丈が短いのとかスリット入りとかはちょっと無理ね」

「はいぃ、ではそのようにデザインしますねぇ。ディーネ様はどうしますぅ?」

『えーっとね……色は任せるけど、デザインは変えたい! 色んなの着てみたいし!』

「了解致しましたぁ。デザインの下書きが完成したら報告しますねぇ」


どんなものになるだろうかと期待を膨らませながら、二人はメイリーの仕事場から出ていった。

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