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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
みんなで騒ぎましょう
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ヴェルジアへ祭りに来てほしくない理由の説明を終えたリウは、すぐさま帰った。

――否、帰ろうとした。


「……どういうつもり?」


そうヴェルジアに問いかけるリウの右手首には、白く光輝く鎖が巻き付いていた。

その鎖はヴェルジアが生み出したものであり、鎖で捕らえられると魔法やギフトを使用できなくなるというものだ。


「んー……いつも通り、かな」


リウの質問に対して、ヴェルジアがそう答えた。

鎖を引っ張ることでリウを引き寄せ、ヴェルジアがその手を握る。

そして、うっとりとした表情で口を開いた。


「……綺麗……」


ヴェルジアの口からそんな言葉が漏れた。

その瞳はリウの顔に向けられている。


「黙れ変態。リアに殴られろ」

「リアは僕のこと殴らないもん。ふふ、リアに似てるんだから僕がリウに惚れても仕方無いよね」

「仕方無くないわよ浮気野郎」

「浮気はしてないよ? ちょっと二人目の妻にならないかって誘ってるだけで。一応言っておくけど、リウ以外には誘ったことないからね? そんなことしたらリアに嫌われるし」

「私でも駄目に決まってるでしょう」

「いや、リアがリウなら別にいいって」

「はぁ……」


リウが溜め息を吐いた。

右手首に巻き付く鎖を左手で掴み、思い切り引っ張って粉砕しヴェルジアに話しかける。


「私、前から思っていたのだけど」

「ん?」

「あなたと転生野郎、結構似てるわよ? 口調もそうだし、変態だし。あなたは良識がある分多少はマシだけれど……あ、比べたらの話ね」

「えっ、嘘……?」

「自覚なかったのね。しつこいところとかかなり似てるわよ」


リウがそう告げると、ヴェルジアが膝から崩れ落ちた。

そこで、図っていたとした思えないタイミングでリアが入ってくる。


「あ、お姉さま。もしかしてまた誘われました?」

「ええ」

「無理矢理は駄目って毎回言ってるじゃないですかぁ。……って、なんで崩れ落ちてるんです?」

「転生野郎と似てるって言ったら崩れ落ちたわ」

「あー……確かに、しつこく追いかけ回してくるところとか似てるかもしれません。口調は一緒ですよね」

「ごふっ」


ヴェルジアが致命的なダメージを負ったが、それを気にする二人ではない。

ここが似てる、あそこが似てるとヴェルジアの目の前で楽しそうに言い合っていた。

ヴェルジアは蚊帳の外にされたのもあって、リウとリアの会話が終わる頃にはぷるぷると小刻みに震えていた。

リウが帰ったあと、ヴェルジアは怒りに任せてリアに人間なら割と洒落にならない悪戯を仕掛けるのだがそれはまた別のお話。



自室に帰ってきたリウは、レアに膝枕をするディーネに出迎えられた。

ディーネはルリアとリア、そしてヴェルジアがやってきたことも把握していたようだが、仕事が大量に残っていたため泣く泣くルリアと会うことは諦めたらしい。

しかし、しばらくするとレアを除く全員が去っていってしまったため、レアの様子を見てあげていたそうだ。

そんな説明を受けたリウは優しく微笑み、ディーネの隣に座った。


「ありがとう、ディーネ。仕事は大丈夫?」

『うん。いつもよりは長引くだろうけど、徹夜はしなくて済みそうかな』

「そう……」

『で、天界行ってきたの? あ、創世神様元気だった?』


ディーネがそう質問をすると、リウが少し苦笑いした。

首を傾げるディーネに向かってリウが質問に答えていく。


「そうね。ヴェルジアは元気だったわよ」


ただ、と付け足してリウが先ほどの状況を伝えていった。

ヴェルジアに鎖で転移できないようにされて、結婚しているのに綺麗だと言われたと。

そして、転生野郎と似ていると言ったら崩れ落ちた、と。


『て、転生野郎って初めて聞いたんだけど……いやまぁ、誰だかは分かるけど。りーちゃんは名前を呼ぶのも嫌がるだろうし』

「あんなのの名前を呼ぶだなんて死んでも御免だわ」

『……りーちゃんって、死ねるの?』

「難しいわね」


死ぬのは難しいらしい。

ディーネが引き気味な笑みを浮かべ、話を逸らす。


『え、えーっと、そうだ! 書類提出したからあとで確認しといてね!』

「分かったわ、確認しておくわね。そういえば、ヴェルジアが崩れ落ちたときにリアが来てね、一緒にヴェルジアで遊んだのよ。転生野郎との共通点を言う度に面白いくらいダメージを受けるから、楽しくなっちゃってね。最終的にはあいつ、ぷるぷる震えてたわ」

『創世神様〝で〟遊んでたんだ……創世神様、たぶん遊ばれてたの気付いてただろうし精神的ダメージ絶対そっちでも食らってるよね……たまには私も顔出そうかなぁ……』

「あとね、ヴェルジアまだ天使にスケジュール管理されてるのよ」

『あれは創世神様が悪いよね。だってすぐ抜け出すんだもん』


かなりの精神的ダメージを負っているであろうヴェルジアを心配していたディーネだが、スケジュール管理の話を聞くなりそんな心配を吹き飛ばす。

基本的に、ヴェルジアは駄目な神様なのだった。

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