強引
更新し忘れとかしてないですからね。
ごめんなさい。
約一名がリウに消されたものの、一応恙無く終わった魔王たちの舞踏会。
全員が帰りかけたところで、リウが思い出したように口を開いた。
「そういえば、近い内にお祭り開くから来たかったら来ていいわよ。あ、新参二人は駄目よ? 見てみたいなら配下を参加させる程度ならいいけれど。えーと、来るなら事前に連絡してね」
それぞれが行くと即答し、祭りで行うことについての予想を発表し始めた。
新参二人は行くとは言わなかったが、予想発表会に触発されて少しだけ祭りの内容を想像する。
死体の山に座るリウの姿を想像してしまい、二人は怖くなって逃げるように帰宅した。
◇
しばらくみんなの予想を聞いてから帰ってきたリウは、すぐに会議を開いた。
お祭りの予定を話し合うためである。
会議に呼ぶ者のスケジュールは基本把握しているので招集しても大丈夫なのも把握済みである。
「〝研究班〟は普通に研究の成果を発表。他国の学者とか研究者向けでもいいけど……一般人にも興味がある人は居るでしょうし、嫌じゃないなら専門用語はできるだけなくして発表できるかしら? 専門の人向けに別で詳しく説明してもいいでしょうし……」
「なるほど……では、その方向で資料を作成します」
「お願いね。資料を作る前に発表する研究の内容を書類にして提出。私が目を通して許可を出してから資料を作成すること」
ノルティアナは日々発展しており、研究班の他にも色々とできていたりする。
「で、えーと……マヤ。客人に出す料理は決まった?」
「ある程度は。全て決まり次第書類を提出しますね」
「ん。あとは……ルファ、おもてなしの練習はどうかしら? 順調?」
マヤはイルム王国にてリウが病気を治してあげた女性である。
マヤの娘のルファはノルティアナのメイド長だ。
「はい、いい感じです! もう本番に出しても恥ずかしくはないと思います!」
「あら、そう? 引き続き頑張ってね」
「はい!」
しばらく会議を行い、解散するとリウは自分の執務室で書類仕事をこなしていた。
すると、ノックのあとにレアが入ってくる。
「リウ様……帰ってきてすぐに会議を開いたと思ったら、次は書類ですか。少しは休まれてはどうですか?」
「だって書類溜まっちゃうじゃない。それに、疲れてないし」
「休んで下さい。というか寝て下さい。あ、私一緒に寝ていいですか? リウ様の自室行きましょう!」
「え、でも」
「私は眠いんですっ!」
レアは物凄く強引だった。
リウを休ませるためにそう言ってリウの手を引っ張る。
休ませるためのレアの計算だとは知らず、仕方無いと言わんばかりに優しく微笑みレアと一緒に自室へ向かうリウ。
自室に辿り着くと、リウはレアを先にベッドに寝かしてからネグリジェに着替えた。
ベッドに寝転がり、レアを抱き締めて目を閉じるリウ。
「おやすみなさい、レア」
「はい……おやすみなさいです……」
二人が眠りについた。
◇
翌日の朝、リウが先に目を覚ました。
「んぅ……? 朝……?」
呟き、ふとレアの様子を見てみるリウ。
レアはリウに抱きつき、健やかに寝息を立てて眠っていた。
自分に抱きついているレアを見て優しく微笑むリウ。
そこでレアが目覚めた。
「ふあ……おはようございます、リウ様……」
あくびをしてからレアがリウにそう告げた。
まだ寝惚けているレアにリウもおはようと告げてからいつものドレスに着替えた。
着替えている間にレアも意識がはっきりしたらしい。
今度は元気よくおはようございますと挨拶をしてきた。
「ええ、おはよう。二度目だけれどね。一旦家に帰ったらどうかしら? 送りましょうか?」
「帰りますけど、私一人で大丈夫です!」
「ちょっと不安ね……ディーネ」
純血竜とはいえ子供である。
心配になったリウは見た目こそ幼女だがれっきとした大精霊であるディーネを呼び出した。
『はーい! なにー?』
「レアを一人で帰すのは不安だから一緒に行ってあげて」
『ついでにちょっとだけ遊んできてもいい?』
「……仕事が始まる前には戻ってくるのよ」
『流石りーちゃん! れーちゃん行こ、遊ぶ時間がなくなっちゃう!』
レアと手を繋いで走っていくディーネに苦笑いし、リウは執務室へと向かった。
まだ仕事の時間ではないのだが、それはまぁリウなので仕方無い。
◇
数時間後、リウは城にある調理室に居た。
マヤに最終確認として試食を頼まれたのだ。
「……一口ずつとはいえ、こんなに食べなきゃいけないのね……」
お城の大広間で開く立食パーティー。
それに出す料理を少しずつとはいえ全て食べないといけないのだから、これは大変だとリウは苦笑いした。
「ゆっくりで構いませんので……」
「いえ、大丈夫。食べられないことはないから」
数十分後、リウは言った通りにビュッフェ形式で出される料理全てを味見することができていた。
品数が多いのでお腹いっぱいにはなっていそうだが。
時々〝これはちょっと薄いかも〟〝こっちは濃すぎるわね〟と口を出しつつも完食したリウは、指摘を出されたものだけ今度もう一度味見をするという約束を取り付けられつつ美味しかったとご満悦で調理室を出ていった。




