お土産
翌日、四人は魔国シェイタンガンナの城下町に居た。
観光のためである。
のんびりと城下町まで歩いてきた四人は、そこにある広場で二人一組に別れた。
リウとレア、メイリーとディーネでそれぞれ一組ずつに別れている。
どう別れるかで話し合った際、最初にディーネがレアと行くと言い出したが幼女たちが大人を連れずに歩いていると狙われる可能性があるため即座に却下されていた。
というか、リウが二人一組でと言った理由が幼女だけで出歩かせないためなのだから却下されるのは当然である。
ディーネがメイリーと組んだのは、メイリー曰く髪を結んでいないディーネの方が素体として優秀らしく、シェイタンガンナの国民が着ている、または作った服を見てみたいメイリーとしてはディーネと組みたいらしくリウに訴え、リウがディーネに聞いてと言った結果ディーネがメイリーの圧に負けてディーネとメイリーが組むこととなった。
あとは、残ったリウとレアが仲良く組んだというわけである。
「さて、じゃあここで別れましょうか。……ディーネは頑張って」
広場についてから少し休憩したあと、リウがそう告げた。
少しげんなりした様子のディーネを見て応援を送ってからレアと手を繋ぎ、リウが歩き始める。
「さて、レアは確かセラフィアとフローガに渡すお土産を買いたいんだったわね?」
「あっ、はい! いいのがあったら……ですけど」
「ふふ……お土産屋さんはこっちよ。手は離さないようにね。ここら辺、人が多いみたいだから一回はぐれると合流は難しそうだから」
「はい!」
レアがぎゅっと手に力を込めたのを感じてリウが少し微笑み、お土産屋さんに向かって足を進めた。
◇
「さて、ついたわ。好きに歩いていいけど、私の目に届く場所には居るのよ」
「はい! ええーっと……」
お土産を眺め始めたのを見て、リウもその側でお土産を眺め始めた。
不思議なオブジェを手に取っては首を傾げたりしている。
そこで見つけた髪飾りやイヤリング、ネックレスを手に取りリウはレアがお土産を決めるのを待ち始めた。
◇
「……あ」
ふと、レアが声を上げた。
リウが首を傾げ、レアに尋ねる。
「レア、どうしたの? お土産決まった?」
「決まってはないですけど……リウ様……これ、お土産としてどう思いますか?」
そう言ってレアが差し出したのは、手作り御守りキットというもの。
リウが頷き、一応確認とばかりに尋ねる。
「二人に作るのね?」
「はい! どうでしょうか」
「うん、いいんじゃないかしら。喜ぶと思うわよ」
リウがそう言って微笑むと、レアは嬉しそうにじゃあこれにしますと言ってレジへ向かった。
リウも一緒にレジへ向かい、レアがお土産を購入するのを見守ってから髪飾り、イヤリング、ネックレスを購入した。
◇
そうしてしばらく観光を続け、お昼になると広場で四人が集まった。
そして、お昼はどうしようかとみんなで相談を始める。
『……あ、そういえばりーちゃん。私たちが言ったところにご飯系の屋台がいっぱいあるとこ見つけたんだけど、そこでご飯にする?』
「あら、いいわね。……屋台ってあんまり食べたことないけど……」
『レアとメイリーは? 屋台でいい?』
「あ、私は大丈夫です。色んなもの食べれそうですし……」
「私もですぅ。行きましょうよぉ、屋台ぃ」
全員か賛成し、四人は屋台がある場所へ向かった。
◇
最初に四人が購入したのは、美味しそうな串焼き肉だった。
牛肉らしい。
屋台そのものが初めてのため、串焼きも初体験なリウがぱくりとお肉の端っこを齧る。
「ん……美味しい……」
目を輝かせ、もう一口リウが串焼き肉を齧る。
あまりにも美味しそうに食べるので一本サービスされた。
『あ、本当だこれ美味しい』
何度か食べたことがあるらしいディーネからしてもこの串焼き肉は美味しいらしい。
串焼き肉を齧りながら四人が歩き、果物のジュースを購入する。
そうして観光を楽しみ、夕方になってから四人がお城に帰っていった。
◇
お城に帰ると、リウが亜空間にしまっていた貝殻の髪飾りを取り出した。
『りーちゃんなにそれ?』
「髪飾り。ディーネに似合うと思って」
リウがディーネを呼び寄せ、貝殻の髪飾りを着けた。
似合ってると微笑み、次はメイリーを呼び寄せた。
メイリーには瞳と同じ緑色の宝石のイヤリングをプレゼントする。
それを着けてあげてから、リウは次に金色のチェーンに空色の宝石のネックレスを取り出しレアに着けた。
リウがお土産屋さんで買ったものは三人に渡す用だったらしい。
全員にお礼を言われて、リウは嬉しそうである。
『りーちゃん、センスあるんだから自分に生かせばいいのになんで自分の容姿には興味無いかなぁ……』
「だって自分を着飾ったって楽しくないんだもの」
ディーネが勿体無いと呟くと、メイリーがひっそりと帰ったら思い切りリウを着飾ろうと決意した。




