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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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レアの瞳

遅れましたー

ルリアと模擬戦(殺し合い)を行っていたリウ。

しかし、つい興が乗ってしまい危うく本気でルリアのことを殺しかけ、現在はルリアに叱られていた。


「リウ、分かってるの!? 僕今死にかけたんだけど! 間一髪で亜空間から放り出してくれたからよかったものの! あのままだったら死んでたんだけど! あれがただの詠唱か無詠唱での発動だったらまだ生きてただろうけど、あれたぶん強化詠唱だよね!? だってあれリウ無詠唱で発動出来るもんね!? ほんっとうに死ぬんだけど! ねぇ!」


強化詠唱とは、無詠唱で発動出来る魔法を敢えて詠唱することで魔法を強化することが出来るというものである。

確かに、リウが使った〝深淵渦アビスメイルシュトローム〟は無詠唱でも発動出来るので強化詠唱である。


「……みんなにいいところ見せたくて、つい……」


気まずそうにリウが言った。

ルリアが頬を引き攣らせる。


「だからってあそこまでしないでよ! 殺す気!?」

「ご、ごめんなさい」


ルリアに捲し立てられてリウが謝罪の言葉を零した。

しょんぼりした様子のリウを見てディーネが苦笑いしながら間に入る。


『まぁまぁ……りーちゃんも謝ったんだし、ね? りーちゃんも、次からは気を付けなきゃ駄目だよ?』

「次があるの!?」

『私は知らないよ。それは二人が決めることでしょ』


ディーネが溜め息を吐くと、ルリアまでしょんぼりしてしまった。

ルリアがリウを見て、盛大に顔を逸らしながら呟く。


「まぁ、今回は僕が言い出したことだし……ディーネにも呆れられちゃったし……特別に許してあげる」

「……本当?」

「うん。……つ、次は無いんだからね! 今回だけだよ!」


ルリアがそう言えば、リウは気を付けないとと気を引き締め、周りはルリアの言い方から絶対次も許すんだろうと確信した。

言い方がツンデレそのものだったので仕方無いかもしれない。


「じゃ、じゃあ僕そろそろ怒られるからー!!」


ルリアが慌ただしく去っていった。

休憩中に抜け出してきたため、早く帰らないと怒られるらしい。

何故リウと殺し合いを始めたのだろうか。


『……私たちも部屋戻ろっか』


ディーネのその言葉で、四人も部屋へと戻っていった。



部屋に帰った途端、レアがリウに思い切り抱きついてきた。

その瞳はキラキラと輝いており、どうやら凄かったと言いたかったものの雰囲気が雰囲気なだけにあの場では言い出せず、道中には人がたくさん居たため自重していたらしい。


「リウ様凄いですよ! あの、あんな大きい剣持ってたのに凄い早さでルリア様のところ行って、防がれちゃってもすぐ立て直して、ルリア様の魔法事前に感知しててっ! それであの、ぶわーって赤い光がルリア様を包んでっ! 笑ってたリウ様はちょっとだけ怖かったですけど、そのあとの詠唱と、黒い魔法も凄かったです!」

「……よくそんな明瞭に見えたわね」

「? ちゃんと見えましたけど」

「レアちゃん凄いですよぉ。私は全然見えなかったですぅ」

「大丈夫、メイリーが普通だから」


レアは普通に言っているが、リウとルリアの攻防をはっきりと見えるのは異常なことなのである。

お遊びとはいえ、それでも原初の魔王同士の争い。

相当な速度で攻防が為されており、リウの大剣を弾いたあとにルリアの魔法が発動したが発動されたタイミングはリウが後退した刹那である。

ルリアの魔法である水の刃も、光速に至るほどであった。

なのに、レアは当然のように見えていたのだ。

その異常さも理解出来ることだろう。


「十中八九、その目でしょうねぇ……」


リウがレアの瞳を見つめながら呟いた。

レアがきょとんと首を傾げる。


「私の目……ですか?」

「ええ。というか、属性ね。空間属性。たぶんそれのお陰で攻防を認識出来ていたんでしょう。特に、ルリアの水の刃。あれ、たぶん結構本気だったから」

「私、凄いですか!?」

「ええ、凄いわ。帰ったらセラフィアとフローガに自慢してしまいなさいな。私とルリアの攻防をはっきりと目で追えたってね」

「しますっ! えへへ、リウ様の役に立てますかねっ」


だらしない笑みを浮かべながらレアが自分の頬を包み、嬉しそうにリウに尋ねた。

リウも少し苦笑い気味に銀髪を撫でながら頷く。


「ええ、役には立つでしょうね。でも、危ないことはさせたくないから安全なことで役に立てましょうね」

「リウ様が言うなら!」

「……セラフィアとフローガの言うことも聞くのよ」

「心外です、ちゃんと言うこと聞いてますよ!」


今度はレアがむすっとしてしまった。

なにやらメイリーに先ほどの殺し合いの流れを説明していたらしいディーネがレアの瞳を覗き込む。


『でも、れーちゃん凄いよね。私でもギリギリ見えるレベルなのに』

「えへへ。あっ、身体は追い付きませんからね!」

「知ってるわ。でも、見えるだけ相当有利にはなるでしょうね……戦いになんて触れさせないけれど」

『りーちゃん過保護~』

「うるさいわね」

『ぎゃっ』


リウが軽くディーネを殴ると、ちょっと涙目になったディーネがリウを追いかけ始め、その場に笑いが満ちるのだった。

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