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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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親睦会

リウのうっかりによりディーネとルリアの関係性を暴露することになってから約数時間。

リウはディーネに正座させられていた。


『りーちゃん』

「……」

『誤魔化すとか、出来たよねぇ。私があんまり人に知られたくないってこと忘れた?』

「わ、忘れてないっ! た、ただ、二人の圧が凄くて……」

『じゃあ、話すつもりは微塵も無かった?』

「……」


ディーネの問いにリウが押し黙った。

若干涙目になっているリウを見てディーネが溜め息を吐き、再び口を開く。


『ルリちゃんには何て言うの? 隠す?』

「そ、それは……」

『……珍しいね、りーちゃんが考え無しに行動するなんて。本当に圧に負けたの?』

「……知ってほしかったから……あと、ディーネに隠してるって負い目をいつまでも背負っていてほしくなかったから」


リウがディーネやルリアに何も言わずに暴露したことに罪悪感を感じながら告げた。

しかし、隠しているという負い目をいつまでも背負っていてほしくないとはっきり告げたリウに若干ディーネがたじろぐ。


『に、にしてもなんか一言くらい言ってよ! こっちだって心の準備とか色々あるの! というか私のこと暴露するより前にりーちゃんのこと暴露しなよぉ!』

「……む、無理……」

『私も同じだよ! 反省して!』

「は、反省はするけどぉ……」


リウが唇を尖らせた。

ちょっとだけ納得行ってないらしい。


『なんで納得してないの……』

「だってディーネとルリアが仲直りしたのに引き摺ってるから」

『色々引き摺ってるのはりーちゃんもだよね!?』

「……言い返せないけど……」

『引き摺ってるって言うけど、そんな簡単じゃないんだからね……』


今度はディーネが唇を尖らせてしまった。

険悪な雰囲気になりかけている二人の間にレアが割って入る。


「け、喧嘩は駄目です! ディーネ様は色々複雑な感情があって、昔みたいには接することが出来ないんですよね! それで、リウ様は昔みたいには戻れないんじゃないかって心配してるんですよね! 二人まで関係が戻らなくなっちゃいますよ! ほら、それは嫌ですよね! えっと、えーと……そうだ、リウ様! ディーネ様とルリア様が気まずくならないように、お手伝いするのはどうでしょう? 例えば、リウ様とディーネ様がお話して、そこにルリア様を呼んで自然な流れでルリア様にお話を振るとか……! あの、二人きりで話さなければマシになるんじゃないですか!? どうでしょうディーネ様!」


物凄い勢いでレアに話しかけられた二人はかなりたじろいだ。

返答を求められたディーネが慌てて答える。


『ま、まぁ、マシではある、かも……?』

「リウ様! ディーネ様とルリア様の仲直り大作戦、決行しましょう!」

「へ? えっと、うん……?」

「じゃあリウ様はルリア様に都合のいい時間を聞いて下さい! ディーネ様とメイリー様は準備です!」


リウとディーネ、ついでにメイリーは流される形でレア主催の擬似的パーティーを開催することになるのだった。



「リウ~? 急に連れ出してなんなの……?」

「私もまだあんまり理解してないわ……」

「え、なに? どういうこと……?」


困惑しているルリアを連れて部屋の前に来たリウが扉をノックした。

すると、中からレアが入室を促してくる。

ますます困惑した様子のルリアを尻目にリウが扉を開いた。


「親睦会! です!!」


レアがどこかはしゃいだ様子で告げた。

どうやら親睦会という名目で行うことにしたらしいとなんとなく理解するリウ。

ルリアを押して無理矢理入室させ、リウが扉を閉めた。

困惑しているルリアを椅子に座らせ、レアが淹れた紅茶を渡す。

全員が椅子に座ると、リウが諦めたように溜め息を吐いてルリアに話しかけ始めた。


「突然のことで困惑するのは分かるのだけどね……というか、私も困惑しているし。レアが親睦会をしたいらしいわ。付き合ってあげて」

「へ? あ、りょ、了解……?」


ルリアが返事をしたのを確認して、リウが視線でレアに会話を促す。

レアがルリアに駆け寄ってニコニコと笑顔を浮かべながら話しかけた。


「ルリア様って、悪魔なんですよね! え、えっと、し、しき、しき……」

「色欲の大悪魔?」

「そうです!」


唸るレアを見てルリアが告げると、レアがぱあっと笑みを浮かべた。

寂しそうな、されど気まずそうな様子のディーネにはリウが話しかけておく。


「ルリア様ぁ。ちゃんとお話するのは初めてですねぇ。メイリーと申しますぅ。悪魔ってぇ、魔法が得意なイメージがあるんですけどぉ、ルリア様はどんな魔法が得意なんですかぁ?」

「え、あー……僕は……なんでも使えるけど……得意、というかよく使うのだと……水系、かな……」


チラチラとディーネを気にしながらルリアが告げた。

レアが無邪気な笑顔を浮かべたまま話しかける。


「水っ! だったら水の大精霊(ウンディーネ)のディーネ様とお話出来ることあるんじゃないですか? ディーネ様ー!!」

「へっ、あっちょっ!?」

『れーちゃん? な、なに?』


リウとの会話に熱中していたらしく、気付くとすぐに歩み寄ってきたディーネだがルリアを見て少しどもってしまった。

少しでも気負わないようにリウが一緒にレアの元へ向かう。


「ディーネ様、ルリア様は水の魔法をよく使うらしいですよ! お話出来ることあるんじゃないですか!?」

『え、えと……話すこと、かぁ……ルリちゃん……』

「……ディーネとルリアだとどっちの方が高度な水系統魔法が使えるのかしらね?」

『私大精霊だから私の方が高度なの使えるもん!!』

「僕だって大悪魔だよ! 僕は他属性と混ぜた高度な魔法だって使えるし! ディーネは水属性単体でしょ!」

『私の方が凄いもん!』

「僕の方が凄い!」


頬を膨らませ、しかしどこか楽しそうな様子の二人を見て三人は徐々に話しかける回数を短くしていき、相槌を打つのみで聞きに徹するようにしていった。

日も落ちてパーティーも終わりにすると、ディーネとルリアは仲良く会話をしながら片付けを行っていた。

そんな二人を見て、三人は作戦大成功と優しく笑みを浮かべるのだった。

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