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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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ポンコツ

復帰したルリアに真顔で緊急用の避難通路に隠れたことを指摘したリウは、現在ディーネを床に這いつくばらせていた。

本気で隠れていたことを問い詰めるためにディーネが光を失った瞳を向けながらルリアを襲おうとしていたからである。

リウが魔法で重力を操作することでディーネを床に拘束してるが、念のためにとディーネの背中に乗っていつでも対応出来るようにしている。

若干楽しんでいるような気がしなくもない。

ちなみにディーネは正気に戻ったので半泣きでジタバタしている。


『りーちゃんっ! 襲わない、襲わないから! だから解放して! この体勢苦しい! せめて退いて!』

「んふふ、もうちょっと椅子になってくれたっていいじゃない」

『れーちゃんが真似したらどうするの!』

「すぐ退くわ!」


レアの鞭のことを思い出したようでリウがすぐにディーネの背中から退いて魔法も解除した。

そのことを知らないルリアは不思議そうにしている。


「ディーネ、ごめんね。数年前に書類仕事が嫌で隠れたら秘書ちゃんに隠れられそうな場所全部に透過の魔道具を取り付けられちゃって。隠れられそうな場所緊急避難通路しかなかったの」

『……えっ』

「ごめんね、僕があのとき隠れたりしなければ普通のところに隠れれたのに。そしたら、ディーネもなんで隠れたのか問い詰めはしても襲おうとしてリウに椅子にされたりしなかったのに……」


緊急避難通路に隠れたのは隠れ場所が無かったかららしい。

その事実を知ってディーネが困惑する。

困惑するディーネに気付いていないのか、ルリアは過去の自分の行動を悔いていた。


『いや、そもそも隠れないでよ……』

「え、あ、そっか。そもそも逃げなければよかったんだ。でも恥ずかしかったんだもん」

『りーちゃん、ルリちゃんってこんなに……えっと、ポンコツだっけ』

「大丈夫、昔からよ」


笑顔でリウが頷いた。

ディーネが昔の記憶を掘り返すも、ここまでポンコツだった記憶はない。

ぷくりとディーネが頬を膨らませた。


『ルリちゃん、こんなに馬鹿……じゃなくて、ポンコツじゃなかったもん』

「ふふふ、それは僕がディーネの前で格好つけてたからだよ! なんかもうどうでもよくなったからやめた!」


ドヤ顔で言うことではないとリウが嘆息する。

ディーネが困惑して頭上に大量の疑問符を浮かべた。


「……ルリア……」

「ん? なに?」

「……やっぱりいいわ」

「へ? ……よく分かんないけどいいや。で、学園の見学の件だけど、明日には大丈夫なんだけどどうする? 明日以降ならいつでも大丈夫だけど。あ、他は一緒に来る?」


リウがルリアを可哀想なものを見るような目で眺めるのをやめて溜め息を吐いた。

無言でキッチンに行きレアに声をかけてから隠れているメイリーを引っ張り出し、二人を連れてリウが戻る。

ルリアがディーネに抱き締められていたので引き剥がしつつリウが三人に尋ねた。


「学園の見学、行きたい?」

「リウ様! 学園ってなんですか?」


元気よくレアが尋ねた。

リウは少し考え込むような素振りを見せると、レアに向かって微笑みながら答える。


「そうね……色々なことが学べる場所よ。さっき少しだけ私が教えたけど、文字なんかも学べるし……計算とかもやってるんだったかしら……?」

「うん、計算も教えてるよ。あとは魔法の扱い方とかもね。あ、剣とかもやってるよ? 体術もやってるし……本当に色々教えてる」

「……らしいわ」


レアが嬉しそうに頷いてルリアの方を向いた。

出会った当初にディーネと手を繋ぐのが恥ずかしくてレアと手を繋いだのを思い出し、ルリアが狼狽える。


「ルリア様、教えてくれてありがとうございます! あの、私、レアです! よかったら覚えてくれると嬉しいです!」

「ひゃぅっ……ど、どういたしまして……うん、レア……お、覚えたよ、うん……」


ルリアが挙動不審になってしまった。

そういえば途轍もない人見知りだったとディーネが思い出しつつ、可愛い悲鳴を脳内で再生する。

ふにゃりとディーネの頬が緩んだ。


「……あなたよくその人見知りぶりで歓迎とか出来たわね」

「でしょ!? 僕頑張ったからね!」

「ルリアが人見知りするときの判定が分からない……」


初対面が居ても知り合いと話すときは大丈夫なのだろうかとリウが首を傾げる。

そこで話が脱線していることに気付き再び学園の見学をするかどうか三人に尋ねた。


『私行くっ! ルリちゃんが頑張った成果でもあるからね!』

「あ、私も行きたいです!」

「ひとりぼっちは嫌ですよぉ。私も行きますぅ」


メイリーに関しては目的が学園ではないような気はするが、全員が頷いたことを確認してリウがルリアの方を見た。

ルリアも頷き、リウに向かって微笑む。


「りょーかい。秘書ちゃんに伝えとくね」

「結局秘書に任せるのね!?」


リウが思わず声をあげると、ルリアはそろそろ怒られるからと部屋から出ていくのだった。

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