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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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ディーネの執念

しばらくリアへの恐怖に浸っていた二人だが、数分ほどで飽きてルリアが一方的な雑談をしていた。

リウは完全に聞き手に回っている。

ルリアがマシンガントークを続けていると、リウが溜め息を吐いた。

ルリアの肩が跳ねる。


「いつまでディーネから視線を逸らすつもり?」

「だ、だってぇ……」

「……気持ちは分かる。けど、いつかはちゃんと話さないといけない。あなたも辛いでしょう。けれど、ディーネはもっと辛いと思うわ。負い目も感じているでしょうから、ね」

「ディーネはなんで負い目感じてるの。僕が勝手に決めて、実行したことなのに」


ルリアが唇を尖らせた。

机に突っ伏してリウに頭を撫でられる。


「……なに撫でてんの」

「別に。とりあえず、二人きりで話してみましょう?」

「……わかった」


ルリアが頷くと、リウが立ち上がってディーネを呼びに向かった。

部屋に辿り着くと、なんだかそわそわしているディーネがリウの視界に映る。

リウが帰ってきたことに気づいて、恐る恐るというようにディーネが尋ねた。


『りーちゃん、ルリちゃんとお話出来る……?』

「ええ、とりあえず頷いてくれたわ。部屋はどこか分かる?」

『分かんないけど、メイドさんとかに聞いてみる。ルリちゃんの自室だよね?』

「そうね。ルリアが逃げたら言ってね? 探して捕まえてあげるわ」

『ありがとう。じゃあ、お話してくる』


笑顔でディーネを見送り、リウがレアとメイリーに視線を向けた。

どことなく心配そうな顔をする二人を見て、リウが苦笑いを浮かべる。


「大丈夫よ、二人共。ああは言ったけど……」


リウが一度言葉を区切ると、二人はきょとんと疑問符を浮かべた。

にっこりと微笑みながらリウが口を開く。


「ルリアは、ディーネの執念をまだ知らないから」


つまりは、執念でどこまでも追いかけ回すのだろう。

ルリアがディーネの執念を知らないとなれば、ルリアは軽く逃げてそこら辺に隠れれば大丈夫とか思っていそうである。

というか、実際そう思っている。

無理そうなら適当に逃げて、隠れておけば見つからない、と。

……もし逃げたらどうなるかはお察しだが。


「ルリア様、大丈夫でしょうか」

「そうですねぇ」


心配の矛先がディーネからルリアに変わった。

リウの目がとっても死んでいたので、冗談でもなんでもないと察したのだ。

リウも昔に執念で追いかけられたんだろうなぁとも察している。


「懐かしいわ……隠れてから数秒くらいで、少し周りの様子を確認みたらディーネがじーっとこっちを見ていたの。しばらく悪夢に魘される羽目になったわ」


確かに怖い。

ちなみに過去のリウはそのままお姫様抱っこで連行された。

満足そうな顔をしていて、少し前とのギャップに恐怖したのをリウは正確に覚えている。


「……ルリア様の冥福を祈ります」

「流石にあのディーネといえど殺しはしないと思うわよ!?」

「今はあんまり関係無いんですけどぉ、ルリア様って最高の素体ですよねぇ」


メイリーの発作が発動した。

リウとレアが立ち上がり、キッチンへ向かう。

冷や汗を流しながらも表面上は笑顔でリウは紅茶の淹れ方を教え、レアは教えられたことを頑張って実行する。

何故こんなにも息がぴったりなのかは不明である。

レアがリウについて行っただけの可能性もあるが。

上手に紅茶を淹れることに成功すると、レアが半ば無理矢理に紅茶を渡した。

苦笑い気味にリウが紅茶を飲むと、美味しい美味しいとべた褒めして頭を撫でる。

想定されていないのか材料が足りないので実行はしないがリウが簡単なお茶請けの作り方なども教えていく。

リウが魔法でメイリーの様子を窺い、発作が収まったことを確認してからお茶請けの作り方は最後まで丁寧にしてメイリーの元に戻った。


「二人共酷いですよぉ。なにも離れなくたっていいじゃないですかぁ」

「危険な予感がしたのよ」

「そうです、危ない予感です。身の危険を感じたんです」


ぷくりと頬を膨らませながらレアが告げた。

二人(最高の素体)に危険人物として認識されているとメイリーが一人嘆いた。


「レア、紅茶の淹れ方と簡単なお茶請けの作り方覚えた? 忘れそうなら紙をあげるからメモしておきなさい。きっとセラフィアとフローガが喜ぶわ」

「あっ、お願いします」

「はいどうぞ。……そういえば、文字書けるのね?」


この世界には学園がここしかないので識字率が低いのだ。

この国以外の貴族や王族は学園に赴くことなく文字を書ける者を専属教師として雇うことがほとんどである。

この国の貴族は学園にも近いので普通に通っている。


「いえ、書けないので絵で表します。おおまかな手順さえ覚えておけば絵を見て分からないってことは無いと思いますから」

「あら、そうなの。じゃあ今度私が文字を教えてあげるわ。覚えていた方が便利だものね」

「はい、ありがとうございます!」


レアが満面の笑みを浮かべた。

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