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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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一枚上手

城の会議室にて、リウたちはルリアの国に一緒に赴くメンバーを決めていた。

ディーネは行きたいとは思いつつもイルム王国に行く際の次は譲るという自分の言葉を思い出して中々言い出せずにいる。

レアもそんな様子のディーネを気にかけて、行くとは言い出さないでいた。

そんな二人を視界に収めたリウは、そっと溜め息を吐いてから手を叩いて注目を集めた。


「今回は多少多くてもいいから、レアとディーネは連れていくわ。レアは行きたそうだし、ディーネはルリアと色々あるから話したいらしいし……」

『り、りーちゃん!?』

「遠慮したら後悔するわよ」


リウの一言で遠慮しようとしたディーネが押し黙った。

レアはそんなディーネを見て遠慮がちにリウに尋ねる。


「その、いいんですか? ディーネ様はちゃんと目的がありますけど、私は行きたいだけですし……」

「目的? 癒し要員でいいかしら。みんなをその幼い容姿を使って癒すのよ。ほら、名目は出来たわ。だから一緒に来なさい」


リウが強引にレアも一緒に行く理由を作って話を終わらせた。

納得していないような微妙な表情をしつつもレアが黙り込んだ。

なにを言っても無駄だと悟ったらしい。

まぁ、そもそも行きたいのは確かなので拒否する理由もないと思ったのも黙った理由の一つかもしれない。

リウがセラフィアやフローガ、リエラに視線で行くか行かないかを尋ねる。

最初にセラフィアが口を開く。


「私やフローガはリウ様が不在の間国を管理させていただきますから、レアをお願い致します」

「そう……土産話は持ってくるわ。……レアが」


レアが驚いてリウの方を見た。

別に嫌なわけではないし、二人も喜びそうなので否はないが。

というかレアとしては元々話す予定ではあったが。


「幼女二人組と私だけで行ってもあまりにも威厳が無さすぎるし、外見だけでもいいから大人が欲しいわね。立候補する人~」


リウの心情を語ると、幼女二人組だけを連れていけばルリアに遊ばれるのが目に見えるのは嫌だった。

リウとしては大人な女性か男性を連れていきたいのである。

そんなことを考えていると、一人の女性が手をあげた。

久々過ぎる登場の元エルフの族長、金髪巨乳お姉さんのメイリーである。

セラフィアの故郷のエルフの集落で出会って早々にリウを抱き締めてきた、語尾を伸ばす独特な喋り方をするメイリーである。

きっと忘れてる人も居ると思うので二回紹介させてもらった。


「私が立候補しますぅ、リウ様ぁ。他国のファッションを見てみるのもぉ、お仕事に役立つと思うんですよぉ」


メイリーは衣装やアクセサリー関係の最高責任者である。

よく最高の素体だとか言ってリウやレア、ディーネ、セラフィア、リエラ辺りを追いかけ回している。

ちなみにたまにフローガのことも追いかけ回している。

リウも自分以外が標的ならしばらく自分を狙わないと約束させてからなら捕まえる手助けをしたりしている。

なお、一番被害を被っているのはリウである。

リウは上手く口で騙してメイリーの元へ誘導しているので、手助けをしているのはバレている。

なので、レアとディーネが一致団結してメイリーにリウの居場所を伝えて捕まえさせているのだ。

ディーネが普段通りリウに暇だから構ってと言いに行き、世間話をしたり勝手にリウについて行ったりしながら魔法でレアにリウの居場所を伝えてレアがメイリーに伝え、レアはそのままメイリーと別れて関わっていないことにし、ディーネは疑われないようにそのまま一緒に居る場合とメイリーに伝わった時点で離れる場合を気分で変えることで自然を装ってリウを欺いている。

なお、この方法でリウにはバレていない。

幼女二人組の方が一枚上手なのである。


「メイリー……まぁ、いいんじゃないかしら。決定。じゃあ多すぎても困るしついてくる人はレア、ディーネ、メイリーね。はい解散」


リウが雑に会議を終わらせて部屋を出た。

そして自分で創り出した執務室に向かうと、執務机の上に積まれた書類を意気揚々と処理していく。

大量の書類の山に埋もれたディーネの部隊の戦力調査報告書を見てリウが仕事はサボってないと微笑んだ。

ディーネは部隊の鍛練以外をたまにサボっている。

ふとリウが窓を見ると、朝日が昇り始めていた。

会議が終わったのは、大体午後三時くらい。

そして、現在は朝日が昇り始めている。

何時間書類を処理し続けていたのか。

なお、今回は短い方である。

会議を行っていたし、ルリアの気配を察知して午前は書類仕事をしていなかったので。

リウが身体をほぐしてあくびを漏らし、自室へ向かおうとすると死にそうな顔をしたディーネが入ってきた。

ノックをすることさえ忘れている。

リウが立ち上がろうとした身体を戻して椅子に腰掛け、ディーネから書類を受け取る。


「ん……大丈夫そうね。ちょっと文字が間違ってるところあるけど……これくらいは私が修正しとくわ。ディーネは休みなさい」

『ありがと……りーちゃんも落ち着いたら休んでね……』


疲労感の滲んだ声でディーネがそれだけ告げて、部屋から出ていった。

リウはディーネの書類の誤字を修正し、軽く書類を見やすく纏めてから自室に戻りベッドに沈み込むのだった。

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