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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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レアのおめかし

「ん、んん……」


ディーネに無理矢理眠らされたリウが目覚めた。

半身を起こし、眠たげに目を擦る。


「んう……リウ様……?」


ふと、ここには居ないはずのレアの声がしてリウが横を向く。

そこに、寝惚けているらしいレアが居た。

ほわほわとした雰囲気を放ちながらレアがリウに抱きつく。

リウも寝惚けているので甘えてきたレアをぎゅっと抱き締めた。


「んん~……レアぁ……」


リウがレアを巻き込んで再び寝転がる。

レアを抱き締めたままリウが再び眠ろうとすると、後ろからディーネが抱きついて声をかけた。


『りーちゃん、おはよー。れーちゃんもおはよ。二人とも寝惚けてないで、もう朝だよー』


その言葉にハッとして二人が正気に戻った。

リウがレアを抱き締めたまま若干仰け反る。

レアは俯き、控えめにリウを見上げながら呟いた。


「……ごめんなさい……」

「え、えっと」

「その……か、構ってほしくて、あんなことしました……ほ、本当にごめんなさいっ!」


レアが頭を下げた。

リウが少し記憶を掘り返し、確かに構っていなかったと少しだけ納得する。

とはいえ、それで鞭を手にするという行動はよく分からないが。

ドレスルームで言っていた通りに母親、セラフィアの真似をしたのだろうか。


「い、いいのよ。私に痛覚は無いし……いえ、音といいレアの雰囲気といい、怖くはあったけれど……まぁ、謝ってくれたから許すわ。というか私の暴走であなたが怒ったのは確かでしょうし……とにかく、大丈夫よ。怒ってないわ」

「……本当ですか?」

「ええ。だって本当に怖かっただけだもの」


にこりとリウが微笑んだ。

レアも安堵してベッドに沈み込む。

そんなレアに微笑ましげな表情をしながらリウが銀髪を優しく撫で、ただの世間話のような雰囲気で尋ねた。


「レアは、セラフィアにお化粧してもらったり綺麗な服を着させてもらったりするの?」

「いえ……お母様はしたいみたいですけど、お化粧も豪華なお洋服も高くて買えないみたいで。あっ、でも一回だけ、お父様とお母様が結婚式で着たドレスとかの生地の余りで作った豪華な服を着せてもらいました! いっぱい綺麗って褒められたんですよ!」

「あら、それはよかったわね。レアはそういう服着て、おめかしとかしてみたい?」


んー、とレアが迷うような声を出した。

少ししたあとに、にへらと笑みながら告げる。


「お父様とお母様が喜んでくれそうですし、どちらかと言えばしてみたいかもしれません」

「そう。じゃあ、とびっきり綺麗になって皆を驚かせましょうか」

「……へ?」


レアが困惑したような声をあげた。

リウがにこりと微笑み、告げる。


「ディーネの時と違って、暴走じゃないわ。レアに構うって目的だってあるし、レアが嫌ならやめる。やる? やらない?」

「……や、やります! やりたいです!」


レアが元気よく返事をした。



「さて、先ずは服を選びましょうか。レアの好みにも合わせたいし、とりあえずいくつか見繕ってみるわね」


ドレスルームにある椅子にレアを座らせたリウが微笑みながら告げて服を一つ一つ眺めていく。

その間暇なのでディーネがレアの話し相手になってイルム王国での出来事を一部隠しつつ面白おかしく語っていた。

ちなみに隠しているのはレインのことだ。

二人が会話をしていると、たくさんの服を持ったリウが近付いてきた。

可愛い系から綺麗系、そして格好いい系など色々な服を持っている。

にこにこと微笑みながらリウが首を傾げてレアに尋ねた。


「さて、気に入ったものはあるかしら?」

「え、えーっと……選択肢が多すぎて分かりません」

「……確かにそうね。じゃあ、可愛いのか綺麗なのか格好いいの。どれがいい? これはあんまり好きじゃないかもっていうのでもいいわよ?」

「え、えっと、えっと……!」


迷っているらしく、レアが中々口を開かない。

その理由をなんとなく察して、ディーネが助言を口にした。


『どれが自分に似合うのか分からないんだったら、セラフィアやフローガが喜びそうなのを選んだらいいんじゃない? それも分からないんだったら私とかりーちゃんに聞けば別に答えるよ。ね、りーちゃん』

「ええ。といっても私たちの好みにはなるでしょうけど……」


リウが優しく時間がかかってもいいのよと告げると、レアが勢いよく答えた。

直前に〝お母様が女は度胸って言ってたし……!〟とか呟いていた気がしたが二人は気にしないことにする。


「か、可愛いの! 前も可愛い可愛いって言ってましたし! だから、お父様とお母様は可愛いのが好きなんだと思います!」


すると、にんまりとリウが笑みを浮かべ、


「任せなさい!!」


ディーネの一件もあって若干不安になる自信満々な声を発した。



「セラフィア、フローガ」


城下町を歩いていたリウが二人を見つけて声をかけた。

セラフィアがおっとりとした笑みを浮かべ、フローガを伴って歩いてくる。


「こんにちは、リウ様。どうか致しましたか? そういえば、レアは……」

「ふふ。今時間あるかしら。あるならついてきてくれる?」


リウが微笑むと、二人は疑問符を浮かべながらも頷いてリウについていった。



リウの先導で向かった先は、イルム王国から帰ってきた際に国民を集めた大広間。

当然、目立つ大扉が設置してあり会場に入る場合はそこからリウが登場する予定なのだが。

今回登場するのはもちろんリウではない。

楽しげにリウが笑みを浮かべ、困惑するセラフィアとフローガを放置し大声で呼び掛けた。


「連れてきたわよー!!」


すると、控えめに扉が開く。

しかしそこからは僅かに人陰が見えるだけで主役が登場しようとしない。

二人が更に困惑したのを感じ取り、引っ張り出してしまおうかとリウが考えたとき。


『ほら、れーちゃん自信持って!!』


ディーネにより無理矢理扉が開け放たれ、薄桃色の小さな、されど豪華なドレス姿のレアが姿を現した。

その姿はまるで小さな花嫁。

側に少年でも居れば結婚式にさえ見えてしまうかもしれない。

レアのドレスには左腰に小さな薄桃色の薔薇があしらわれ、可愛らしくも綺麗な印象を受ける。

少し短めな、けれどサイドテールに出来る程度はある銀髪は緩く結ってウェーブを描かせながら右側に流されていた。

そんな可愛らしいレアの姿を見た二人は。


「……っか、可愛いわ、レア……!」

「ああ、全くだ!」


セラフィアはリウの前ではしっかりと保っていた敬語を思い切り崩し、フローガはセラフィアのレアを褒める言葉を全て肯定しながら時々自分の言葉でも褒め。

リウはレアのドレス姿を満足げに眺め、ディーネはそんなリウを見て少し呆れ、セラフィアとフローガがレアを褒めちぎっている様子を見てまぁいいかと思い直すのだった。

書くの楽しかった。


あらすじをちょっと変えてみました。

変えてみたというか、文字量を増やした?

とりあえず興味があれば確認してみて下さい。


この章どこで終わらせたらいいんだろう。

51話なのに第一章。

どこかでちょっと時間飛ばしてもいいかもですね。

次はちゃんとストーリー進めます。たぶん。

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