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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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国家中立議会

レディーズメイドとウェイティングメイドが圧倒的人気を誇っている光景を見て、リウはゆっくりと首を傾げた。


「……どうしてその二つが人気なの……?」


不思議そうな表情をするリウに苦笑いを浮かべているディーネが答えた。


『りーちゃんが可愛いからだよ』


ディーネの身の回りのお世話をするお仕事であるウェイティングメイドも人気なのも、ディーネが可愛いからである。

盛大なブーメランなのだが、ディーネは自分の容姿が可愛いに分類されるものであることを理解しているので苦笑いをしていた。

ちなみにディーネは自分よりもリウの方が可愛いと思っているが、実際のところは負けず劣らずである。

リウはそもそも自分の容姿というものに興味がなく、自分の容姿に抱く感想と言えば整っている方ではあるのだろうという程度である。

ただし、ディーネのことは可愛いと思っている。

レアのことも可愛いと思っていたのだが、現在はどうとも言えない。

理由はお察しである。


「ええと、流石に多いからほとんどの人が受からないわよ……? それでもいいの……?」


候補者がコクコクと頷いた。

ちなみに他に並んでいる人たちはほとんどがレディーズメイドやウェイティングメイドになりたかったが遠慮した人たちである。


「……いいならいいわ。じゃ、ルファ。試験内容を」

「はい! えっと、仕事内容は二つとも主人の身の回りのお世話なので、試験内容は同じです。身支度とベッドメイキングをしてもらいます。身支度はマネキンに着せられた三種類のドレスを脱がして、正しい手順でもう一度着せてもらいます。分からない場合には手順が書かれた紙が置いてあるので、それを見ながらやって下さい。速度も大事ですが、正確さはもっと大事です。もちろん紙を見ない方が高く評価されますが、それで正確さを失うくらいなら意地を張らずにちゃんと紙を見て下さいね」


ルファがにっこりと微笑むと、候補者たちが頷く。

それを確認してルファがベッドメイキングの説明を始めた。


「ベッドメイキングもほとんど同じです。くしゃくしゃになっていているシーツと汚れている毛布、散乱していて皺だらけの枕があるのでそれらを取り換えて下さい。今回は誰も使わないものですが、本来はリウ様やディーネ様が眠られるベッドです。皺の一つも許されませんからね」


説明を終えて、ルファがリエラとセラフィアに別室へ移動させるように頼むと、リウに尋ねる。


「リウ様はどうしますか? 試験も見ていかれます?」

「んー……緊張させて本来の実力を発揮出来なかったりしたら嫌だから、私は遠慮するわ。ディーネはどうする?」

『じゃあ私もやめとこうかな。私飽きてきちゃいそうだし』


リウがディーネの言葉に頷き、候補者たちの方を見て微笑んだ。

レディーズメイド候補者やウェイティングメイド候補者が一斉にリウの方を振り向く。


「頑張ってね。落ちても次があるんだから、受からなくても試験内容を参考に練習すればいいわ」


候補者たちの気合いが充分過ぎるほどに入った。

しかし、ディーネかその気合いに追い打ちをかけるように口を開く。


『ふふふ、りーちゃんったら優しい! みんな頑張ってね~!』


リウだけではなくディーネにも応援されたことで、候補者たちの気合いが過剰なほど入ってしまった。

それを知らない二人は、リウの部屋へ赴きベッドに座り込んだ。


『りーちゃんりーちゃん、国として認められる条件ってなんなの?』

「道として整備された土地、最低十万以上の国民、城、またはそれに準ずる建物とその建物の主、最低二ヶ国以上に国として認められること。以上の条件を満たした上で〝国家中立議会〟で国として認められること」

『なにそれ……?』

「簡単に言えば、各国の王家とかの重鎮が集まって色々と話し合う場所。最低二ヶ国以上に国として認められることがその場に参加出来る条件なのよ。宣戦布告とかもこの場ですることが多いかしら。宣戦布告だけならいいけど、その場で攻撃とかすると議会の恩恵が以後全く受けられなくなるわね。それに、議会が保有してる戦力全てが攻撃者に向けられるし。議会が中立という立場なのは、ルールを破ったものには厳しいけど宣戦布告して、宣言通りに攻撃する分にはどちらにも関与しないから。もちろん、同盟国とかなら議会は関与することなく援軍も送れるけれど。議会に認められるのが当面の目標になるかしらね」


リウが言い終わると、ディーネがそうなんだと頷いた。

しかし、ただ、とリウが言葉を続ける。


「魔国の場合は私たち原初の魔王全員に認められれば一応国家として認められるのよね。必要なのは議会への要請だけ。議会も特になにか言ってくるわけでもないし」

『え、原初の魔王のりーちゃんが作るってなったら、他二人に認められなきゃいけないんだよね? 確かりーちゃんってあの二人と物凄く仲良かったよね……?』

「そうね」

『かっ、簡単に認められる……!?』

「そうでもないわよ」


ディーネの言葉をリウが否定した。

きょとんとディーネが首を傾げる。


「さっき言った条件を満たしているという前提のものだし、国に関しては命がかかわることだから私たちも適当には判断しないし、そこに友情だとかは関与しないわ。そういうわけだから、案外認められるのって難しいのよね。というか、しっかりやらないと議会の創設者に怒られる」

『お、怒られる?』

「ディーネ知らないの? 議会作ったの創世神よ?」

『えっ』


驚きのあまり言葉を失くすディーネであった。

国家中立議会はめちゃくちゃ名前悩みました。

でも私にはこれ以上に良いものは思い付かないので決定です。

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