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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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着せかえ魔と鞭

ルファ、マヤ、ニルの紹介を終えたリウは、リエラにセラフィアと合流しメイド、または執事になりたい人たちを集めるように告げてディーネは放置し、三人の自宅を用意してから城のドレスルームに向かっていた。

しかし、ディーネがお城の廊下にちょこんと座っていじけていたので一旦四人が足を止める。


「ディーネ……」

『……』


仕方無いのでリウが手を繋ぎながらドレスルームまで向かい、いじけるディーネを膝に乗せて撫でながらルファにメイド服を着てもらった。

試着室から出てきたルファが纏っていたメイド服は黒と白のロング丈で、ところどころにフリルやリボンがあしらわれた可愛らしいデザインのものだった。

明るい茶髪にはホワイトブリムが乗せられている。

シンプルだが可愛らしいデザインのメイド服だが、ルファの提案により細かく選ぶことが出来るようになっていた。

というのも、どんなデザインであれ人によって似合う似合わないというものがあるから、自分で自分に似合うもの、自分が好きなものを選べれば嬉しいだろうし、モチベーションも上がるだろうから、ということらしい。

リウがすかさずこの案を採用していた。


「似合ってるわよ、ルファ。ミニスカートでも似合うとは思うけれど……」

「メイド長ですし、ずっとロングだったのでこっちの方が動きやすくて」

「あら、そうなのね。確かにそうだった気がするわ」


朧気な記憶を掘り起こしながらリウが頷いた。

マヤとニルがルファのことを褒め倒している内にリウが未だに拗ねているディーネに視線を落とした。

少し放置するだけでこんなに拗ねるとは思っていなかったのでリウは困ったような表情をしていた。


「……ディーネもメイド服着ましょうか」

『え』


ディーネが思わずというように声を零した。

慌てて膝の上から降りようとするディーネをリウがそっと抱き締め、無言でミニスカのフリルとリボンが大量にあしらわれたメイド服を創り出した。


「……あれ、リウ様? ディーネ様もメイド服着るんですか?」


ルファがきょとんとしながら尋ねてきたので、ディーネはぶんぶんと勢いよく首を横に振った。

リウがニコニコと微笑みながら口を開く。


「違うわよ、ルファ」


予想とは違った返答にディーネが少し期待してリウを見上げ、


()()んじゃなくて、()()()()の」


絶望した。

自然な動きでリウがディーネを横抱きにし、驚異的なスピードで試着室に籠って出られないように大精霊であるディーネでも破ることが出来ない結界を作って閉じ込める。

一拍、二拍。


『アァアアアアアッ!!?』


ディーネの絶叫がドレスルームに虚しく響いた。



「ふふ、んふふ。うふふふふふ……」

『た、たすけて……』


リウがうっとりとした表情でメイド服姿のディーネを見つめていた。

というか、むしろ恍惚としている。

何故だかとても恐怖心を沸き立たせる姿だった。

三人も気の毒そうにディーネを見るだけで近付こうともしない。


「ふ、くふっ、んへへへへ……」

『りーちゃん他人を着飾るのは好きだよね……ひぃいい!? 詰め寄って来ないでいやぁあああ!!』


後ずさったディーネにリウが詰め寄った。

そのまま距離を詰めるとぎゅっと抱き締める。


「可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い……」

『怖い怖い怖いよぉ!?』


いつまでやれば気が済むのだろうか。

もしかしてずっとこのままなんじゃ……とディーネが考えると、涙目になって崩れ落ちた。



数十分後。

正座をしたリウの前に、レアが立っていた。

レアである。

セラフィアとフローガの娘で純血竜のお姫様のレアである。


「 リ ウ 様 ? 」

「ひぅっ……」


ゆっくりと発せられたレアの言葉にリウが小さな悲鳴を零した。

真面目に怒っているレアと怯えているリウには申し訳ないが、仁王立ちする幼女と正座でぷるぷる震える少女という謎の光景なのでとてもシュールである。

ちなみにレアは百歳超え、リウに関しては()()()()億は超えているという人間から見たらとんでもないおば……これ以上は存在ごと抹消されるのでやめておこう。


「 デ ィ ー ネ 様 に 謝 る こ と あ り ま す よ ね ? 」

「ディーネ、無理矢理着替えさせたりしてごめんなさい……」

「よくできました!」 


すぐにリウがディーネに向かって謝ると、レアの口からとても明るい声が飛び出した。

……怖い。

何故レアが昔セラフィアが手にしていたのを見たことがあるような気がする鞭を持っているのだろうか。


「リウ様、反 省 し ま し た ね ?」


パシィイイイン、と地面に鞭が叩き付けられた。

リウの肩が跳ねる。


「は、反省した! もうしない! だから、ね? 早くそれを置きましょう?」

「いやです」

「ど、どうして? 本当に反省したのよ? 自分でも酷いと思ったのよ?」

「大人への一歩としてお母様の真似をしてみたいからです♡」


一拍、二拍。


「アァアアアアアッ!!?」


先ほどのディーネと全く同じ悲鳴をあげるリウであった。

暴走するリウちゃん書くの楽しかったです。

レアは普通に怖い。

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