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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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演説

同盟締結のための最後の話し合いの日から数日経って、三人は正式な同盟の締結と演説を行うために身を着飾っていた。

リエラは薄紫色のマーメイドラインのドレス。

上は濃く下は薄いグラデーションになっていて、髪は相変わらずお団子で結われているが普段よりも飾り立てられ、いつもよりも煌びやかな印象を受ける。

ディーネは白と水色の丈の短いバルーンスカートのドレス。

幼女の姿をしており、また無邪気な雰囲気を纏うディーネに似合った衣装である。

長い海色の髪は三つ編みにされ、小さな宝石や花で飾られている。

そして、リウは漆黒のプリンセスラインのドレス。

スカート部分の膨らみは控えめではあるが、その造り自体は豪奢そのもの。

にも関わらず、リウはドレスに着られることなく綺麗に着こなしていた。

ドレスのスカート部分には宝石があしらわれており、スカートが揺れる度に様々な色に光り輝いている。

淡い金髪はハーフアップで結われており、小さなタンザナイトの髪飾りで纏められていた。


『り、りーちゃんが綺麗すぎるよぉ……き、記憶に焼き付けなきゃ。シルフお姉様とイフお兄様、あとあとアスお兄様にも、あっ、創世神様にも言わなきゃ怒られるんだった』

「あの仕事丸投げ野郎にはやめて」

『……えっと?』

「創世神のこと。いつも仕事押し付けられるのよ。あの【自主規制】が」


リウの口から聞くに堪えない暴言が飛び出した。

何を言ったのかは想像にお任せする。


『面識あったんだね。というか創世神様なにしたの……?』

「……まぁ、ね。うん。色々あったのよ、色々」


色々あったらしい。

リウが遠い目をしている。

今は着付けの時間なのだが。


「リウ様、ディーネ様。お似合いです」


流れを修正してくれる頼れるお姉さん、リエラが二人に声をかけた。

創世神と聞いて盛大に頬が引き攣ってしまっているのは誰がなんと言おうと気のせいである。

リウとディーネも慌ててリエラの方を向き直った。


「ええ、リエラも似合ってるわ。マーメイドドレス……うん、リエラの体型にぴったりね。髪色とも合ってるし、いいんじゃないかしら」

『うん! リエラも綺麗だよ!』

「……お褒めにあずかり光栄です」


リエラが照れながら微笑んだ。

しばらく談笑していると、三人が会場に呼ばれる。

案内人についていけば、大広間の中央にウィズダムの後ろ姿が見えた。

迷いなくリウが歩いていけば、二人も真剣な表情で会場を歩く。

ウィズダムの元へ辿り着くと、リエラとディーネは一歩後ろで控えた。


「リウ殿、自己紹介を頼む」

「ええ」


そこで一度言葉を区切り、リウが微笑みを浮かべた。

優しげな雰囲気を纏い、出来るだけ警戒心を湧かせないように努める。


「私は魔国ノルティアナの国主、魔王リウ・ノーテル。悲劇女王(テラジェディレジーナ)の名を冠する者。私の噂はよく耳にするとは思うけれど、こちらから戦いを仕掛けるようなことはしないと誓うわ。そういうわけで、以後、お見知りおき下さいませ」


言い切ると、リウは綺麗なカーテシーを披露した。

左右で色の違う瞳が穏やかに細められる。


「そして、我が国イルムはまだ未完成である魔国ノルティアナと、同盟を結ぶこととした。内容は――」


粛々と同盟の内容、戦力の貸し出しや情報提供などについての詳細を説明したウィズダムは、リウに視線を送った。

リウが頷き、ウィズダムよりも少し前に出る。


「我が国ノルティアナは、まだ未完成。けれど、下地は出来ている。まだまだ決めることは残っているけど、それはいつでも決められること。すぐに解決出来ないのは、国民が足りないという問題。だから、この演説で少しでも興味が湧いた人は国を見に来てくれると嬉しいわ。我が国の特産品は精霊薬という回復薬よりも回復量が多くて、味も良くて、肌に塗り込めば化粧水にもなるものなの。温泉やお風呂に入れれば回復効果や美肌効果も出るわ。我が国ではこれをたくさん販売するつもりなのだけど……他国にも卸すつもりではあるけれど、それでも自国での販売量が一番多いはずだわ。国に来てくれた人には、この精霊薬を試してもらおうと思っているの。だから、もしノルティアナを訪れたときはよろしく頼むわね」


リウが演説を続けていくと、徐々に騒がしかった会場が静かになっていった。

ポーカーフェイスを保っているリエラとディーネが内心不安に駆られていると、リウによる演説が終わる。

演説が終われば集中していたリウも会場の異変に気付き、内心で首を傾げた。

少し混乱していると、静かだった会場が一瞬で騒がしくなった。

それは、大きな拍手によって。

敵対視をされていないのだと知って、リウの表情筋が緩みそうになる。

しかし、それを必死で耐えてリウが微笑んだ。


「演説を聞いてくれてありがとう。……今宵は宴、存分に楽しみましょう?」


演説のあとには宴を開くと計画されていたのだ。

楽しまなければ損だと笑顔を浮かべ、三人も宴を楽しむのだった。

描写するの忘れてたので補足すると、リウちゃんの普段の服装は黒のAラインドレスです。

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