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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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紋様

投稿するの忘れてましたごめんなさい!

毒を盛ったメイドに会いに牢屋へやって来たリウ、ディーネ、リエラの三人。

怯えているメイドにリウが微笑み、話しかけた。


「指示を出したのは、自殺したっていう捕まった人で合っているの?」

「え? ……あ、はい……」


リウの質問にメイドは少し戸惑いながら答えた。

返事を聞いてリウは一つ頷くと、再び口を開く。


「なら、そいつの指示に従ったのはどうして?」

「それは……」


メイドが言い淀む。

リウは俯いてしまったメイドを無言で眺めると、鉄格子の隙間から手を入れてメイドの頬を包み、無理矢理顔を上げさせた。


「どうしても、言いたくないこと?」

「……私の家は、貧乏で……お母さんは重い病気に罹ってしまったけど、薬を買えるほどのお金もなくて……弟のお世話もしなくちゃいけないですし……だから……お金を、たくさんくれるって……でも、断るなら、悪い噂を流して薬を買えなくしてやるって言われて……」

「まぁ、無くはない話ね。……なにかしらで私に恨みがあったりはしないと認識してもいいのかしら?」

「え……ない、ですけど……」


リウがメイドの頬から両手を離し、いい笑顔で微笑んだ。

固まってしまったメイドに、リウは笑顔を浮かべたまま告げる。


「私の国に来てくれないかしら?」


ピタリ、とメイドが完全に硬直した。

脳がフリーズしてしまっているらしく、リウが首を傾げながら再び手をを突っ込んでメイドの目の前で手を振っても反応しなかった。

仕方無いので、むぎゅうっとメイドの頬を思い切り引っ張ればやっと現実に復帰する。


「ひゃひぃっ!? あ……よ、喜んでお受けひまひゅ!」


慌ててそう告げたはいいが、リウが頬を引っ張ったままだったので変な風になってしまった。

頬を赤らめるメイドを見て、リウがこてんと首を傾げる。


「本当? 嫌じゃない? 強制はしたくないのだけど……」

「は、はい! お母さんと弟のためなら!」

「……そう。なら、良かったわ。じゃあ、話は私が通しておくからまたね」


嬉しそうに微笑んで、リウはメイドの元から去っていった。



ウィズダムに例のメイドはノルティアナで働いてもらうと告げたリウは、貸し与えられた部屋で寛いでいた。

隣にはディーネも居る。


「……とりあえずの目標は達成できたわけだけど、なんかもやもやするわねぇ……」

『りーちゃんに毒を盛った奴の目的とか、ラーデンを襲ったのとか?』

「関連性はあるのかしらね、それ」


ボソリと呟いたリウに、ゆっくりとリエラが近付いていった。

そして、おずおずと控えめに発言する。


「あの、リウ様」

「んー?」

「わたくし、ラーデン様を襲った方々が着ていた服に描かれていた紋様に心当たりがあるのですが」

「……えっ!?」


驚くような言葉を発し、リウがリエラに詰め寄った。

瞳を輝かせながらリウが無言で先を促す。


「あれは、帝国の紋様だったかと」

「帝国……」

『えーっと、帝国ってどんな国?』


ディーネが尋ねた。

基本的にディーネは国家がどうのという話に興味はなかったのでよく知らないらしい。


「ブリガンテ帝国。侵略を繰り返すことで国を発展させてきた国よ。ノルティアナも純血竜の里が帝国に奪われないために作っているの。まぁ、最近は戦争は仕掛けていないようだから比較的平和だけれど……嵐の前の静けさというか。なんだか妙だし、警戒していた方がいいでしょうね。……ブリガンテ帝国は兵を使い潰してきた。だから、今の状態はまるで長い準備期間のようにも思えるの」

『へー……』


ふと、ディーネがリウへ魔法での通話を繋いだ。

内心首を傾げながらリウがそれに応える。


『りーちゃん。入国するために並んでた時に、なんか居たの覚えてる?』

『えっと、覚えているけれど。それがどうしたの?』

『気配的に違う人たちっぽいけど、同じ紋様が服にあった。あいつらも帝国から来たみたいだね』

『……そう。教えてくれてありがとう、ディーネ』


ディーネに感謝の言葉を告げると、リウは小さく溜め息を吐いた。

リエラにディーネの話をすることはない。

入国のときのことはリエラは知らないからである。


「……まぁ、収穫はあったんだし切り替えましょう。想定外だったけど、有能そうなメイドだって手に入ったんだものね」

『謎といえば原初の魔王ことルリちゃんが居るけど……りーちゃんって、ルリちゃんとは仲良いんだよね?』

「いいって言っていいのか分からないけれど……まぁ、少なくとも嫌ってはいないし嫌われてもいないと思うわよ。ルリアとは一緒に魔法開発したりもしていたし、それによく遊ぶ(殺し合う)し……あと、本当にたまにだけれどお茶会もするわね」

『……ん? え、あれ、遊ぶって言ったんだよね……それにしてはなんか不穏な感じが……いやいや、気のせいだよね、うん。気のせい気のせい……』


ディーネは〝遊ぶ〟という言葉に隠れた〝殺し合う〟という不穏すぎるワードに気付いてしまったが、すぐに現実逃避を開始した。

知らない方がいいこともあるのである。

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