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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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役職決め

目の前に出来た純白のお城に純血竜達が驚くのを尻目に、リウは深く息を吐いた。


「この規模となると、流石に少し疲れたわね」


ぼやくようにリウが呟けば、駆け寄ってきたレアが心配そうに顔を覗き込んだ。

リウはふわりと微笑み、疲れただけだと安心させてレアの頭を撫でる。


「……疲れただけならよかったです。お城、綺麗ですね。真っ白です。でも、リウ様は魔王なんですし……なんというか、魔王のお城! って感じの禍々しいお城を想像してました」

「ふふっ、でも、住むとしたらこっちの方がいいでしょう? 私が居れば外装も内装も好きなように弄れるから、中はまだ適当に部屋を作っただけなのだけどね。本当は城下町も敷地くらいは作りたかったのだけど……勝手に家を消すわけにはいかないし。そこら辺は要相談ね」

「……確かに、禍々しいお城にはあまり住みたくないかもしれません。一回入ってみるくらいで充分です。その分、このお城は雪みたいで綺麗で、リウ様凄いです。あっ、リウ様が言ってた……えーと……」

「物質創造?」

「そうです、その物質創造というのは〝ギフト〟ですか?」

「そうね。ギフトよ」


レアの疑問にリウが頷いた。

ファンタジーな世界では結構あるスキルやギフトというもの。

それがこの世界にも存在していた。

先ずは、〝ギフト〟。

正確に言えばギフトスキルという名称のそれは所謂先天的な特殊能力に該当するもので、大きく分けて三種類ある。

先ずは、魔法が効かないなどの体質型。

体質型は所持者が制御するのは不可能であり、場合によっては不便に感じるものもあるが代償無しで常時発動されるのが特徴である。

そして、リウの物質創造のように魔力を消費することでなにかを成すというもの。

これが一番多く、魔力消費型と呼ばれるもの。

二番目が体質型と呼ばれるものである。

他にも、稀ではあるが特殊型と呼ばれるものがある。

それは、魔力消費型と体質型、どちらにも属さないギフトの総称である。

特殊型のギフトは分類することが極めて困難であることから、特殊型と名付けれた。

そもそもの話、ギフトを持っている者自体が稀なので特殊型などほとんど存在していない。

そして、ギフトとは別の〝スキル〟。

これは後天的に手に入れた技術などのことである。

例えば、火属性の魔法を全てマスターしたとしたら。

〝ステータス〟に火属性魔法と表示され、火属性魔法の火力、速度、等々に補正が掛かるというもの。

魔法の他にも剣術などがあるが、とにかくスキルとして獲得したものは補正が掛かる。

これがスキルである。


「魔力消費型……ですよね? 合ってますか?」

「ええ、合ってるわ。魔力を消費して物質を創り出せるの。水とかも創れるわよ。まぁ、魔力は無理だけれど……」


ニコニコとしながらレアの確認に答えて、物質創造の説明を簡単にするリウ。

簡単にとは言っても、本当に物質を創り出せるとしか説明出来ない能力なのだが。


「確か、ギフトって持っている人はとても少なくて、更にそのほとんどが一つしかギフトを所持していないんですよね? ギフトを持ってるリウ様、凄いです!」

「ふふ、ありがとう。さて、じゃあ……フローガに相談しましょうか。それともセラフィアの方が詳しいかしら……?」

「私にお任せ下さい。フローガは人気はあるのですけど、本当にこういうことには興味が無くて」


苦笑いをした拍子に少し揺れたセラフィアの豊満な胸に一瞬リウの視線が吸い寄せられて、自身の胸に視線が移った。

リウは溜め息を吐くと、セラフィアの顔に視線を固定して話を聞く姿勢に入る。


「敷地の方ですけれど、後回しにしてくれるとありがたいですね。みなさんの話を聞いてからにしないといけませんから。それは私がやっておきますけど、次にするべきことはなんでしょうか」

「城下町は後回し……となると、住民の方も後回しね。住めないんじゃ集めたところでどうにもならないし。となると……国に必要なものね……お金とかは今はどうにもならないから……とりあえず、軽く国における役職などを決めてしまいましょうか。そっちの方がやりやすいわ。お城に入りましょう」


リウの先導でぞろぞろとお城に入っていく純血竜達。

傍にいたレアはリウと手を繋ぎ、セラフィアは一歩後ろでその姿を微笑ましげに眺めていた。

しばらく歩くと、リウは大きな扉を開いて中に入った。

そこには巨大な机があり、幾つもの椅子が置かれていた。


「流石に全員分の椅子は用意出来ないから、そうね……」


リウが言葉を止めて指を鳴らした。

パチンという音と共に、座り心地の良さそうな長椅子が現れる。

〝物質創造〟を使ったのだろう。


「好きなところに座って。適当でいいわ」


そう告げると、リウは一番真ん中に座った。

位置的に長椅子含め全ての席を見やすいからである。

全員が長椅子や机に備え付けられた椅子に座ると、リウが口を開いた。


「フローガによれば私が国王でいいそうだけど、本当に反対はないの? あるなら、聞くけれど」


改めてというように尋ねたリウだが、一つとして声が上がることはなくリウは溜め息を吐くと、真剣な表情をして再び口を開いた。


「なら、決めなければならないことを決めましょう。先ずは、混乱を招かないためにみんなを纏めるのはフローガ。その補佐としてセラフィア。いいかしら?」


反対意見が無いことを確認して、リウが頷き次に決めることを頭の中で整理する。

純血竜達を見回すと、淡々と必要な役職を口にし始めた。


「国として必要なのは、国を守る兵士や騎士。これに関しては純血竜の特性を生かしましょう。まぁ、この話は誰がするのか決めてからでもいいわね。次に、治癒師。回復魔法を使える者に就いてほしい役職ね。他にも、薬草の知識がある者でもいいわね」


そんな風にリウが淡々と必要な役職を示していき、ある程度役職のリーダーは決まったものの、分かったのは深刻な人手不足という事実だった。

リウちゃんはつるぺたです。

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