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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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作り笑顔

食事に毒を盛った犯人の推測を続けるリウ、ディーネ、リエラの三人。

目的はリウである可能性が高く、また原初の魔王の一柱ルリアスタル・アーシャンレートことルリアが絡んでいる可能性が浮上していた。

まだまだ犯人は炙り出せていないので、議論を続ける三人。


『りーちゃん的には、ルリちゃんが契約していた場合どう行動すると思う? 意図的な場合と不本意の場合じゃどう行動するかは変わるだろうけど……』


ディーネの言葉にリウが考え込むような姿を見せると、自分の予想を口にした。


「意図的だった場合なら……契約した相手を極限まで利用すると思うわ。利用して、契約を遂行したらすぐに捨てる。でも、ルリアがやらかして不本意な契約を結んだときは……真っ先に私に泣きつくかしらね。少なくとも、今まではそうだったわ。全部が全部ってわけじゃないから言い切れるわけではないけれど……」

『そっかぁ……滞在してる時に犯人見つけられたら聞き出せるんだけど。ねぇりーちゃん、〝情報網羅〟使ってよぉ』

「嫌よ」

『なんで?』


〝情報網羅〟を使ってというディーネの言葉にリウが即答し、理由を尋ねられるとにっこりとした笑みを浮かべた。

楽しそうで、自然な笑顔を。


「――だって、それじゃつまらないでしょう?」


心の底からそう思っているのか、どこまでも純粋で、そして輝くような笑顔だった。

今まで黙っていたリエラは少し驚くような表情をする。

雑なところはあったものの、自分のギフトを惜しみ無く使ったりしていたことから少し合理的な一面があるという印象を抱いていた。

子供らしい表情だってしてはいたが、ここまで純粋ではなかった。

言ってしまえば、今までの笑顔は意図的に作ったような印象を覚えていたのだ。

だから、リエラは安心していた。

一度でも作り笑顔ということを見抜いてしまえば、リウの姿は酷く危うく見えてしまう。

全てが作り笑顔というわけではないようだが、それでも純粋な笑顔を浮かべた時は、決まってその笑顔を意図的に作り出していた。

だから、リエラは安堵したように息を吐いた。


「……リエラ?」

「っ、は、はい、なんでしょう?」


突然リウに声をかけられ、リエラの声が上擦った。

驚き、肩が跳ねてしまったことを自覚して少し焦ってしまう。


「いえ……なんだか、安心しているように見えて。そんな要素無かったから、どうしたのかと思ったのだけど……なにか考え事?」

「い、いえ、その……えっと」


安堵していたことがバレたと分かり、困ってしまうリエラ。

〝リウ様の笑顔が作り笑顔じゃなかったから〟とでも言えば納得してくれるのかもしれないが、その話題がリウにとってデリケートなものである可能性があるので咄嗟に言い出せなかったのだ。


『……リエラ、もしかして気付いてた? りーちゃんがいつも笑顔を作ってたの』


ディーネが真剣な表情で尋ねた。

その言葉は疑問系ではあるものの、ディーネの雰囲気から察するにリエラが気付いていることは確信しているようだった。

ディーネが言い出したことから、きっと言っても大丈夫なのだろうとリエラが静かに頷く。

ディーネは一度リウを気遣うように見たあと、リエラにそっと微笑んだ。


『そっか、気付いてたなら心配にもなるよね。私もりーちゃんが危うく見えて凄く心配だったし。普段は別に普通なのに、楽しそうな笑顔だけが作り笑いなんだから。……でも、みんなには言わないでね? ほら……りーちゃんにとっては、デリケートなものだから』

「やはり、そうなのですね……」

『うん。れーちゃんも気付いてたみたいだけどね。だから心配になってお泊まりを言い出しらしいし』


少し俯いていたリウが勢いよく顔を上げた。

そして、戸惑い気味にディーネに尋ねる。


「れ、レアも気付いてるの……? 私、そんなに演技力無いのかしら……」

『いや、りーちゃんの演技力は凄いと思うよ? ただ、リエラとれーちゃんの観察力がそれを上回って作り笑顔を見抜いたってだけで。たぶん二人が凄いんだと思うけど……』

「そう……リエラ、他の人が居ないときは作り笑顔のことは指摘して頂戴な。私、ほとんど無意識にやってるから言われてからやっと気付くのよね。直したいとは思っているのだけど……気付けないから、どうしようもなくてね」

「そう、なのですか。では、リウ様の作り笑顔を見抜いていない人が居ないときは指摘させて頂きます」


無意識に笑顔を作ってしまうらしい。

そうなってしまった原因は聞かないが、リウの表情が少し曇ったことからきっと辛いことがあったのだろうと察するリエラ。

少しでも安心してくれるようにと微笑み、リウのお願いを承諾した。


『……はい、この話はおしまいっ! 雰囲気暗いし楽しいこと話そ! ええーっと、じゃあ……内容はリエラの恋愛話っ!』

「え、ええっ!? ええと、それは、その……」

「……あら、あらあらあら。この反応はなんかあるのね!? 聞かせなさい!!」


真っ赤になってしまったリエラを見て一気にリウが食い付き、命令した。

ちなみにリエラは独身ではあるものの、現在交際中ということでリウとディーネはきゃあきゃあとはしゃぐのだった。

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