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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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朝の散歩

リウの元に刺客が現れたあと、しっかりと血を拭いたりと後処理を済ませた彼女は早朝にまだまだ未完成の城下町を歩いていた。

隣にはディーネと、逆側に眠たそうなレアが居る。

ディーネはリウの側に居たくて。

レアはディーネがどこかへ向かうことに気付いて起きてきた。

二人はまだ早いからと止めたが、むすっとした表情で〝除け者にしないで下さい!〟と言われたので渋々了承した。

ちなみに昨日の深夜もディーネが居なくなったあとに目覚めたそうで、どこに行ったのかを尋ねられていた。

刺客に襲われたリウが心配で見に行きました、なんてことを言えるわけがないのでたまたま目が覚めたからリウの寝顔眺めに行っただけと答えリウにキレられていたりもする。

そんな余談は置いておくとして。

レアがリウに甘えるように抱きつく。


「レア、どうしたの?」

「んぅ……ねむい、です」

「そうね、まだ朝早いものね。抱っこしてあげるから寝ててもいいのよ」

「やです……」


ふわふわとした雰囲気でそう告げるレアに苦笑いしながらリウがレアを片手で抱き上げた。

ディーネがリウの腰に抱きつきながら頬を膨らませる。


『れーちゃんずるい~。私だって眠いしりーちゃんに抱っこされたいのに』

「ん、これでいい? ……というか、あなた外見以外は大人でしょうに。レアだって人間基準なら大人だけれど……純血竜の成長がゆっくりなだけだし。ディーネあなた何歳よ……」

『女性に年齢聞いちゃ駄目だよ~。億はとっくの昔に越えた』

「駄目とは言いつつ答えてくれるのね……」

「ディーネさま、年齢が億を越えてるなんてすごいです~……んんぅ……」


レアは半分以上寝惚けている。

ディーネももう片方の手で抱っこした。

が、なんとなく恥ずかしかったので二人纏めてお姫様抱っこする形に切り替える。

ディーネがぎゅっとレアに抱きついた。

寝惚けているレアが嬉しそうにふにゃふにゃと頬を緩ませる。


「レア可愛いぃ……」

『あ、りーちゃんがデレた』

「うるさい」


リウが若干不機嫌になりながら街を歩く。

しばらくそうしていると、ちらほらと人が増えてきた。

日も出てきているので起きてきたのだろう。

レアとディーネを抱っこするリウを見かけた者は微笑ましげに三人を眺めている。


『りーちゃ~ん、見られてる~』

「まぁ、目立つでしょうからね。嫌なら降りなさい」

『やだ』


リウが小さく溜め息を吐き、視線を二人に落とした。

はしゃぎながら見てくる者たちに手を振るディーネとすやすやと眠るレアがリウの視界に映る。

少し微笑ましげに頬を綻ばせて視線を前に戻した。

すると、いつの間にか国民に囲まれていた。

リウの頬が大きく引き攣る。


「……なに? 野次馬ならさっさと散りなさい、ほら。朝の散歩をしているだけなのだけど?」


少し喧嘩腰になりつつリウが告げると、国民はすぐに退いていった。

ただし、真ん中を空けただけでどこかへ行く様子はない。

気恥ずかしい気持ちになりつつも、リウが空けてくれたのだからと散歩を続ける。

何故か、国民たちがぞろぞろとついてきた。


「……なんで付いてくるの?」

『りーちゃん凄い! 大人気だね!』

「恥ずかしいのだけど……」


リウの頬がほんのりと赤く染まる。

そんなリウの姿に野次馬たちは今日は幸運だとリウの姿を記憶に焼き付け、ディーネは元契約者であるリウの可愛らしい姿を間近で見られて満足した。

そんなディーネが視界に映ってしまい恨めしげな視線を送りつつ、リウが散歩どころではなくなってしまったし帰ろうかと思案する。


『りーちゃん、私まだ散歩し足りない。れーちゃんも寝てるし、ね?』

「あなたほとんど私に抱えられてるだけじゃない。続けるのは別にいいけど……」

『んふふ、りーちゃんありがと~』


再び溜め息を吐いてリウが歩く。

野次馬はやっぱり付いてきていた。

仕方無いので野次馬の存在は無いものとして扱うことにして、リウが幼女二人を抱えて城下町を歩く。

しばらくそうしていると、セラフィアとリエラがリウたちの元にやってきた。


「あら、セラフィア、リエラ。おはよう」

「おはようございます、リウ様。その、娘が眠ってしまったようで申し訳ございません……」

「別にいいわよ、子供は好きだから。朝も早かったから仕方無いわ」

「それに、昨夜はお城に泊まったようですが……」

『あ、セラフィア、おはよ。れーちゃんなら私と一緒に寝たから大丈夫だよ。りーちゃんのところか迷ったみたいだけどね』


ディーネがそう口にした。

セラフィアは少し心配していたようで安堵の溜め息を吐いていた。

レアがリウやディーネに懐いているのは知っているが、お泊まりするのは初めてだったのだ。


「リウ様、イルム王国について少し話したいことが」

「あら……そうね、そろそろレアも朝食を食べないといけない頃でしょうし……丁度いいわね。セラフィア、レアは返すわね」

「はい」

「んぅ……おかあさま……?」


レアがうとうととしながらセラフィアに抱きつくのを眺め、セラフィアがレアを連れて帰るのを見送ってから二人はリエラに向き直るのだった。

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