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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
絶望は音を殺して

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179/1124

やっぱり

私が中庭に到着すると、お母様とリアが駆け寄ってきた。

リアに思い切り抱きつかれて、少し苦しい。


「リアちゃん、お姉様が苦しそうよ? 少し力を緩めて」

「あ……ごめんなさい、おねえさま。さいきん、おねえさまがんばってたからあんまりあまえれなかったから……」

「大丈夫だよ、リア。私こそあんまり構ってあげなくてごめんね」

「ううん。おねえさまのじゃまはしたくないから、じかんがあるときにかまってくれればわたしはそれでいいです!」

「そう……? じゃあ、今日はいっぱいお話しようね。元帥閣下がね、今日はお休みにしようって言ってくれたからいっぱいお話しできるよ」

「やったぁ! あ、でもいまはおかあさまとおちゃかい! えっと、おねえさまのせきは……ここです!」

「ありがとう、リア」


リアが椅子を引いてくれたから、お礼を言ってから椅子に座る。

今日はリアは水色のドレスを着ている。

お人形さんみたいでかわいい。


「あ……お母様、宰相様にクッキーを貰ったので、これもお茶請けとして食べませんか?」

「あら、いいの? それじゃあそうしましょうか。リア、これは少ないからお姉様が食べる分もちゃんと考えて食べるのよ?」

「むー! わたしひとりじめしないもん! えっと、いち、にー、さん……じゅうまい入ってる! ええと、さんにんだから……いちまいあまっちゃう? ……じゃあ、これはおねえさまがもらったものだからあまったのはおねえさまの!」

「ふふ、リア、ちゃんと計算できたね。じゃあ、余ったのはみんなで分けて食べよう? ちょっと難しいけど、割ればみんな同じくらい食べれるよ」

「やった! ……あ、でも、いいんですか……? これはおねえさまのものですし……」

「いいの! ほら、お茶会始めよう?」

「……うん!」


リア、ちゃんと勉強してるみたい。

お父様から遺伝したのか、たまに抜け出してきちゃうから少し心配だったけど……杞憂で良かった。

もぐもぐとクッキーを頬張る姿が凄くかわいい。

……あ、しっとりしたクッキーだ。

美味しい。


「はいどうぞ、リルちゃん、リアちゃん」

「ありがとうございます、お母様」

「おかあさまのこうちゃおいしい! ありがとう、おかあさま!」


お母様は紅茶を淹れるのが上手。

私は今練習しているけど、お母様みたいにはできない。

先生は同じ茶葉を使ってるって言ってたのに、全然味が違う。

……それにしても、私が紅茶を淹れる機会はあるのかな?

聖女として旅をするから、お茶会も無いだろうし。

……上手くできるようになったら、リアに紅茶を淹れてあげよう。

きっと喜んでくれるはず。


「リルちゃん、やっぱり少し疲れているみたいね」

「えっ?」


突然お母様にそう言われて首を傾げた。

どうしてそう思ったんだろう。

確かに普段より身体は重いから、疲れているのは確かかもしれないけど。


「……おねえさま、だいじょうぶですか? いつもよりかおいろがわるいきがします」

「そうかな……? 顔色、悪い?」


リアに尋ねてみる。

すると、リアがすぐに頷いた。

体調は悪くないけど、自覚がないだけで疲れが溜まっているのかもしれない。

今日は早めに寝よう。


「……まぁ、とりあえずお茶会を楽しみましょうか。一先ずリラックスしましょう」

「はい、お母様」


クッキー美味しい。


「……おねえさま、おはなしできない?」


リアが寂しそうな表情で尋ねてきた。

凄くかわいい。


「ううん、お話はできるよ。でも、私のお部屋で、ベッドに横になりながらでもいい?」


私がそう言うと、リアが笑顔になった。

そして、ご機嫌な様子で頷かれる。


「うん! おはなしできるならどこでもいいよ! でも、つかれちゃったらいってね? わたし、ちゃんとわがままいわずにちがうところいくから!」

「ありがとう、リア。疲れちゃった時は言うけど、いっぱいお話ししようね」

「うん!」


どんなお話をしよう。

リアが赤ちゃんの時の話とか、したいな。

でも私も一歳か二歳くらいだから、記憶が曖昧だ。

……お母様なら知ってるだろうし、聞いてみたいな。


「お母様、私やリアが赤ちゃんの時の話が聞きたいです」

「二人が赤ちゃんの時? そうねぇ……リルちゃんはとっても大人しかったけど、凄く甘えん坊さんだったわ。リアちゃんは元気だけど、リルちゃんと同じで甘えん坊さんだったわね。一度くっつかれると中々離れてくれないの。かわいかったけれどね」


お母様が苦笑いした。

リアは今でも甘えん坊さんだけど、赤ちゃんの時と比べるとどうなんだろう。

やっぱり同じくらいなのかな。

それとも赤ちゃんの時の方が甘えん坊さんなのかな。


「それと……リルちゃんはとっても成長が早かったわね。成長が早すぎてもっと赤ちゃんなリルちゃんを堪能したかったって思うくらいにはね。まぁ、今は今でとってもかわいいのだけど」


かわいいを連呼されるのは少し恥ずかしい。

私よりもリアの方がかわいいはずなのに、どうして私にかわいいって言ってるんだろう。


「リアちゃんはずっとリルちゃんについて行っていたわね」


やっぱりリアはかわいい。

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