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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
絶望は音を殺して

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175/1124

偽名

すみません超短いです。

数時間後。


「……ん、んぅ……?」

「あ、おはようございます、リウ様」

「レア……? おはよぉ……」


リウが目を擦りながら身体を起こして朝の挨拶をした。

といっても、もう既に夕方なのだが。


「んん~……今何時ぃ……?」

「えっと……午後7時過ぎですね」

「7時ぃ……?」

「はい」


リウがきょとんとした。

そして、寝惚け眼のまま窓を見る。

茜色に染まる空を見てリウが意識を覚醒させた。


「な、なんでこんな時間!? 私いつの間に寝てっ……!」

『えっとねー、れーちゃんに抱きついてそのまま寝ちゃったよ?』

「レアごめんなさい! 重かったわよね!?」

「はい!」


レアが満面の笑みで頷いた。

事実、とてもとても重かったので。

リウが申し訳なさそうな表情をする。


「うう、ごめんねレア……」

「いえ、大丈夫です」


リウがそっとレアを抱き締めた。

レアが優しく微笑む。


「それで、リウ様。色々とやることがあると思いますけど、どうしますか?」

「あ……そうね。えっと……時間的には少し早いけど、会議を開きましょう。私の過去は知っておいてもらった方がいいと思うし……」

「分かりました! メンバーはどうしますか?」


リウが少し考え込み、答える。


「えっと、私とよく関わる人たち……かしら。いつもの会議のメンバーは当然として……他にも数人かしら?」

「そうですね。今から招集しますか?」

「ええ、お願い」

「分かりました!」


レアが駆け出していった。

二人のやり取りを眺めていたディーネが慌てて起き上がってレアを追いかける。


『れーちゃん待って~! 私も手伝うー!』


そんなディーネの後ろ姿を見てリウがくすくすと微笑んだ。

リウがベッドから降り、ゆったりとした足取りで会議室へと足を進めた。



数十分後。

会議室によくリウと関わっているメンバーが着席していた。

メンバーの確認を行っていたリウが頷き、立ち上がる。


「さて……会議を始めましょうか。議題は……私の過去についてよ。……ただ、興味のない人は戻ってもらっても構わないわ。私の過去を知るのが必要なのかと言われるとそうでもないし。……私が、知っておいてほしいだけだから。興味がないならそれでもいい」


リウがそう告げて会議室を見渡した。

しかし、立ち去るものは居ない。

リウが嬉しそうに微笑んだ。


「……途中で聞くのをやめてもいいわ。本当に、聞きたい人だけでいいの」


最後の確認とばかりにリウがそう告げた。

そして、深呼吸をして口を開く。


「先ず、私の本当の名前は、リルシー・ヴェイル・リフィード。私にとってはリウ・ノーテルという名前も自分の名前なのだけれど……真名では無い以上、偽名、ということになるのでしょうね。……ごめんね」


リウが眉を下げながら言った。

しかし、誰一人として嫌な顔をする者はいない。

それに小さく微笑んでリウが言葉を続けた。


「私は、遥か昔に存在した大国、リフィード王国の第一王女だった。優しくてご立派なお父様とお母様に、とても愛されて育ったわ。――だけど」


リウが一度言葉を区切った。


「あの日から……私が聖女だということが判明した日から、私の人生は変わってしまったの」


リウが脳裏に過去の出来事を映し出した。

ここで切らないとキリが悪くなっちゃうので……すみません……

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