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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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国の名前

ディーネが仲間になってしばらく経った時、セラフィアの故郷にて勧誘をした者たちがリウの国へやって来た。

そして諸々の挨拶を済ませたリウたちは、現在お城の会議室で討論を重ねていた。

議題は、ズバリ国名である。

リウの魔法で空間を拡張することで新たに加わった者を含めて国民全員が入れるようにしたその会議室で、真っ昼間から意見を交わし合っていた。


「とりあえず、リウ様の国なんですからリウ様の名前をいい感じに改変するのなんてどうでしょう?」


というレアの意見には賛成の声が幾つも上がっていた。

ちなみにリウは恥ずかしいので反対していた。


「リウ様の姓はノーテル……ここから着想を得てみましょうか」


というフローガの言葉に、国民が国の名前を考え始める。

この時点でリウは羞恥心でノックアウトし隣に居たディーネに頭をなでなでされていた。

ディーネも国名を考えているので、リウの味方なのかと言われればそういうわけでもないのだが。


「リウ様の二つ名を組み込むのもいいかもしれませんね。悲劇女王(テラジェディレジーナ)、これを部分的に切り取って……」


とはセラフィアである。

リウは机に突っ伏した状態でぷるぷるしていた。


「えーっと……ノーテル、テラジェディレジーナ……ノルティアナ!! リウ様っ、これどうですか!?」


レアが元気にそう尋ねた。

無邪気なレアに少し復活したリウは、顔をあげて口を開く。


「もう、それでいいわ……魔国ノルティアナ。これで決定」

『……あ、そっか。りーちゃんって魔王だから強制的に魔国になっちゃうんだ』

「魔王の国は魔国。魔王の間で決定されてるわ」

『これって他の魔王に通達しなくていいの?』

「良くないけど、まだ未完成だから平気。その内するわ」


魔王の国は魔国であること、国を造ったら通達することは魔王の間で取り決めが為されている。

これは原初の魔王の三人が国の名称色々あって面倒くさいと思ったのが理由である。

そしてまたもや原初の魔王の三人が他の魔王に対して興味が無さすぎて国があることも知らず、魔王同士で戦争が起きた時に国を持っていたことを初めて知るというちょっとしたアクシデントがあったために作られた取り決めだ。


『忘れて呼び出しされない?』

「……」


ディーネの言葉に思い切り目を逸らして誤魔化すリウ。


『りーちゃん……』


突き刺さるディーネの視線を極力無視しつつ、リウは国の名付けという議題からイルム王国へ向かう際の同行者についてという議題へ移らせた。


「え、えっと、イルム王国に向かおうと思っているのだけど……同行者を決めるわよ。えっと、多くても目立つし二、三人くらいかしら」


ディーネの呆れたような視線を受け流しながらリウが告げた。

行きたいという声が口々に上がるのをリウが眺め、どうするべきかと思案していると紫色の髪と瞳のリエラが手を上げた。


「……リエラ?」

「誠に恐縮ながら、わたくしは同行させていただきたく存じます。イルム王国には、少々ではありますが赴いたことがありますので、少しは案内役として活躍出来るかと思いまして」

「あら、それはありがたいわ。それじゃあ……あと一人にしておきましょうか」


リウがそう言うと、ぴょんっと飛び跳ねながらレアとディーネが同時に手を上げる。

幼女二人がシンクロした姿にリウは少し和んだ。


「レア、ディーネ。行きたいの?」

「はい! 行ってみたいです! 国に入ったことがなくて……」

『りーちゃんがナンパとかされるかもしれないから行きたい! れーちゃんは少し前にセラフィアの故郷に行ったんでしょ? だから今回は譲って! 次があったら一緒に行くかれーちゃんに譲るから!』

「う、ううぅ……確かにです。分かりました、今回は譲ります……でも、次は約束ですからね?」

『うん! 精霊は約束を大事にするから大丈夫だよ!』


ご機嫌な様子でディーネがリウに抱きつき、レアに駆け寄るとレアにも抱きついた。

幼女二人がハグをし合う光景に場か和む。

緩んでしまった場を手を叩いて引き締め、リウが口を開いた。


「では、出発は二日後にしましょう。私もお城の空き部屋に家具を設置したりしたいし……準備も必要でしょうからね。ディーネは知らないけど」

『りーちゃんりーちゃん! 見た感じ水系統の魔法適性高い人いっぱい居るから水属性の部隊作っていい?』

「水属性の部隊ってなによ……別にいいけど、入るかどうかは本人に聞いてね。あと指揮出来るの? ……弱いって判断したら前線には出しちゃ駄目よ? 援護に回すようにね?」

『指揮してるところは見たことあるし、精霊と契約してもらうから大丈夫!』

「じゃあ水魔法の適性がある人は入りたいならディーネに言ってね。以上。解散!」


リウがそう告げて会議を終わらすと、ディーネの元に人が殺到した。

そんなに来るとは思っておらず慌てるディーネを眺め、楽しそうに雑な応援を送るリウであった。

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