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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
国を作りましょう
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特産物

国の住民のための家を用意し、はしゃいでいるのを眺めるのにも飽きたのかなにやら思考に耽り始めたリウ。

考えるのは、これから必要になるであろうことだった。


(先ず、資金源は必要。何か特産品でも無いかしら。後でセラフィアに確認しないと。それに、国民だってまだ足りない。万くらいは欲しいけれど……いえ、これは後回しにすればいいわね。人材不足になったらまた考えましょう。特産品があったとして、買ってくれる人が居ないといけないわよね。やっぱり商人のコネは欲しいわ。持ってる宝石で当分の資金源を確保するとして……売るためにあの国に行かないと)


あの国とは、イルム王国のことである。

資金として売却してしまいたいのは山々なのだが、他にもすることがあるので順序も考えなければいけない。

そんなわけで、リウは暇潰しも兼ねて頭を回転させていた。


「――リウ様?」

「ひゃああっ!? ……れ、レア?」

「次はどうするんですか? 何をすればいいですか?」

「……あぁ、えっとね……基盤は完成したから、先ずは資金源を用意しないとね。それから、商人のコネを確保して売却先を用意する。私はそんなの持ってないし。ってことで、セラフィア!」

「はい」


いつの間にかセラフィアがレアの側に居た。

リウが一瞬ビクッとしつつ、セラフィアに尋ねる。


「特産物とか無いの?」

「無いですね」

「……商人と関わりは?」

「無いですね」


なにもなかった。

リウが残念そうな表情をしつつも、何か無いのかと思考を巡らせてみる。

ふと、リウが辺りの森を見回しながら尋ねた。


「この場所ってもしかして、あの子……先祖の親が眠る場所?」

「確か、手帳にそう書いてありましたが……」

「……あるじゃない、特産物」


ニヤリと、リウが悪どい笑みを浮かべた。



リウがフローガを呼び、四人で国から抜け出してしばらく森を歩くと目の前に巨大な洞窟が現れた。

暗い洞窟に怖くなったのか、レアがぎゅっとリウの手を握り締める。

リウはそんなレアにくすりと微笑むと、そっとレアの頭を撫でた。


「大丈夫よ。ここはむしろ神聖な場所なの」

「神聖な……?」

「……ここは、あなたたちの先祖、精霊竜グアルディアが眠る場所。あの子は、混じり物にして、純血だった。精霊と竜の混じり物であるあの子は、肉体が死んでも、精神は生きているのよ。私は、助けてあげただけで何もしていないけど……懐かしいわ……っと、そうじゃない。それで、グアルディアという精霊の影響で、国も含めて色々な恩恵があるのよ。例えば、ここで水を作り出すと……」


リウが突然水を創り出し、レアの口元に持っていった。

疑問符を浮かべるレアにリウはにっこりと微笑むと、口を開く。


「口開けて?」

「え、あ、はい……んむ!?」

「美味しいでしょう? 精霊の影響を受けて美味しい水になるのよ。……肌に塗れば化粧水にもなるし」

「え……っと、美味しいですけど……」

「飲めば傷も治るわよ。お風呂に少量突っ込めば美肌効果もあるし、いっぱい入れれば傷も治るわ。」


ただの水が美味しい水になるらしい。

しかも、化粧水になって飲めば傷も治り、お風呂に入れれば美肌効果と治癒効果まであるらしい。


「……資金源にはなるでしょうけど、これではすぐに在庫が切れてしまいそうですね……」

「だから、これを普通の水で薄めるわ。普通の回復薬は美味しくないでしょう。ちょっと高めに売っても売れるわ。……いえ、安めにした方がいいかしら……」

「それ以前に、どうやって製造するのですか? 水は無限にあるわけではありませんし……」

「そうねぇ……どうしましょうか。水の大精霊(ウンディーネ)にでも頼みましょうか?」

水の大精霊(ウンディーネ)様!?」


リウが告げた言葉に、レアが驚きをあらわにした。

水の大精霊(ウンディーネ)とは、水の精霊の上位種族である。

精霊というだけでも凄い存在なのに、大精霊ともなれば存在するというのは分かっていても、人の目には絶対に触れることが出来ないほどのものなのだ。

天使などと同じく、神の使いとまで称される存在なのだ。


「ディーネとは幼い頃からの付き合いなのよね。と言っても、基本用事なんて無いから呼ばないけど……これは立派な用事よね、うん。――〝大精霊召喚・水の大精霊(ウンディーネ)〟!」

『はぁーい!!』


元気な声が辺りに響いた。

三人は伝説上の存在とまで言える大精霊という存在を見て固まっている。


「久しぶりね、ディーネ」

『あーもう! こまめに呼んでよぉ! りーちゃん本当に久しぶり!! 大きくなったね、前会った時は本当に小さくてもうロリって感じだったのにぃ……むぐぐ。相変わらず胸はないなぁ』

「あ゛?」

『ぎゃっ!? ごめんなさぁーい!!』


海色の髪に、水色の瞳。

そう表現するべき容姿の幼女がそこに居た。

現在は、リウの逆鱗に触れて追いかけ回されている。

精霊、ウンディーネことディーネは楽しそうなので遊んでいるようにも見える。

ディーネがリウのことを〝りーちゃん〟と呼んだので、余計に。

リウにもロリ時代はあったらしい。

捕まえたディーネを思い切り罵倒するリウを眺めながら、三人は精霊を前にしてどうしていいのか分からず揃って顔を見合わせるのだった。

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