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魔王様の隠し事  作者: 木に生る猫
番外編

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1106/1106

学園改造大作戦⑰

お待たせしました!

更新再開します!

 気付けば、三人は森の中にいた。

 ルリアとレイシェが戸惑いながらリウの方を見ると、そこには満面の笑みを浮かべ、ドヤ顔をしているリウがいる。


「リウ? これって……」

『わたくしたち……本の中に……?』

「概ねその通りよ。ただ、ちょうどいい本が無かったから、簡単に私が物語を作らせてもらったけれど」

「どんな内容……?」

「それを言ったら面白くないでしょう。大した内容ではないけれど……それでも、わざわざ面白さを減らす理由は無いわ。ほら、行きましょう。案内してあげるから」


 リウが微笑みながらそう言い、歩き始めた。

 顔を見合わせたルリアとレイシェは、未だ戸惑った顔をしながらもリウに付いていく。

 少し歩くと、小さめの村が見えてきた。

 どうやらあそこが今の目的地らしく、リウは真っ直ぐ村の方へと足を進めている。


『村で何かが起こるんですのね……。……リウが作ったお話……』

「何度も言うけれど、本当に大したものではないの。ただ少し、片鱗だけでも楽しみたいだけで……あまり凝ったものを作って、今度ルリアがあそこの機能を改めて体験させてくれることになったりしたら……そっちが薄れてしまうかもしれないでしょう。それは嫌だから……もちろん、ルリアたちが作ったものを上回らないよう、体感できるものも制限してあるから。……こほん、それはさておき……行きましょうか」


 そう言って足早に歩くリウに二人が付いていくと、すぐに村に到着した。

 しかし、村の入り口付近には誰もおらず、少し離れた場所からざわつく声が聞こえてきた。

 三人がそちらに近付いていくと、村の広場らしき開けた場所が見えて来た。

 そしてそこには、多くの村人と、禍々しいオーラを纏った人型の何かがいた。

 禍々しい人型の何かは、幼い子どもに爪先を当てながら言う。


「我に贄を捧げよ。さすれば、村は滅ぼさないでおいてやろう!」


 村人に、ざわめきが広がった。

 それを、三人はなんとも言えない表情で見つめる。


「……その……リウ?」

「え……ええ、何かしら……」


 小さな声でルリアがリウを呼ぶと、リウは目を逸らしながらそれに応えた。

 レイシェが人型の何かからリウへと視線を移し、じとりと睨む。


「集中できないんだけど……今からでもどうにかできないの? 〝あれ〟」

『ええ……気になって仕方がありませんわね……』


 リウは二人の言葉に何も答えず、ただ人型の何かの方へと視線を向けた。

 相変わらず、禍々しいオーラを纏っており、村人たちが恐怖を覚えるのもわかる姿だ――その頭上に、〝悪者!〟という文字が書かれてさえいなければ。

 わかりやすく悪者だと示されているだけだと思えば呑み込めなくもないが、謎に〝!〟で強調されている理由が二人にはわからなかった。

 完全に雰囲気を壊している。


「……わ、私の意思じゃないの、あれ。わざとやっているわけじゃなくて……イメージをそのまま投影してしまったから……考えてる時、わかりやすいようにこんな感じで想像していたからぁ……っ。……曖昧な想像だったから……あれを外そうとすると……あの悪役さんが死んじゃうの。判定が肉体の一部だから……その……無理矢理身体を切り取る感じに……」

「うわ……じゃあ、えっと……僕たちの認識を書き換えるのは?」

「今やっていることがそれに近しいことなの。無理ではないけれど……急拵えで、安全が保証できないからダメ……悪者さんが怯えてしまわない程度に、ちょっとだけ能力落としちゃったし……」

『……わかりましたわ。では、極力気にしないようにいたしますから……物語を進めましょう。倒せばいいのでしょう?』

「うん……申し訳ないけれど、それでお願い。……うぅ……ごめんなさい、二人とも。我儘なことをして、それで……」


 肩を落として反省するリウの手をそれぞれが取り、優しく笑った。

 リウは天才で、それ故に自分のことを追い詰める結果にもなってしまって、他者から距離を置いていた。

 そんなリウだからこそ、友達と居たらはしゃいでしまって、ちょっとした失敗をするくらいが丁度いい。

 多少のトラブルなど、迷惑にもなり得ないのだから。


「よーっし、やろっか! リウはどうする? 戦いたい?」

『わたくしたちの活躍を見ていてくれてもいいんですのよ!』

「……うん、そうね。戦いたい気持ちも、すごく、凄くあるけれど……! 今日のところは、案内役に徹させてもらうわ」

「りょーかい! じゃあ、レイシェには後衛を頼もうかな! ……あ、リウ、確認なんだけど……ちょっと触ったら消し飛んだりとか、する?」

「うーん……強くもないけれど、そこまで弱くもない、かしら。たぶん、三発辺りで降参するくらい……?」


 首を傾げてリウが答えると、ルリアが頷いた。

 そして、軽く拳を握って調子を確かめると、悪者に向かって話しかける。


「はじめまして! 村人さんたちを困らせちゃダメだよ!」

「何だ、貴様らは。この我に対して無礼な……!」

『勝負をいたしましょう。ルールは簡単ですわ、わたくしたちが勝ったら、この村から出ていって、今後一切関わらないでくださいまし。そして、あなたが勝てば……この村もわたくしたちも、好きにしていただいて構いませんわ』

「ハッ……余程の自信があるようだな。いいだろう、受けて立つ! では、勝負だ!」


 そんな声と共に、周囲に黒いオーラが広がった。

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